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「無邪気な小泉応援団」 ― 取材自粛メールNHK記者の正体

2019年11月11日 09:15

NHK.png 環境省の申し入れを受け、メールで記者クラブ関係者に小泉進次郎環境相への取材を自粛するよう呼びかけたNHKの記者が、同相が外交デビューを飾ったニューヨーク出張の「同行記」を執筆していたことが分かった。
 同行記の内容を見る限り、問題の記者は「無邪気な小泉応援団」(全国紙記者)。環境省が取材規制に動く原因として挙げた取材を巡るトラブルには一切触れず、小泉擁護としか思えない文言を書き連ねていた。

■小泉擁護「同行記」の呆れた内容
 環境省側の取材規制を容認しメールで取材自粛を呼びかけたNHKの記者が執筆していたのは、ニュースの裏舞台などをネット上で紹介する「NHK 政治マガジン」の『進次郎 ニューヨークへ~担当記者同行記~』(下は、HNK公式サイトの画面)。10月10日から、前編、後編の2回に分けて配信されていた。

NHK.png(前編 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/24086.html
後編 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/24162.html) 

 記事では冒頭から、政治・行政を担当する記者とは思えない“素直な感想”が綴られている。

9月21日の夕方。小泉大臣が成田空港に姿を現した。当初、環境省の担当者からは「出発時の空港でのぶら下がり取材はしない。質問もしないでほしい」と報道各社におふれが回っていた。

しかし大臣就任後初めて海外に行くのに、何もしゃべらないわけがない。そう考えてカメラマンと一緒に待ち構えていると…。

予想どおり飛行機に乗る前にカメラの前で立ち止まってくれた。うーん、いつもながら髪型もきまっていて、見た目はさわやかだ

 このNHKの記者は、問題のメールの中で、環境省側の「(取材を自粛しなければ)取材協力や便宜は図れない」という言い分を紹介した上で、「お互いにとっても良くない」「環境省側とも良好な関係を保つべく」と自分の思いを伝えていたが、どうやら“伝えるべきこと”を「事実」ではなく「自分の主張」だと思い込んでいるフシがある。

 次の一文からは、記者に必要な“問題意識”が欠如していることが分かる。

 私も同じ飛行機で同行するため機内へ。ちなみに大臣の座席はファーストクラスだが、これは「警備上必要な措置」として決められているものであり、けっしてぜいたくをしているわけではない。

 大臣のファーストクラス利用を「警備上必要な措置」と言われスンナリ納得しているようだが、この鈍感さには開いた口が塞がらない。「ファーストクラス利用は警備上の措置」は、贅沢批判を避けるため、政治家や役所がよく使う言い訳。この記者は、税金を使った出張であることを意識していない。政治家のファーストクラス利用を容認する姿勢は、NHKの体質からくるものだろう。

 同行記の内容は、いずれかの報道機関が報じたものばかりで、興味深い“舞台裏”が描かれているわけではない。むしろ、“小泉大臣のための作文”といった程度の低さで、話題になった「ステーキ」や「セクシー」については、積極的に小泉大臣の擁護に走っていた。

そうした中、「毎日でもステーキを食べたい」という大臣の発言が「環境問題に対する最近のトレンドを全く理解していない」という批判につながったのだ。
私個人としては「ステーキくらい、好きなだけ食べたらいいのにな」と思ってしまうのだが…
ただ、もし大臣が牛肉の大量生産が気候変動に少なからず影響を与えているという指摘を全く知らずに発言していたとすると…。ステーキ店に行って感想を聞かれる前に、誰か同行者がアドバイスしてあげられなかったのかなあと、ついかわいそうになってしまった
ここで、あの「セクシー」発言が飛び出した。「セクシー」とは「興味深い、わくわくするような」という意味で使われることもあるから、そこまで大騒ぎする話ではないとは思う

だが環境問題がこれほどまで深刻化している中で、やや誤解を生む表現だったのかなとも感じた。

ただこの「セクシー」という表現、小泉大臣のオリジナルではない。会見で隣に座っていた、国連気候変動枠組条約の前の事務局長の女性がこれまでよく使っていた言葉で、大臣はそれを引用しただけなのだが…

 バランスをとる必要があると思ったのか、国連でのスピーチに具体的な提言などがなかったことに「中身がない」と批判を加えておきながら、「仕方ない」でそれを弱めるという忙しさだ。

しかし3分間のスピーチで目新しい内容や具体的な取り組みに言及することはなかった

実際、温暖化対策にそこまで積極的ではない日本が現段階で言えることは少ないので、しかたない面もあるのだが…

それにしても中身がない。私はこのあとスピーチの内容を原稿に書いて東京のデスクに連絡しなければならなかったが、「果たしてニュースにするほどのことなのだろうか」と考えてしまった。

■「無邪気な小泉応援団」
 NHKの記者が、記者クラブ関係者に取材自粛を促すメールを送ったのは9月。小泉環境相がニューヨークに出張し、セクシーやステーキで批判された直後だ。そのあと記した同行記では、大臣が批判を浴びた一連の言動については擁護し、別のことで形だけの批判を行っていた。同行記を読んだある全国紙の記者が、「この(NHKの)記者は、無邪気な小泉応援団ですね」と苦笑いした。

 取材自粛メールは、小泉応援団としての気持ちが、素直に表れたものなのだろう。「小泉さんをいじめないで」と言った方が分かりやすいが……。



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