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【2020鹿児島知事選】注目集める森鹿児島市長の動向

2020年2月26日 09:05

37bc02599b0406bd9357303d6f6aa692d4c0cd5c-thumb-autox201-19758.jpg 今年7月に行われる鹿児島県知事選挙の構図が定まらない。現職・三反園訓知事(61)に対抗する形で、伊藤祐一郎前知事(72)、塩田康一前九州経済産業局長(54)、有川博幸氏鹿児島大学特任助教(61)の3人が立候補を表明しているが、この他にも出馬を取り沙汰される人物がいて、有権者を戸惑わせているからだ。
 一部の自民党国会議員などが擁立に動いているのは、森博幸鹿児島市長(70)。この人が、「出る」とも「出ない」とも言わぬ態度を続けているため、事をややこしくしている。
(写真が森市長。鹿児島市HPより)

■「今のところ」で混乱
 森市長は鹿児島市出身。鹿児島市のラ・サール高等学校から横浜市立大学商学部に進み、卒業後の1974年、鹿児島市役所に就職した。財政部長、総務部長、総務局長を歴任したあと2004年の鹿児島市長選で初当選。16年まで4期連続で再選されたベテラン政治家だ。

 温厚な人柄で敵も少ないといわれるが、一方で市長在任期間中の15年間について、「取り立てて言うほどの実績はない」と厳しい評価を下す鹿児島市民は少なくない。2016年11月に行われた鹿児島市長選挙の投票率は、25%だった。ある県議会関係者は、こう解説する。
「森市長の長所は、何と言っても敵を作らない温厚な人柄。あの人がケンカしたという話は聞いたことがない。これといった失政もない。選挙には強いタイプで、だからこそ一部の国会議員が知事候補に推しているのだろう。県内最大の票田である鹿児島市の市長として4期連続で当選してきたという実績は重い。しかし、市長として目覚ましい活躍をしてきたかと聞かれれば、『はて?』と首をかしげざるを得ない。町村部で勝てるかどうかも疑問だ。年齢も現職の三反園より上で、その点でも不利。決してベストな人選とは言えないだろう」

 森市長を推しているのは、自民党の尾辻秀久元参議院副議長や野村哲郎参議院議員、県連幹事長の県議らだ。県連会長を務める森山裕自民党国対委員長が市長の意思確認に動くとされているが、森氏は市の予算が成立する3月議会が終わるまで、答えを出さないものとみられている。森氏にしてみれば、任期途中、しかも来年度予算の成立前に知事選への色気をみせることは避けたいとの思いだろう。だが、思わせぶりな森市長の言動が、関係者はもとより有権者をも振り回す状況になっている。

 1月の定例会見で“知事選に出馬する意向があるのか”と聞かれた森市長は、地元報道機関の記者と次のようなやり取りを行っていた。(*以下、会見の記録は鹿児島市HPより)

――知事選への出馬が取り沙汰されていますが、改めて市長のほうから、市長として任期を全うするということをおっしゃっていますが、改めて出馬する意向があるのか教えてください。 市長:先ほど、冒頭でも申し上げましたが、今年は私の4期目の最終年度ということでありますので、やはり4期目の締めくくりの年度として、市政を預かる者としては、市政にしっかりと取り組んでいくのが現状における私の気持ちです。

――現状における私の気持ちということは、100%出ないというわけではない。
市長それはここでは言えません

――ここでは言えない。
市長:だから私は今のところ市政に邁進していくということです。

――自民党の国会議員の会長ですが、森市長の出馬の意向を確認するという話をされていまして、市長としては、今と同様のことをお答えしたという認識でよろしいでしょうか。
市長:いえ、まだお会いしていません。

――森山県連会長と現時点でお会いされていないということですが、お会いされる予定があるのかどうかということの確認と、それから出馬について、あくまでも現時点でということでお話しになったのですが、森市長に待望論というのがあるわけですが、色々と条件が整えば、つまり自民党などの支援というものが固まったとすれば、そのときの対応、決断の仕方があるのかということを含んでいらっしゃるようなふうにも受けとめられるのですが、そのあたりについていかがでしょうか。
市長:まず、森山県連会長からの日程等については全くありません。それと、後段のほうですが、そういう含みもありませんし、現状は先ほど言いましたように、4期目の最終年度をしっかりと全うしたいというのが私が思っている気持ちでありますし、そのことで今、新年度予算編成等についても年間を通した予算編成をしっかりと取り組んでいます。

――こうした待望論が出ていることに関して、市長御自身の受けとめはどのようなものでしょうか。
市長:これまでの4期市政を預かってまいりました。その中の実績を評価していただいているのかなと受けとめておりますが、先ほど言いましたように、市長の任期を全うするのが市民の負託に応える私の務めではないかと思います。

――任期途中で降りる考えはないということでしょうか。
市長今のところはノーコメント、それは言えません。だから、私は今の気持ちは全うするということです。

――今日現在の気持ちとしてはということですか。
市長:はい。

――あと5期目への意欲というのはあるのでしょうか。
市長それも分かりません

 “出ない”と明言せず、思わせぶりな「今のところ」「言えない」を繰り返した森市長。「(知事の座に)色気がある」(県連関係者)とみるのが普通だろう。ところが、市長の周辺は「(市長は)知事選には出ませんよ」と断言するらしく、市長支持派も三反園支持派も疑心暗鬼になっている。政治家が駆け引きするのは当然のことだが、有権者を振り回す森氏の態度には記者も不快感を覚える。そもそも、森氏は本当に知事として適任なのか?

■森市長に問われる政治家の資質
 政治資金管理は、政治家にとってのイロハのイ。自分の政治資金や選挙資金さえ満足に管理できない人間が、自治体や国の予算をチェックできるはずがない。予算を組むのは、チェック以上に難しい作業だ。そうした意味で、森氏は政治家としての資質を欠いている。

 2017年、前年11月に行われた鹿児島市長選挙の際に森市長が、市と請負契約を結んでいた業者側から多額の寄附を受けていたことや不透明な政治資金処理を行っていたことが判明。HUNTERは、これを厳しく批判する記事を配信した。

 一連の報道を受けた市長陣営は、企業の幹部らが選挙に関して寄附した計約1,400万円を個別に返金。市選管に提出した選挙運動費用収支報告書を90カ所近く修正して幕引きを図る。他の自治体では考えられない「癒着」の実態だったが、森市長は「事務所の人間が勝手にやった。自分は知らなかった」という態度に終始していた。本当に知らなかったとすれば、森氏は担がれただけのただの神輿。知っていてとぼけていたのであれば、卑劣な政治家ということになる。どちらであるにせよ、知事に適任とは言えまい。

 森市長については、様々な意見がある。鹿児島市在住のある男性公務員は、次のように話す。
「確かに、県知事選の構図は、森市長の動き次第で大きく変わるでしょうね。ただ、ラ・サール出身者ばかりが3人も立候補する事態は何か異常。私はもっと新しい感覚の人に出てきてもらいたい。森さんはいつもニコニコしていて悪い人だとは思えないが、知事にはどうかな。情報発信力はないでしょう。出るのか出ないのかはっきりしない態度も良くない。『今は』とか、思わせぶりは良くない。スカッとしないのは嫌いですね」

 大隅地方の建設会社経営者は、森市長を推す声に真っ向から反論する。
「森さんは鹿児島市内では人気があるのでしょうが、他の地域でもそうだとは限らないでしょう。うちの町では誰も知らんよね。自民党の一部は『森なら勝てる』と言っているが、無理。鹿児島市の票だけでは現職は破れない。人材難で情けないが、私は伊藤前知事か塩田さんのどちらかで集約するしかないと思う。一本化ね。それしかない。とにかく、三反園の嘘つきに2期目をやらせてはいけない」

 
 



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