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ペテン師・三反園訓を知事にした「政策合意文書」の重み

2019年12月 6日 08:45

県民党--5.jpg 今月3日、三反園訓鹿児島県知事が、自民党県議団の代表質問に答える形で再選出馬を表明した。2016年の知事選で、伊藤祐一郎前知事を破って初当選を果たしてから約3年半。原発立地自治体に「反原発」の姿勢を打ち出した首長が登場したことで注目を浴びた三反園氏が、今度は原発推進の自民、公明に推薦願を提出するのだという。
 「変節漢」「ペテン師」「詐欺師」――。前回知事選で寝食を忘れて三反園支援に走り回った人達からは、厳しい批判の声が上がる状況となっている。
 改めて注目されるのは、三反園県政の出発点となった「政策合意文書」の存在である。

■自民党県議の質問に答える形で出馬表明
 県議会開会直前、自民党県議団の中では、知事に「出馬に向けた意思を聞くべき」とする意見と「聞くべきではない」とする意見がぶつかり、激しいやりとりが続いていたという。

 結局、知事にへつらう外薗勝蔵議長らの声に押される形で代表質問が行われ、答弁に立った知事は「再び県民の皆様のご支持ご支援がいただけるならば、引き続き県政を担当させていただきたい」と述べ、来年夏に予定される知事選で再選を目指す意向を明らかにした。知事は、前回知事選で敵対した自民党と公明党に、推薦を依頼するとしている。

■政策合意の前提は『廃炉』と『反原発派を入れた原発検討組織』
 三反園氏は、「恥」という言葉を知らないのだろう。そうでなければ、反原発の色彩が濃い「政策合意」を結んでまで立候補を断念させた相手を、無視し続けることなどできないはずだ。

 2016年6月、鹿児島市内で協議を行っていた三反園氏と反原発派は下の政策合意文書に署名・捺印し、すでに知事選出馬を表明していた平良行雄氏が現職への挑戦権を三反園氏に譲ることを決める。県政の転換点となる候補者一本化だった。

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 反原発派が、いったん頓挫した一本化協議に応じ「政策合意」を結んだのは、三反園氏が『廃炉』を前提に『反原発派を入れた原発検討組織の設置』を提案したからだ。

 政策合意によって実現した候補者一本化は功を奏し三反園氏は426,471票を獲得、342,239票の伊藤氏を引き離し、知事の座に就く。「脱原発」「反原発」を願う有権者の票がなければ、三反園県政は誕生していなかったということだ。そうした意味で、前掲の「政策合意文書」は三反園県政の原点であり、絶対に守らなければならない内容だった。しかし……。

■自民党支持者からも厳しい批判
 平良氏ら反原発派の関係者は、何度も「私を信じてもらいたい」と訴えた三反園氏が、よもや裏切るとは思ってもみなかったと振り返る。結果として、反原発派は政策合意を事実上反故にされ、知事になった三反園は面会にも応じなくなる。電話やメールにも全く反応しない知事に、多くの関係者が呆れかえった。自民党支持者も例外ではない。鹿児島市在住のある女性経営者は、知事への憤りを隠そうとしない。
「ペテンにかけるとは、こういうことを言うのでしょうね。私は自民党支持者ですけど、三反園さんのやり方には人として怒りを覚える。原発を止めると断言し、就任直後の会見でも『廃炉』と言っていた三反園さんが、恩人であるはずの平良さんを平然と無視し、会おうともしなかった。原発検討組織に反原発派を入れるという約束も、あっさり破られた。組織はできたけど、原発容認論者ばかりじゃ意味がない。私たち県民は、騙されたんです。そして今度は、原発推進の自民党から推薦をもらおうというのだから、あきれてものが言えない。『恥を知れ』と言いたいところですが、彼の辞書に『恥』という言葉はないのでしょう。そうでなければ、これほど無節操な生き方はできない。それにしても、三反園さんと反原発派が結んだ政策合意書の罪は大きい。あれがなければ、ペテン師が知事になることはなかったんですから」

 女性経営者が言う通り、三反園氏が政策合意の前提だと断言した「廃炉」は消え去り、「反原発の方々など幅広い人に入ってもらう」と確約した「鹿児島県原子力安全・避難計画防災専門委員会」(合意書では『原子力問題検討委員会』)の委員には、反原発派ではなく九州電力から研究費をもらっていた学者が入った。

 選挙公約だった九電への原発停止要請は行われたものの、形だけ。通常点検と同レベルの「特別点検」でお茶を濁し、専門委員会は、原子炉の安全性を検証しないまま、営業運転にお墨付きを与えた。HUNTERの鹿児島県への情報公開請求で、専門委の人選理由が記録として残されていなかったことも明らかとなっている。

 三反園氏は9月、県会議員になった平良氏と3年ぶりに議場で再会。原発政策について見解を問う平良氏に、「政策合意は守った」と言い張った。詭弁である。政策合意文書の内容は守られているようにみえるが、合意の大前提となった「廃炉」や「反原発派を入れた検討委」が、排除されているからだ。そもそも、「廃炉」や「反原発派を入れた検討委」を実現しようとする人物を、一部とはいえ自民党の議員が推すはずがない。

 「桜を見る会」で疑惑にまみれた自民党に泣きつき、再選を図ろうと目論むペテン師知事に、2度目の万歳をやらせてはならない。すべての鹿児島県民が、「政策合意文書」が結ばれた本当の経過を知るべきである。


 



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