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頓挫した立憲・国民の合流話

2020年1月17日 09:15

ae5c744b009c5bfed1757198373d10896a2c08d2-thumb-230xauto-24801.jpg “吸収合併”の姿勢を崩そうとしない立憲民主党に対し、党名変更を睨んだ“対等合併”にこだわる国民民主党――。意地の張り合いも最終局面に入り、昨年から続いてきた両党の合流話が、ご破算になる可能性が高くなった。
 何をやっても支持率が上がらない国民民主党の不人気に引っ張られる形で、立憲の支持率も急降下。有権者の顰蹙を買う現状に、20日の通常国会開幕を控えた両党議員たちの間にもあきらめムードが漂い出している。

■合流に期待感なし
 今月になってNHKが行った世論調査では、安倍内閣を「支持する」と答えた人が44%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は38%。同時期の共同通信の調査では「支持する」が49.3%、「支持しない」が36.7%という結果だった。「桜を見る会」の問題や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件の影響があるはずなのに、「支持」が「不支持」を上回る状況だ。

 NHK調査の政党支持率は、自民党40.0、立憲民主党5.4、国民民主党0.9、共産党2.9、支持なし38.5。“立憲民主党と国民民主党の合流に期待しているか”という質問に対しては、「あまり期待していない」が38%、「まったく期待していない」が31%で、「大いに期待している」5%、「ある程度期待している」18%だった。調査に応じた人の7割は、野党第一党の合流話を見放しているということになる。仮に合流が実現しても、支持率は上がらないものとみられている。
  
■原発、憲法で相容れない両党
 そもそも、原発と憲法という国の根本に関わる問題で一致することのない両党を、一つにまとようと考えるのが無理な話。むしろ、有権者をバカにしているとしか思えない。

 周知の通り、立憲は原発ゼロ社会を目指しており、『すべての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定する』ことなどを盛り込んだ「原発ゼロ基本法」の制定が公約。原発の新・増設は、建設中・計画中を問わず中止にする方針で、40年廃炉も当然とする考え方だ。

 一方、国民民主党は、原発ゼロ社会を目指すとしながら目標点は「2030年代」。「できるだけ早期に原子力に依存しない社会を実現する」とするものの、“40年廃炉”にしても“新・増設中止”にしても、前提に「原則として」という例外があるという意味合いを含む言葉が付けられている。安倍政権が成長戦略の一つにしながら失敗した「原発の海外輸出」にも、反対ではない。

 国民民主党が原発に寛容なのは当然だ。同党には、東電労組出身の小林正夫と関電労組出身の浜野喜史という電力総連の組織内候補が二人もいる。両人がホームページに掲載している活動報告は、電力労組絡みの事例ばかりで、浜野氏に至っては“原発”に関する質問の模様を堂々とサイト上で流す徹底ぶりなのである。こうした議員を抱え、電力や電機といった原発推進の方向性を持った労組に支えられる国民民主党が、反原発の立場を鮮明にする立憲とうまく折り合うはずがない。

 実際、昨年は浜野氏を巡って両党間でひと悶着あった。立憲民主党の菅直人元首相が10月、自身のツイッターに、参議院経済産業委員会の野党筆頭理事に浜野氏が就いたことを批判。関電幹部らが福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から3億円を超す金品を受け取っていた問題と絡め、「国民の期待を裏切る人事」だとして撤回を求めたのだ。これに国民側が猛反発。謝罪・撤回を求めて大騒ぎし、最終的に菅氏が謝罪に追い込まれていた。

 菅氏の主張は何一つ間違っていないのだが、合流話が進む最中であったため、立憲側の腰が砕けた。原発擁護の姿勢を鮮明にした国民民主と、電力労組の圧力に負けた立憲――。こんな政党の支持率が、上がるわけがない。

 憲法についての考え方にも開きがある。立憲は、党名が示す通り「立憲的憲法論議」が基本スタンス。憲法に関する議論はするが、安倍政権下での改憲には反対だ。しかし、国民民主は改憲志向。安倍政権下での改憲には消極的だが、「絶対反対」という議員は少数でしかない。

 理由は簡単で、立憲を支持する労組が「護憲」を基本方針としてきた旧総評系であるのに対し、国民民主を支えているのが右寄りの旧同盟系民間労組だからだ。旧民主党時代から続く路線対立の要因は、いまだに消えていない。

 国の根幹である憲法に関する考え方が180度違う集団が選挙目当てに固まるのは、有権者を愚弄する行為と言えるのではないか。原発擁護・改憲賛成の政治家は、いっそのこと支持労組ごと自民党に入ってもらった方が分かりやすい。国民民主党は、20日の通常国会開幕日に、両院議員総会を開いて合流についての議論をするとしている。



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