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【2020鹿児島知事選】伊藤前知事「出馬の意向」表明で広がる波紋

2020年1月16日 09:00

senkyo_img-thumb-270xauto-25080.jpg 今月9日、伊藤祐一郎前鹿児島県知事(72)が、今年夏に行われる知事選に出馬する意向であることを明らかにした。伊藤氏は2016年の知事選で三反園訓氏(61)に敗れて4選を阻まれており、知事選では珍しい雪辱戦となる。
 一方、三反園県政打倒を掲げて知事選に挑もうという新人は、鹿児島大学特任助教の有川博幸氏(61)と前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)の二人。現職の不人気が候補者増につながっているのは確かだが、新人と元職が入り乱れての知事選になれば、「現職を利するだけ」と票割れを懸念する声が上がり始めている。

■分かりにくい伊藤氏の動き
 今月20日以降に「出馬の意向」を表明するものとみられていた伊藤氏が、正月明けの段階で動いた。意思表示を前倒しした原因は、「森博幸鹿児島市長が出馬に前向きになったから」だと、ある県議会関係者は断言する。

 森鹿児島市長は、鹿児島ラ・サール高校出身で伊藤氏の後輩。温厚な人柄で知られるベテラン行政マンで、尾辻秀久元参議院副議長や野村哲郎参議院議員らが知事選出馬を促してきたという。「出るとも出ないとも言わない」(県政会関係者)態度を続けてきた森市長が、出馬に前向きな姿勢を示したのは年が明けてのこと。この状況は、すぐに伊藤氏周辺に伝わっていた。

 3年半前まで、県庁所在地の首長として先輩である知事と良好な関係を保っていた森氏――。捲土重来を期そうという先輩を差し置いて、出馬することなどできないはずと、伊藤氏側が先手を打ったということらしい。

 ただ、伊藤氏の動きは分かりにくい。9日に行ったのは、明確な出馬表明ではなく「出馬の意向の表明」。正式表明の時期が未定であることから、三反園知事や森市長を応援する勢力に足止めすることが、伊藤氏の最大の狙いだったとみるべきだろう。実際、「森市長の知事選出馬はなくなった」とみる関係者がほとんどで、今月中に予定される自民党の県議団総会も、三反園推薦を決められる雰囲気ではなくなっている。

da84687b9fd1ae8113eaa78ac32d476163692e2c.png■注目される22日の自民党県議団総会
 その自民党の県議団総会は22日に開かれ、三反園知事から出された推薦願への対応を協議する予定だ。昨年、自民党県議団は団総会を3回開いて意見集約を図ったが、話がまとまらず決定を見送り。個別の意思確認の結果は、左の表のとおりだったという。

 三反園推薦を求めたのは、38人中16人で過半数未満。反対が8人、時期尚早は14人で、「推薦を認めない」という県議が22人もいた。現職には厳しい結果だが、これがペテン師と呼ばれる三反園氏への評価なのである。

 県議団の議論放棄を受けて暮れに開かれた県連の選対会議では、会長の森山裕自民党国対委員長が“出たい人と出したい人がいる”現状について説明した上で、再度県議団で議論するよう指示していた。

■伊藤氏出馬で情勢混沌
 森山県連会長が言った「出たい人」とは伊藤前知事、「出したい人」というのが森鹿児島市長にあたる。塩田前九州経済産業局長も出たい人のひとりになるが、すでに自民党県連に推薦願を提出済み。このため、22日の団総会までに伊藤氏が推薦願を出すかどうかが注目される状況となっている。ただし、仮に伊藤氏が推薦願提出を見送ったとしても、結論は先送りになる見通しだ。

 前回の知事選で敗れたとはいえ、伊藤氏は3期12年間鹿児島県政のトップだった人物。世話になった県議は少なくない。例えば、若手のエースといわれる自民党県議団会長の藤崎剛議員の仲人は前知事で、伊藤氏出馬が現実のものとなれば、「藤崎さんは伊藤支援に回らざるを得ない」(自民党関係者)とみられている。三反園寄りになりかけていた中間派のうち、伊藤氏の影響力が強く残る地域の県議らは、そろって「伊藤支持」の姿勢に転じているという。
 
 こうした事態を受けての22日の団総会――。“現職推薦”で中央突破を図ろうとしていた外薗勝蔵県議会議長らの目論見はすでに頓挫しており、三反園推薦は遠のくばかりだ。ある県議会関係者は、こう嘆く。
「なんで伊藤さんが出てくるのか……。嘘ばかりつく三反園が知事失格であることは確かだが、いまさら伊藤さんを担ぐわけにはいかない。前回知事選では、9万票近くも離されての敗戦。県民は伊藤県政にダメ出ししたんだから。伊藤さんは三反園より優秀だし嘘もつかない人だが、県民の評価は変わらない。だからといって三反園というわけにもいかないし、困った。何より、反三反園の票が割れるのが痛い」

 別の県関係者は、違った見方だ。
「候補者が乱立するのは、現職への評価が低い証拠。特に鹿児島市内などの都市部では、三反園さんの評判が悪い。前回知事選で伊藤さんが負けたのは、都市部で三反園が圧勝したから。郡部はほとんど伊藤さんだったのに、市部での伊藤さんの不人気が4選を阻んだ。今回は、その時の逆。市部で三反園は負ける。誰かとの一騎打ちなら、三反園再選はないだろう。ただ、出てくる候補者はラ・サール出身者ばかり。伊藤さんにとっては、ラ・サール・東大の後輩になる塩田さんも出るんだから、同じラ・サール組の森市長と3人で、候補者調整でもやったらどうか。話がまとまって候補者一本化が実現すれば、現職の強力な対抗馬になる」

 三反園氏の不人気が招いた県政の混乱に、伊藤氏出馬が拍車をかけた形。「反三反園」で票が割れ、現職を利することになる可能性もあるが、選択肢が増えることは悪いことではあるまい。

 



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