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永田町が注目する「IR三羽烏」と「疑獄の背景」

2020年1月10日 08:15

publicdomainq-0023706sfdpuh.jpg 元内閣府副大臣・秋元司容疑者の逮捕で始まったIR疑獄。政権が成長戦略の切り札に位置付けてきたカジノを含む統合型リゾート(IR)事業は、“チャイナマネー”で汚染されていた。
 東京地検特捜部の捜査は拡大する一方で、次々と政治家の名前が挙がる状況。白須賀貴樹衆院議員や勝沼営明前衆院議員らの関係先にも家宅捜索が入り、事情聴取もはじまったという。
 そうした中、秋元容疑者が逮捕前に語ったという「IR三羽烏」の存在や疑獄の背景に、永田町の注目が集まっている。

■「IR三羽烏」
 秋元容疑者は今後、贈賄側の中国企業「500ドットコム」側から200万円の講演料を受け取ったことや、プライベートジェットで中国に行った際に旅行代金を支払っていなかったことで、再逮捕される見込みだ。
「最初の逮捕が370万円分だった。次の再逮捕で秋元容疑者への賄賂は1,000万円近くになる。だが、特捜部は一連のIR疑惑で他にも狙っている議員がいる。秋元容疑者より上の金額だな」(捜査関係者)

 そうなると、白須賀議員が次のターゲットではないことがよくわかる。さらなる「大物」が控えているということだ。いったい「大物」は誰なのか?秋元容疑者は逮捕前、「IR三羽烏」の存在をほのめかしていたが、永田町は、その3人についての話でもちきりだ。ある自民党議員の秘書は、声を潜めてこう話す。
「今、IRでは秋元容疑者に加えて、500ドットコムから100万円をもらって、政治資金の報告をしていなかった下地氏など、菅官房長官に近い議員が目立つ。だが、国策だから、当然、最高責任者は安倍首相。IR三羽烏?秋元容疑者は、安倍首相に極めて近いAや、身の丈に合わないながら首相側近と言われるBらが『2,000万円もらったIR三羽烏』と言い残して逮捕されている。そのあたりが次のターゲットではないのかな」(自民党関係者)

 「安倍首相に極めて近いA」や、「身の丈に合わないながら首相側近と言われるB」が誰かは、容易に想像がつく。特に現役閣僚のBについては、他にも様々な疑惑が囁かれており、“再び”政権の足を引っ張る可能性がある。

■「疑獄の背景」
 これまで、IR疑惑で登場した政治家は秋元容疑者を含めて8人。日本維新の会を離党した下地幹郎衆院議員を除いては、すべて自民党の主要派閥に所属する議員らだ(下の表参照)。

IR疑獄.png

 特定の派閥を狙って仕掛けられた疑惑でないことは確かだが、菅義偉官房長官をターゲットにした捜査を疑う政界関係者は少なくない。ある古参秘書は、「安倍vs菅の代理戦争だ。利権をめぐる暗闘だよ」と明言する。
「菅さんは昨年12月、熊本の被災地を視察した帰り、記者団に『(外国人観光客誘致のため)全国に高級ホテルを50カ所新設する』と大風呂敷を広げた。世界レベルのホテルが不足しているから、財政投融資制度などを活用して全国にスイートルームを多数備えた高級ホテルを50カ所程度新設するという話。復興途中の熊本で高級ホテルなんて無神経、もちろん被災地が怒ったのは当然だけど、菅発言に一番色をなしたのは安倍さんだった。『俺は高級ホテル50カ所なんて聞いていない!』ということ。それ以来、二人は目も合わせない。菅さんが閣僚に押し込んだ菅原一秀と河井克行が相次いで大臣をクビになったことも、安倍さんサイドの差し金ではないかという噂が出たほど、二人の仲は悪化している。IRは菅さんの利権だとされてきたが、総理の周辺が黙ってみているわけはないからね」

 秋元容疑者逮捕でますます、ブラック化するIR。政権の成長戦略がチャイナマネーで汚染されていたことで、IRの先行きが見通せなくなったのは事実だ。永田町では「次に逮捕者が出れば、カジノはもう終わり。できないよ。責任をとらされるのは菅官房長官だ」との声しきりだ。


 



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