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安倍政治と「規範意識」

2019年12月 2日 09:15

桜3.png 40年近くも前の話になるが秦野章という政治家が「(政治家に)正直や清潔などという徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれと言うのに等しい」と発言し、物議を醸したことがある。秦野さんは警視総監から政界に転じ、法務大臣までやった人物。ルール違反を取り締まる立場の彼の言葉に、多くの国民が呆れたものだった。
 ただし、正直や清潔とは無縁とみられていた当時の政治家でも「公」と「私」を分けて考えるくらいの分別はあったし、首相や大臣、都道府県知事といった立場の人たちは特にその点には厳しかったと記憶している。
 大きく変わったのは、安倍晋三氏が首相再登板を果たしてから。この7年間で、政治家と役人の「規範意識」が過去の遺物になった。(写真は官邸HPより)

■税金使って支持者接待
 安倍政権下の「桜を見る会」は、規範意識の欠如がもたらした“汚れた政治”の象徴と言えるだろう。政府は《各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため》と説明してきたが、少なくとも2012年12月に第二次安倍政権が発足してからの桜を見る会は、税金を使って、招待した数千人もの自民党支持者を酒や食事でもてなす場と化している。そこに、反社の連中まで呼び入れていたというのだから、汚れ方も尋常ではない。

 2013年に12,000人だった同会の参加者が、今年4月には18,200人にまで増え、14年で約3,000万円とされた支出額は今年、ついに5,500万円にまで膨らんでいる。今年の桜を見る会に参加した安倍首相の後援会関係者は800人超。税金を使った選挙運動を、総理大臣が率先してやっているのだから始末が悪い。
(下は、今年の桜を見る会。官邸HPより)

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■繰り返される隠蔽
 事が露見したとたん、政官挙あげてなりふり構わぬ隠蔽工作に走るもの安倍政治の特徴だ。招待者リストなどの関連文書を内閣府がシュレッダーにかけて廃棄処分にしたのは、森友・加計で公文書の改ざんまでやった霞が関による隠蔽の一手法。都合の悪い証拠の存在を消して逃げ切りを図るつもりなのだろうが、「資料請求があった日とシュレッダーにかけた日が、たまたま重なった」などという子供にも笑われそうな幼稚な言い訳を、信じる国民は皆無に近いだろう。

 森友、加計では、役所が「ない」と断言していた当事者との協議記録が出てきたし、ジャーナリストの開示請求に不存在だと答えた陸上自衛隊南スーダンPKO部隊の日報も、存在が確認されて大きな騒ぎとなった。始末されたはずの桜を見る会の招待者名簿も、出てくる可能性が高い。

 そもそも、招待者名簿を廃棄してしまえば、公費支出の正当性を証明することができなくなる上、翌年になって誰を呼ぶか検討する際の参考資料を失うことになる。官僚組織では到底あり得ない話を持ち出さざるを得なくなったところに、政府の苦悩がにじみ出ている。

 政権を揺るがしてきた森友学園と加計学園の問題で問われたのは、国の最高権力者が友人・知人を優遇する安倍政治の是非だった。税金で支持者を接待した桜を見る会も同じ構図であり、首相に規範意識があれば、起きていない事件なのである。

 嘘やでっち上げを駆使して政権を維持してきた安倍に、いまさら正直さや清潔さを求めるつもりはない。だが、「公・私」の区別をつけるという政治家として守らなければならない最低限のルールを、破った責任はとるべきだろう。
 
■首相を真似る知事たち
 困ったもので、都道府県知事の中にも「規範意識」が欠如したバカ殿が増えてきた。今年9月には、日本を襲った台風15号の被害が拡大する中、森田健作千葉県知事が公用車で千葉県・芝山町にある「私邸」を訪れていたことが発覚。会見で記者団の追及を受け、「これが自分の政治スタイル」だと開き直った。公私の区別がついていないことは明らか。知事を3期務めてきた森田氏が、4選を果たすことはないとみられている。

 三反園訓鹿児島県知事の評判も悪い。日本中が熱狂したラグビーワールドカップ「日本対南アフリカ」の試合観戦を思い立った三反園氏は、部下に命じて裏ルートで特別なチケットを入手。公務扱いにして旅費を浮かせ、酒まで飲んで熱戦に酔いしれていた。

 公私の区別がつかない首相を真似て、知事まで狂いだした日本――。増税や値上げラッシュに苦しむ国民に、申し訳ないという思いはないのだろうか。




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