鹿児島県議会の東清剛(ひがし きよたけ)県議会議員=無所属:当選2回=が、他県の県議会において複数の議員が行った議会質問をコピーしてつなぎ合わせ、昨年9月の鹿児島県議会定例会で自身の質問に仕立てて一般質問に臨んでいたことが明らかとなった。東氏は“盗用”を認めている。
いわゆる「コピペ」で議会質問を作成するのは前代未聞。勝手に質問を盗用された他県の議員らには、何の断りも入れていなかった。
■一般質問の大半が盗用
東議員が盗用したのは、昨年2月と6月の埼玉県議会定例会において自民、公明、立憲民主党、無所属の4人の県議が行った一般質問。東議員は当初、HUNTERの取材に対し「参考にした」と主張したが、同議員の質問と4人の埼玉県議の質問を比較すれば「参考」などというレベルの話ではないことが分かる。(*写真が東議員。鹿児島県議会HPより)
以下は、東議員が昨年9月19日の鹿児島県議会令和元年第3回定例会で行った一般質問(県議会議事録より抜粋)。赤字は4人の埼玉県議が行った質問をコピペ=盗用した部分である。
皆さん、こんにちは。日置市区選出の東清剛でございます。県議会議員になりまして二期目、一回目の一般質問をさせていただきます。それでは、通告に従いまして順次質問してまいります。まず、環境厚生関係の質問であります。
2025年問題、あと6年でその年を迎えます。改めて、後期高齢者が急激に増加し、現在抱えている少子高齢化問題に拍車をかけることになります。医療の問題、介護の問題、認知症高齢者の増加、社会保障費の問題、死の問題、住まいの問題など、2025年は始まりにすぎず、この問題はさらに進行していきます。
私は、特に介護人材の確保が重要だと考えております。急速に高齢化が進む本県におきまして、県民一人一人が必要な介護サービスが受けられるよう、介護人材を確保していくことは喫緊の課題であります。
昨今、さまざまな産業において人手不足が深刻化する中、ことし7月現在の介護サービス業の有効求人倍率は2・65倍となっており、介護分野での人材確保は、今後一段と厳しくなることが想定されております。そうした中、国では、外国人介護人材を確保するため、平成29年9月から、留学生が介護福祉士資格を取得した際に介護の在留資格を認め、さらに本年4月からは新たな在留資格、特定技能一号の制度が施行されました。
少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少していく中で、人材を確保するために、介護現場への就労支援と、就労した方の離職を防ぐことの2つの視点が重要だと考えます。介護現場における人材不足は年々深刻化しております。他の都道府県より速いスピードで高齢化が進む鹿児島県において、来るべき超高齢化に対応できるようにしていくことが必要と思います。そこでお尋ねします。
鹿児島県として、介護人材の確保対策など、2025年問題に取り組んでこられたと思いますが、これまでの全体的成果について、また、その先を見据え、さらにどのようなことに取り組むべきと考えているのか、見解をお伺いいたします。次に、8050問題に対する取り組みについてであります。
2025年問題とともに深刻化しているのが、8050問題であります。昨今、川崎市での事件を初めとした相次ぐ事件により浮き彫りになった、ひきこもりの長期化、高年齢化、そして社会的孤立が問題となってきています。介護、健康、経済的困窮などさまざまな問題が複合化し、日常生活が追い詰められるまで表面化しない社会的孤立が特徴であり、中には、経済的に裕福な家庭であっても、複雑な子供の孤立から引き起こされる事件もありますが、収入のない50代の子と80代の親の世帯が親子共倒れになるなど、8050問題は深刻でございます。
その背景には、助けを求めないまま、あるいは求めたにもかかわらず孤立せざるを得ない家族の姿があります。経済的にも精神的にも限界を超えたところで、思い余って事件を起こすという最悪の事態だけは何としても避けなくてはなりません。
支援してくれる団体の育成も重要と考えますが、ひきこもりという言葉が社会に知られるようになってからおよそ20年、ひきこもりの当事者を持ち経済的、精神的に限界を超えている70代、80代となった親が相談しやすい環境づくりが大切であると考えます。
そこで、県としての、ひきこもりの解消に向けた相談体制とその取り組み状況について、くらし保健福祉部長にお伺いいたします。次に、児童虐待防止対策についてであります。
平成30年度に県内児童相談所が受け付けた児童虐待通告・相談件数は1,598件で、前年度に比べ約448件増加しており、この5年間で約4.8倍となっています。相談内容も複雑・困難化しており、初期の段階から適切に対応していくためには、児童相談所の体制強化などが急務となっています。
こうした中、国においては、児童相談所強化プランを策定するとともに、児童福祉法の一部改正を行い、児童相談所の体制や専門性の強化など、児童虐待に関する対策の強化に向けた施策を講じてきました。
また、昨年、東京都目黒区において、当時5歳の女児が保護者からの虐待により亡くなった事件をきっかけに、政府は、同年7月に関係閣僚会議で、児童福祉司を2022年度までに約2,000人増員することを柱とした緊急総合対策を決定いたしました。しかしながら、千葉県野田市や北海道札幌市などでも同様の事件が相次いでおり、鹿児島県出水市でも同様の事件が発生しております。
今後、二度と子供の命が失われる痛ましい事件が繰り返されることのないよう、児童虐待防止対策のさらなる強化を図る必要があります。そこでお尋ねします。
まず一点目は、体制強化についてであります。
児童相談所などに寄せられる児童に関する相談については、近年、複雑化・困難化しており、これらに対応する児童福祉司及び児童心理司については増員すべきだと考えております。これらの増員に関する県の考えをお聞かせください。
あわせて、児童相談所の一時保護については、一時保護が必要な児童の増加に対応するため、その整備・拡充や対応する職員の増員が必要だと思いますが、県の考えをお聞かせください。
二点目は、一時保護されるなどした子供のうち、家庭への復帰が困難な子供の養育環境についてであります。平成28年の改正児童福祉法において、家庭における養育環境と同様の養育環境である里親などへの委託を進める、子どもの家庭養育優先の原則が明記されました。この改正法の理念を踏まえ、国は、各都道府県に都道府県社会的養育推進計画を今年度中に策定するよう求めております。
そこでお尋ねします。
県計画策定の取り組み状況と今後の見通しについてお示しください。
次に、認知症対策について質問します。
急速な高齢化に伴い、認知症の高齢者は増加し、2025年には認知症の人が約700万人に達すると予測されています。年を重ねれば誰もが認知症になる可能性があり、誰もが介護する側になる、極めて身近な問題です。
認知症は、現在の医療では完治することは難しいとされていますが、早期に発見し、早期に受診していけば、その進度をおくらせることができます。私は、認知症をどうキャッチし、治療につなげるか、これが重要だと考えます。そこで一点目、認知症の早期発見の取り組みとしてスクリーニング検査が有効です。これは、認知症の簡易な検査表を用いた専門医師などの問診による検診メニューです。市町村主体の事業になるので、特定健診やがん検診のメニューに入れるなど幅広く受診できるよう県が後押しすべきです。そして、早期受診につなげられるようにすべきと考えますが、三反園知事の御所見を伺います。
二点目として、県では、認知症の初期対応や専門医療について中心的な役割を担うため、認知症疾患医療センターを県内十一カ所に設置しました。センターとして、早期受診に向けたこれまでの動きと今後どのように取り組んでいくのか、あわせて三反園知事にお伺いいたします。
三点目として、認知症当事者の家族が認知症に気づき、すぐに治療に向かうことができればいいのですが、家族が薄々認知症とわかっていても、そのための情報が不足しているため、適切な治療に向かえないことがあります。まず、認知症当事者や家族が早期の段階で情報をとるために、相談できる体制づくりが必要と考えます。
認知症の家族が、認知症疾患医療センターや地域包括支援センターをよく知らず、相談から治療まで進んでいないという話を伺います。私は、県民の側に立ち、認知症に関する相談窓口や認知症疾患医療センター、地域包括支援センターを有効活用するなど、治療や対応につなげるシステムをつくるべきだと考えておりますが、御見解を伺います。次に、プラスチックごみ問題についてであります。
近年、プラスチックほど、短期間で経済社会に浸透し、我々の生活に利便性と恩恵をもたらした素材はないのではないでしょうか。しかし、リサイクルされずに廃棄されるプラスチックごみも多く、自然には分解しにくい性質もあり、生態系への影響が懸念されるところです。特に、海に漂っている海洋プラスチックごみが海の生物に与える影響について、連日のように報道されております。
海洋プラスチックごみは、陸上生活で発生したごみが大半であると言われており、中には、まちのごみ箱からあふれ散乱したごみや、不法投棄されたごみが川を通じて海に流れ込んでいるものもあります。世界全体では、年間八百万トンを超えるプラスチックごみが陸上から海洋に流出しているとの推計も出されております。このままでは、2050年までには魚の重量を上回るプラスチックごみが流出することが予想されるなど、地球規模での環境汚染が懸念されております。
こうした現状を受けて、国は、本年5月31日に、海岸漂着物処理推進法に基づいた海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針の変更案を閣議決定しました。この変更の大きなポイントの一つが、陸域でのプラスチックごみの対策が加えられたことでございます。国内から発生する海岸漂着物などは、山、川、海へとつながる水の流れを通じて海岸に漂着したものであります。
鹿児島県では、みんなの水辺サポート推進事業などで地域の河川や海岸等の清掃などにかかわる民間の団体が活躍しており、県内の多くの河川や海岸で清掃作業活動を行っています。しかしながら、川からプラスチックごみが流れ出ないようにするためには、鹿児島県に住む県民一人一人が、プラスチックごみがまちの中から流れ出ている実情を知って、みずからの問題として意識し、行動を起こすことが必要であると考えます。
そこで、このプラスチックごみ問題にどのように取り組まれていくのか、環境林務部長にお伺いいたします。
また、プラスチックごみについては、地球規模で問題となっている、使い捨てプラスチックの象徴的な存在であるレジ袋の削減について取り組むことが重要であると考えています。
そこで、削減に向けたこれまでの県の取り組みと、それを踏まえて今後どのように取り組んでいくのか、お示しください。
また、ごみを捨てない、環境を守っていくなどの心情面を育てるために、道徳教育においてどのような取り組みを行っているのか、お示しください。次に、文教警察関係の質問です。
まず初めに、全国学力・学習状況調査の結果に基づく鹿児島県の教育についてでありますが、これは代表質問でもありましたので、割愛させていただきます。
次に、スクールロイヤーについてであります。
いじめへの対応や、運営面で学校に助言する弁護士─スクールロイヤー─の導入が各地で進んでいます。判断に悩むケースで法律のプロからアドバイスを受け、トラブルを未然に防ぐことが狙いです。学校現場の負担を軽くする効果も期待されています。
第三者の立場で子供や保護者の事情を検討し、解決に向けて学校側に助言するスクールロイヤー。日本弁護士連合会によりますと、三重県や大阪府など少なくとも十府県と、愛知県一宮市、岐阜市、大津市など十八市区町が導入しています。文部科学省では配置を促しておりますが、自治体の予算確保や、担う弁護士の育成が課題となっています。
いじめ防止対策推進法ができ、三重県では、いじめ防止条例を制定し、その趣旨を踏まえ、いじめ防止の教育を充実させる必要があったこと、児童生徒が主体的にいじめ防止について考え、行動できる力をしっかりつけていく必要があると考え、国のスクールロイヤーの活用に関する調査研究事業を活用して取り組みを進めてきました。
平成29年度から取り組み、ことしで3年目です。3年間共通した内容や、年度ごとに新たに取り組んだ内容もあります。平成29年度は、三重弁護士会と連携した出前授業や、いじめ事例別ワークシートの作成などを実施しています。平成30年度は、いじめ事例別ワークシートを活用した、いじめ予防授業の実施や、三重県いじめ防止フォーラムなどを開催しています。令和元年度は、弁護士と連携したいじめ予防授業と学校支援に取り組んで、いじめ予防サミットを計画しております。そこでお尋ねします。
鹿児島県でも、三重県のように、今後、スクールロイヤーを活用していじめ予防授業などに取り組むべきと考えますが、御所見をお聞かせください。次に、高齢ドライバーの事故対策についてであります。
高齢ドライバーによる死亡事故が全国各地で相次ぎ、その対策が急務となっております。まずは、免許の返納ということも選択肢の一つとして考えられます。自動運転実用化にはまだまだ課題が多く、一朝一夕に進みそうにもありません。
そこでお尋ねします。
県警察は、高齢ドライバーが加害者とならないためにどのような対策を行っているのか、お伺いいたします。
次に、事故を起こしたドライバーから、ブレーキがきかなくなったなど、車に問題があるような言葉を耳にしますが、多くはアクセルとブレーキの踏み間違いで、高齢ドライバーの事故の最たる原因だと考えられます。
東京都では、アクセルとブレーキの踏み間違いなどを防止する装置の購入費用を補助する考えを6月4日に発表しました。最近では、高齢運転者に対する安全意識がこれまで以上に高まっています。高齢者個人に委ねるのではなく、警察が啓発を行い、自治体は助成金を出すことで消費者が装置を購入しやすい環境づくりをするなど、地域連携で支援していくことが重要と考えます。
そこでお尋ねします。
鹿児島県としても、おくれることなく速やかにこうした装置の購入補助などを検討していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。次に、うそ電話詐欺への対応についてであります。
毎日のようにうそ電話詐欺被害が報じられ、心が痛みます。自分だけは引っかからないと思っている方が引っかかっている現状でございます。
平成30年におけるうそ電話詐欺認知・検挙状況を見ますと、平成30年の認知件数55件、その内訳は、オレオレ詐欺が前年比1件減の8件、架空請求詐欺が前年比29件減の35件、還付金等詐欺が前年比5件減の2件などとなっております。
検挙件数は、平成30年が8件・8人であり、平成30年の水際未然防止状況は56件、その内訳は、金融機関による被害防止が13件、コンビニにおける被害防止が三34件などと、全て前年割れの数字となっております。
そこでお伺いいたします。
先ほど述べた平成30年におけるうそ電話詐欺認知の現状を踏まえて、どのような対策をとっているのか、お示しください。
また、私は、水際での未然防止策及び社会全体で発生を阻止するような対策が必要と考えておりますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。次に、交差点の信号制御機の老朽化対策についてであります。
信号機の赤・青・黄の点灯をコントロールする信号制御機や信号を支えている信号柱の老朽化が進んでいることを御存じでしょうか。その更新基準は、設置から19年とされておりますが、信号を管轄する警察庁によれば、平成28年度末時点で、全国にある信号機約21万基のうち、その2割に当たる約45,000基が更新基準を過ぎたまま放置されていると伝えられています。
鹿児島県内の状況はいかがでしょうか。信号機が消えたり点滅を続けたりして機能を果たさなければ、大変な事態を生みます。
県民の命を守るため、警察本部長へ、以下三点の質問をさせていただきます。
一点目、過去五年間における、老朽化が原因の信号制御機の故障や柱の倒壊に伴う交通事故の発生状況をお示しください。
二点目、信号制御機の更新、またLED化が進められていると思いますが、信号制御機の更新基準が過ぎた基数及びLED化の進捗状況と、あわせて今後の計画をお示しください。
三点目、今後の信号柱の交換計画についても御答弁ください。
これで、一回目の質問を終わります。
一読して分かる通り、ほとんどが盗用。わずかに東県議本人の言葉とみられる部分は、新聞記事や政府関係資料などをコピーしたものだった。埼玉県知事の名前を鹿児島の三反園知事に置き換えるなどしてごまかしてはいるものの、自分の言葉で作成された部分は皆無に近い。
「盗作」は著作権侵害という犯罪にあたるが、税金で生計を立てている県議会議員の質問盗用は、納税者である県民を裏切る悪質な行為と言わざるを得ない。なぜこのような愚かな行為に走ったのか――。東県議に話を聞いた。
(以下、次稿)