来年夏に予定される鹿児島県知事選挙で、再選を目指す三反園訓鹿児島県知事から出された推薦願への対応を協議していた自民党県議団の執行部が、各議員に行ったヒアリングの結果が判明した。
県連関係者の話によると、38人の自民党県議のうち三反園推薦に賛成したのは半数に満たない数で、「反対」もしくは「時期尚早」とする事実上の反対が約6割。記者団に対し「(三反園)推薦を求める声が多かった」とした藤崎剛県議団会長のコメントは実態をともなっておらず、自信満々に“大方の県議が推薦に賛成した”と胸を張った知事の発言は真っ赤な嘘だったことになる。
3年半前の知事選で、川内原発の「廃炉」をだしに有権者や反原発派を欺いた三反園氏が、またしても県民をペテンに掛けた格好だ。
■県議団の一部と知事が組んだ茶番
三反園氏から出された推薦願への対応を協議していた自民党県議団の執行部は17・18の両日、推薦に対する考えを個別に徴取。18日に開いた団総会では、結論を出さぬまま党県連に判断を委ねることを決めていた。
総会の後、コメントを求められた藤崎県議団会長は、同日の決定について「(三反園氏の)推薦を求める声が多かったものの、慎重もしくは反対の意見もそれぞれありました。県議団としての意見集約はせずに、今後の議論を県連に委ねる」と発言。あたかも、県議団全体が推薦に傾いているかのような印象を与える形となっていた。(*下の写真は藤崎県議のHPより)
一方、三反園知事は、18日の早い時間に県連を訪問することを報道各社に通知。団総会の結論を事前に知っていたとしか思えない動きをみせ、テレビカメラの前では「大方の方はですね、(三反園に)推薦を、というご意見だったということで、県連の方に(判断を委ねた)ということを聞いております」と余裕の表情を見せていた。(*三反園氏の写真は県庁HPより)
県議団執行部によるヒアリング結果は未公開。三反園推薦に賛成、反対がそれぞれ何人いたのか、県議団総会でも明かされないままとなっていたため、HUNTERが取材を続けていた。22日までに判明した賛否の内訳は次の通りである。
推薦を求めたのは、38人中16人で過半数にも達していない。反対が8人で、時期尚早は14人。現時点では「推薦を認めない」という県議が22人もいたことになる。
藤崎県議団会長の「推薦を求める声が多かったものの」は不正確な情報で、県民に正しい状況を伝えるつもりなら「半数以上は推薦に反対もしくは慎重」と言うべき。三反園知事の“大方の県議が推薦に賛成”というコメントに至っては明らかな虚偽であり、“二人が示し合わせて県民を騙した”と言われても文句は言えまい。
ある県議会関係者は、次のように話している。
「茶番だ。賛否それぞれの数を伏せて、推薦を求める声が大きかったように見せかけ、県民を欺こうとしたんだろう。タチの悪い印象操作じゃないか。団総会の直後に三反園が県連を訪ねたが、事前に報道各社に連絡が行っており、これは県議団の一部と連携がとれていた証拠だ。だいたい、三反園に『大方が推薦に賛成』などと吹き込んだのは誰か。県議でさえ知らない情報を、なぜ三反園がテレビカメラの前でしゃべれたのか。藤崎さんの『推薦を求める声が多かった』と『大方が推薦に賛成』がつながっているとしたら大問題だ」
別の県連関係者は、声を潜めて内情を語る。
「推薦に賛成とした県議の中には、圧力を受けて、そう答えた人が何人かいる。いわゆる中間派の県議ら。県議団の副会長らは三反園派で、そいつらから強く言われたという話だ。藤崎の『推薦を求める声が多かった』は、三反園を推す(外薗勝蔵)議長あたりが描いたシナリオ通りの談話だろう。その延長線上に三反園の『大方が賛成』がある。明らかな印象操作。県民を騙したと言われても仕方がない展開だった」
22日、県議団の議論放棄を受けて開かれた県連の選対会議では、会長の森山裕自民党国対委員長が、23日に出馬会見を行う予定の塩田康一前九州経済産業局長の動向や、他にも“出たい人と出したい人がいる”現状について説明。知事選の推薦は党本部マターであると断った上で、再度県議団で議論するよう指示したという。推薦願に関する議論を差し戻された県議団は、立候補予定者が出そろうのを待って協議を再開するものとみられている。