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歪む市政に厳しい批判 -鹿児島県指宿市-

2020年1月31日 09:45

指宿市役所.JPG 市政の問題点を記した印刷物を配布した9人の市議会議員に、極めて低レベルな質問書を送りつけ、回答を迫った鹿児島県指宿市の豊留悦男市長。市長の暴走を止めなければならない立場である市ナンバー2の副市長も、議会無視の愚行を当然ととらえて憚らない残念な人物だった。
 HUNTERが一連の動きを報じたところ、指宿市民から多くのメールが――。お粗末な市政の現状を嘆くと同時に、9人の市議が市長の質問書にどう対応したのかを問う内容だ。そこで、質問書を発送して答えを求めながら、回答の公開方法も決めていないとする指宿市の執行部に代わり、HUNTERが市議らの回答文を掲載する。 

■市議らの回答文
 昨年12月に発出された豊留市長の質問書は、9人の市議らが作成し、市内各戸に配布したチラシの細かい部分について、市議らの認識を確認する内容。表紙部分に記された建物のイラスト(下の画像がその該当部分)について、こうした建築物が実際に建設されると認識していたかどうかを問うという、幼稚な質問だ。趣旨も不明確で、公費支出の正当性が疑われる内容だった。

 質問書には「ご回答の有無及びご回答の内容につきましては、公開させていただけますので、あらかじめご了承賜りますよう、お願い申し上げます」の一文があったため、9人の市議は統一見解をまとめ、今月中旬頃連名で市に回答を送ったという。下が、その原文である。

 私たちが発したチラシは、市の計画する「地熱の恵みプロジェクト」の主な内容や、それを実現せんがための議会への介入、アンケート結果に表れた住民意思を都合よく解釈するなどの恣意的行為、JOGMECによる不採択決定などを記載したものです。

 ご指摘のイラストについては、「予定地」と記載してある通りにヘルシーランド内という位置関係を示すものであり建物構造や形状を示すものではありません。従って設問にはこたえようがなく別紙にて回答させていただきました。
 
 付け加えさせていただくならば、今回の質問項目が公費を使ってまで行われるべきものか、甚だ疑問に思います。

 
■チラシの現物
 問題のチラシは、カラーA4判二つ折り4ページの印刷物で、市長が進める「地熱の恵み活用プロジェクト」の問題点を列挙し、施策の必要性に疑問を投げかける内容。次の画像が、HUNTERが入手した現物である(*各ページはクリックで拡大)。

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■市民の声
 表紙部分に記された建物のイラストは、どう見てもただのイメージ図。目くじらをたてるようなものではない。印刷物の内容には触れず、重箱の隅をつつくようなマネをした市の執行部には、HUNTERの記事を読んだ多くの市民が呆れ顔だ。

 指宿市民の声の中から、いくつかを紹介しておきたい。
「市は広報紙『いぶすき』で、市長が進める『地熱の恵み活用プロジェクト』のことを宣伝してきました。一方、そのプロジェクトに反対する住民や旅館・ホテル業界、市長と距離を置く9人の市議さんたちは、独自に印刷物を作って理解を求めていくしかないのが実情です。
 今回の騒ぎは、市長や副市長が、市議らのチラシに過剰反応したということ。イラストにケチをつけるなんて、子供じみています。こんなことをやっている暇があるのなら、市の活性策でも考えてほしい。地熱発電しか思い浮かばないというのなら、そんな市長は交代してもらったほうがいい」(指宿市・40代主婦

「バカげています。市会議員が配った印刷物に、くだらない質問をぶつけて何の意味があるのでしょう。議論したいのなら、議会でやればいい。それをわざわざ公費を使って質問書を送りつけるなんて、他の市町村から笑われるだけです。
 そもそも、「地熱の恵みプロジェクト」は、国の外郭団体が2回もダメだといったわけで、市長はそのことを真摯に受け止めるべきでしょう。それを、まだやるというのは間違い。市長と事業者である九州電力の癒着を疑われてもおかしくない話ではないでしょうか」(指宿市・50代会社社長

「こんな幼稚な質問書を、公費を使って送り付けるなんて、面白い市長さんだ。市議さんたちが出した回答を、どのよう形で公開するのか楽しみになってきた。そこにどんなインネンをつけるのかも楽しみ。早く見たい。しかし、この程度の人がよく市長になれたなと、そっちの方でも感心している。副市長さんと記者さんとのやり取りが事実なら、本気で他のまちへの引っ越しを考えなければならないけど……」(指宿市に転居して3年の40代男性



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