三反園訓知事が、裏ルートで入手した無償チケットを利用してラグビーワールドカップ準々決勝「日本対南アフリカ」の試合を観戦していた問題を巡り、HUNTERの情報公開請求を受けた鹿児島県が、複数の文書があるにもかかわらず、1枚の「招待状」だけを開示して事案の隠蔽を図ろうとしていることが分かった。
たった1枚の文書を開示するか否かの判断をするのにかかったのは、県情報公開条例の期限いっぱいとなる30日間。同条例を恣意的に運用し、都合の悪い情報を隠そうとする三反園県政が、ついに役所としての一線を越えた。
■露骨に隠蔽したが……
三反園知事が県の職員に「チケットを準備しろ」という命令を出したのは10月5日以降。すでに一般席が完売していた時期で、正規ルートでのチケット入手は不可能だった。
困った職員らが頼ったのは、県の諮問組織「かごしま幸せプロジェクト委員会」で委員を務めている溝畑宏氏鹿児島県特別顧問。溝畑氏は、W杯のスポンサーで鹿児島市内に営業所を構える東京の民間企業H社の代表を県に紹介し、県はH社の代表からチケット1枚を無償でもらっていた。
知事も県もH社からの「招待」だったとして問題の矮小化を図ったため、先月21日、県に対し『三反園知事が観戦したラグビーワールドカップ準々決勝日本対南アフリカ戦のチケットを入手した経緯が分かる文書』を開示請求していた。
これに対し、県が開示決定を出したのが今月20日。確認したところ、条例上の開示決定期限である30日いっぱいをかけて交付される文書は、たった1枚の「招待状」だということが分かった。
47都道府県の中で、開示決定期限を他の自治体の2倍となる「30日」に定めているのは千葉県と鹿児島県だけ。もともと情報公開に後ろ向きの県ではあるが、1枚きりの文書を開示するかどうかの判断に、30日もかけるのは単なる嫌がらせか、あるいは“時間稼ぎ”でしかない。
結論から述べると、鹿児島県の行為は極めて悪質な隠蔽。開示すべき情報を隠して、知事にとって都合の悪い事実を葬り去ろうということだろう。だが、HUNTERが確認している知事のラグビー観戦に関する文書は最低でも3枚。その現物を、次週の配信記事で明らかにする。