「桜を見る会」の問題で、追い詰められた安倍政権。一強に陰りが見え始めているだけに「忖度」など無用のはずだが、よほど政権が怖いのか、朝日新聞の関連会社が新聞折込業務で思わぬ弱腰を見せ、関係者をあ然とさせている。
騒ぎのもとは、ある野党議員陣営が作成した政権批判の印刷物。桜を見る会と地元で計画されている公共事業の問題点をまとめ新聞折込で頒布しようとしたところ、なぜか朝日だけが折込を拒否するという不可解な対応を見せている。
■政権への「忖度」?
立憲民主党所属のある議員の陣営が、「桜を見る会」の問題点をまとめて印刷物を作成した(下参照)。裏面は、地元で浮上した公共事業関連の記事で、取り立てて問題視するような内容ではない。
陣営は、印刷物をあるエリア内に頒布するため、地元紙系列の折込専門会社N社に連絡。朝日、読売、日経の3紙に地元紙を含めた4紙への折込を依頼し、承諾の返事をもらったという。
事態が急転したのはその数日後。作業の取りまとめを行っていた地元紙系列のN社から、新聞各紙の系列にある折込会社が、問題の印刷物の折込に難色を示しているという連絡があった。
印刷物の頒布を計画した議員の陣営は、戸惑うばかり。状況を知ったHUNTERの記者が知り合いの新聞記者に印刷物を見せてみたが、「難しい内容ではないですがね」という首をひねる。事前に印刷物の内容をチェックし合った上での折込計画だったため、陣営側もN社も「はい、そうですか」と引き下がるわけにはいかない。折込各社に再確認を求めたところ、地元紙と全国紙2誌が折込OK、1紙だけが拒否という結果になった。
折込を断ってきたのは、朝日新聞の折込専門会社。政権寄りの読売が折込を認める一方で、安倍政権と厳しく対峙してきたはずの同紙の系列が、政権に「忖度」した形だ。
新聞各紙の折込に、議員や政党の印刷物が入ることは日常茶飯。珍しいことではない。問題の印刷物を精査してみたが、政権批判ではあるが誹謗中傷の類では決してない。朝日の折込受託基準に合致していないということなのだろうが、立憲の議員側には折込拒否の理由は明かされていないという。