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三反園鹿児島県知事 “公務”で地方議員集め事実上の選挙運動

2020年2月 6日 08:40

047e10dfa49129965d6a242de99adcd4146268ad-thumb-220xauto-25187.jpg 鹿児島県の三反園訓県知事が、県内自治体の首長や議員に召集をかけて会合を開き、公費を使って事実上の選挙運動を行っていることが分かった。
 HUNTERが入手した文書によれば、知事は日曜日に地域住民らを対象とする「車座対話」を実施、これとセットで首長と議員を集め「意見交換会」と称する会合を設けている。
 事情を知る県の関係者からは、「税金を使ってやることではない」「地位を悪用した選挙運動」などとして厳しい批判の声が上がっている。

■知事の狙いは“地盤固め”
 下は、昨年12月に「鹿児島県PR・観光戦略部長」から指宿市議会議長にあてて発出された文書。タイトルは“「知事と語ろう車座対話」等の開催について(依頼)”となっている(*赤いアンダーラインと囲みはHUNTER編集部)。

指宿文書.png

 行政のトップが住民の声を聞くイベントは、首長が、相手の話を理解しその場で解決策を提示できる頭脳を持った人物なら意義がある。すると、鹿児島県の車座対話はただのパフォーマンスでしかないのだが、市長と議員を集めての「意見交換会」は、さらにタチの悪い集まりと言えるだろう。

 この依頼文書は県の知事部局が指宿市議会の議長にあてて発出しており、県が地方議会に動員を要求した形。県を市町村より上の立場とみなしているからこそできたことで、いびつな地方自治の実態を露呈させたようなものだ。

 地元選挙区の声を県政に届けるため「県議会議員」が選出されており、わざわざ訪問先の市町村会議員を集めて意見交換する必要はない。三反園氏の議会軽視は今に始まったことではないが、「意見交換会」の開催を案内する文書は、指宿選出の県議の事務所には届いていないのだという。知事の狙いは、選挙に向けた地盤固めなのである。

 指宿市の関係者も、「知事のやり方には賛同できない」として、次のように話している。
「県の部長が、知事のための人集めを指宿市議会に命じているということだ。おかしい。こんなやり方は、県議会で問題にすべきだろう。地元の声を届けてもらうために県会議員がいて、市のことをやってもらうために市議さんたちがいる。三反園さんは、地方議会の何たるかがまるで分っていないのだろう。日曜日に、顔作りをするために権限を利用して地方議員を集め、費用は県民の税金から支出するというのだから悪質だ。止めさせるべきだ」

■無駄な公費支出に批判
 三反園知事は、かねてから土日を返上して視察や車座対話を続けてきており、県議会でも「公費を使った選挙運動ではないか」との指摘が出ていた。三反園県政下で増えた土日の公務をこなすため、知事秘書や公用車の運転手を増員しており、これも批判の対象になっている。

 「土日も働く感心な知事さん」と好意的な見方もあるのだというが、それは間違い。県民の声を聞こうと思えば、他に様々な方法があるからだ。わざわざ、土日を選ぶ必要などない。なにより、土日に「車座対話」や地方議員との「意見交換会」を開けば、休庁日に県や市の役人を動かさざるを得なくなる。公費を使った事実上の選挙運動は、無駄な公費支出を増大させているのだ。

 鹿児島県知事選挙は今年の7月に投開票されるが、三反園氏は昨年12月の県議会で再選出馬を表明しており、日常の活動でも内容次第では公職選挙法の規定に抵触する可能性も出てくる。例えば、公務として企画された地元住民や地方議員らとの集まりで知事選のことに触れて支援を依頼するようなことがあれば、即アウト。知事は知事選に出馬することさえ難しくなるだろう。

 ある県議会関係者は、苦々しげにこう話す。
「知事はすでに出馬表明を行っている上、選挙まで6か月を切っている。知事の権限を使って地方議員を集め、意見を聞いたり自分の主張を述べることは事実上の選挙運動。止めるべきだし、歴代の知事は、こんな露骨な動きはしなかった。県庁内部も土日を使った公務を『選挙運動』とみており、批判する声が上がっているほどだ。車座集会にしても、自治体側が知事にとって都合のよさそうな人間をそろえて実施しているのが現状。やっていいことと悪いことの区別がつかない人間に、これ以上県政を任せるわけにはいかない」

 三反園知事の「公務」を巡っては昨年、ラグビーワールドカップ準々決勝「日本対南アフリカ戦」の特別なチケットを大会スポンサー企業から無償で入手し、無理やり“公務”に仕立てて観戦していたことが分かっている。

 HUNTERは5日、車座対話を所管する鹿児島県PR・観光戦略部に、首長と議員を集める「意見交換会」の趣旨について確認を求めたが、出稿までに回答はなかった。“知事選に向けた活動の一環”と、本音を語るわけにはいかないのだろう。



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