新型コロナウイルスの感染者が増える中、安倍政権の閣僚3人が選挙向けの地元対策を優先させ、政府の感染症対策本部会合を欠席していたことが発覚した。昔なら辞任して当然の愚行だが、安倍政権下では「ごめんなさい」で済んでしまう。
政治家の非常識を見習うかのように、官僚もやりたい放題。首相補佐官と不倫相手とみられている霞が関の女性官僚が、海外出張の際に内部がつながった「コネクティングルーム」に宿泊していたことが分かり国会で追及される事態となったが、責任をとって辞めるようという気持ちはなさそうだ。
日本の中枢から、「危機意識」や「規範意識」が失われている。
■失われた「危機意識」・「規範意識」
閣僚になったとたん、極端に評価を下げる状況になっている小泉進次郎環境相が、今月16日に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会合を欠席し、地元横須賀の後援会の新年会に参加していたことが分かった。同日の新型コロナ対策会合については、萩生田光一文部科学相が地元の消防団長の叙勲祝賀会に出席するため、森雅子法相は地元福島で開かれた書道展で挨拶するため、それぞれ欠席していたことも判明。3人の閣僚が、国民の安心・安全より地元での選挙対策を優先した格好だ。
本来なら辞任して当然の無責任な行為だが、この連中は図々しい。小泉環境相は翌17日、自身のブログで新型コロナウイルスのことに触れ、「引き続き、国民の命と健康を守ることを最優先に必要な対策をスピード感を持って実行していきます」と書き込んでいた。世の中をなめきったこの姿勢には、呆れるしかない。
森法相の狡さにも驚く。下は、同氏が感染症対策本部会合を欠席した2月16日にSNS上で投稿した記事。福島県の書道展で挨拶している様子を公表しておきながら、なぜか「新型コロナウイルス対策会議が開催されました」として、あたかも自分が出席しているかのような投稿も行っていた。
萩生田氏にしても、国会での追及に「真摯に受け止めたい」と述べただけ。反省する姿勢はまるで見えてこない。
政治家のレベルが下がれば、役人の質も落ちる。和泉洋人首相補佐官と、その不倫相手とみられている厚生労働省の大坪寛子官房審議官は、海外出張で互いの部屋を行き来できるコネクティングルームに宿泊。昨年8月には二人で京都に出張し、ハイヤーを借りて私的な観光を楽しんでいたことも分かっている。公費を使っていかがわし付き合いをする役人が、この国の中枢にいるということだ。
■元凶は安倍政治
永田町や霞が関から危機意識や規範意識が失われた原因が、安倍政治にあることは確かだろう。安倍首相は、憲法解釈をねじ曲げ、集団的自衛権の行使容認に踏み切った。黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決定したことに関しては、検察庁法ではなく国家公務員法に根拠を求めるという“法解釈の変更”を行っている。安倍が、黒を白だと言えばそうなる現状は異常であり、もはや法治国家とは言えない。
森友・加計問題を巡っては、公然と証拠隠滅や偽証が行われ、桜を見る会の国会質疑では子供からも笑われるような言い訳が続いている。ところが、自民党内部で安倍政治に異を唱えてきたのは石破茂元幹事長くらいで、大方の議員は首相擁護かダンマリを決め込むかのどちらか。同党の政治家たちが守っているのは、国家・国民ではなく「安倍」なのである。
“恥も知らない、矜持も持たぬ”という政治家が増殖したため、収賄容疑で地検特捜に逮捕・起訴されてもバッジにしがみつくバカ者まで現れた。「危機意識」や「規範意識」の欠如した安倍政権に、国民を守ることはできない。――国家の危機である。