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東の森田・西の三反園 タレント知事の共通点 

2019年11月28日 08:30

gazou1.jpg かつて青春スターとして絶大な人気を誇った森田健作(本名:鈴木栄治)氏は千葉県知事になり、久米宏さんのニュースステーションで政治解説を担当していた三反園訓氏は鹿児島県で知事になった。いずれも知名度抜群で、選挙の強さは折り紙付きだ。
 実はこの二人、タレント候補であるということの他にも、いくつかの共通点がある。もちろん、誇れることではない。

■県政私物化
 今年9月に日本を襲った台風15号の対応を巡って、県内の被害が拡大する中、森田千葉県知事が公用車で千葉県・芝山町にある「私邸」を訪れていたことが発覚。会見で記者団の追及を受け、「これが自分の政治スタイル」だと開き直った。人気者ゆえの驕りなのか、公私の区別がついていないことを露呈。千葉県知事を3期務めてきた森田氏が、4選を果たすことはないとみられている。

 一方、鹿児島県知事の三反園氏は、日本中が熱狂したラグビーワールドカップ「日本対南アフリカ」の試合観戦を思い立ち、部下に命じて特別なチケットを入手。公務扱いにして旅費を浮かせ、酒まで飲んで熱戦に酔いしれていた。このバカ殿も、県政の私物化が大好きだ。

■不透明な政治資金処理
 二人の知事は、カネの扱いもだらしない。
 2017年3月の千葉県知事選で3度目の当選を果たした森田知事が、「選挙資金」として集めた収入は2,293万8,000円。これに対し、実際の支出額は1,209万1,126円(報告書記載の支出総額1,537万5,092円からポスターとビラの公費助成額3,283,966円を除く)で、差額1,084万6,874円が森田氏個人の懐に残った形となっていた。過去4回(1度目は落選)の知事選で約5,000万円の選挙余剰金があったことも報じられており、選挙を蓄財に利用していた疑いさえある。

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 政治資金や選挙資金の収支報告は、政治家としてのイロハのイ。だが、残念なことに三反園氏の政治資金処理は、“でたらめ”というしかない酷いものだ。2016年の鹿児島県知事選で大勝した三反園氏の陣営が県選管に提出したのは、後援会活動と選挙運動をごちゃ混ぜにした違法な報告書(下が修正されて訳が分からなくなった三反園氏の収支報告書。赤い書き込みはHUNTER)。HUNTERの指摘を受けて4度、計130カ所を超える修正を行っていた。その他にも、選挙助成金の不正受給や政治資金規正法、公職選挙法に抵触する資金処理など、「政治とカネ」の話題には事欠かない。

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■情報公開には消極的
 情報公開に対する後ろ向きの姿勢も、共通している。森田氏も三反園氏も、役所の改革にまったく興味がなかったらしく、47都道府県の中で、情報公開請求を受理して開示・不開示の決定を行うまでの“開示決定期限”が30日となっているのは、千葉と鹿児島だけ。他の自治体は、ほとんど14~15日で、両県には、多くの関係者から情報公開条例の改正が求められていた。

 三反園氏は報道出身のはずだが、定例会見で鹿児島県の情報公開制度が遅れていることを指摘され、次のように答えていた。

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■無能 
 森田千葉県知事は台風対策で無能ぶりをさらけ出したが、三反園氏も負けてはいない。選挙公約に掲げた「原発停止」も「指宿スカイラインの無料化」も出来ず終い。上げると言っていた県民所得も、相変わらず下(沖縄県)から2番目に止まる状況だ。鹿児島県の試算によれば、2020年度は歳出が歳入を上回り、一般財源ベースで87億円の財源不足に陥る予定。就任から3年で県財政を悪化させたというのだから、県民所得がどうのという次元の話ではない。

 無能な県政トップで迷惑を被るのは、そうした人物を選んだ県民であるということを忘れてはなるまい。



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