はじめに嘘をついたばかりに引っ込みがつかなくなったのか、あるいは世間をなめているのか――。三反園訓鹿児島県知事が、ラグビーワールドカップ準々決勝「日本対南アフリカ」の試合を、大会スポンサー企業から無償でもらった高額なチケットを利用して観戦していた問題で、報道機関の取材に対し「招待された一般席」と断言し、問題はないとする姿勢を示していることが分かった。
「一般席」は真っ赤な嘘。問題の終息を図りたいペテン師知事が、追い込まれて墓穴を掘った格好だ。
■「ご招待」は形だけ ― 不適切公務の実態
ラグビーワールドカップの公務観戦について報道各社のぶら下がり取材を受けた三反園知事は、記者団との短いやり取りの中で、「招待」と「一般席」を強調していた。
これまで報じてきた通り、すでに入手困難となっていた日本対南アフリカ戦のチケットを、「おねだり」(県関係者)したのは知事の方だ。形として招待されたことになっているだけで、チケットを「ただでもらった」(同)事実は揺るがない。
知事はさらに、自腹で行くべき試合観戦を“公務”に仕立て、特等席で熱戦を楽しんでいた。試合の前後に、県の溝畑宏特別顧問らと飲酒・飲食を楽しんでいたことも明らかとなっている。記者団とのやり取りの最後に、“公務として適切だったか?”と聞かれた知事は、「招待されて行ったんですよ、そこはご理解下さい」とコメントしたが、「ご理解」する県民は皆無に近いだろう。
(*下の写真は、チケットを仲介した鹿児島県顧問・溝畑宏氏(左端)のフェイスブック投稿より)
■「一般席」には県職員もあ然
しかし、一番理解できないのは、試合観戦の実態が暴かれた後だというのに「一般席」と断言できる知事の神経だ。三反園訓という男が希代のペテン師であることは多くの人が認めるところだが、ここまで平然と嘘をつけるものなのか――。改めて、知事が“無償”でもらったチケットと「席」について確認しておきたい。
知事が試合を楽しんだのは、屋根付きで“カテゴリーA”と呼ばれる席だ。ラグビーワールドカップ日本大会の公式サイトにある座席表(下、参照)によれば、知事が観戦を楽しんだ席は、赤い書き込みで示したあたりになる。ある県関係者は、「特等席だった」と証言している。
(*座席表の下は、チケット料金表。赤い書き込みはHUNTER)
通常のチケットだと4万円だが、高級な飲食が付く「ホスピタリティパッケージ」になると、準々決勝なら最低でも17万円という額に跳ね上がる。ただしここに来て、知事が座った席が、知事にチケットを贈った大会スポンサー企業が保有していた特定枠だったことが分かってきた。そうなると非売品。定価が決まっていない特別なチケットであり、20万円と言われれば20万円、30万円と言われれば30万円の値段が付くチケットだったということになる。一般人が入手できない席が「一般席」と言えるのか――?答えが「NO」であることは、子供でも分かる話である。
ある鹿児島県職員の話。
「知事がテレビのニュースで『一般席』だと断言したのを見て、あ然となりました。それまでのHUNTERの報道で、知事がもらったチケットが、一般人では入手できない特別なものであることが明らかとなっていたからです。県庁内部でも、ほとんどの職員が呆れているのが実情です。こんな嘘つきが鹿児島県の知事なんですから、モチベーションは下がる一方です」
28日には知事の定例会見が予定されている。おそらく知事は、「スポーツ振興課に聞け」「招待だ」と言って姑息な責任回避に走るはずだ。しかし誰がどう言い訳しても、三反園氏が“個人的に”“一般人が入手できない特別なチケットをもらい”、“ラグビー観戦を楽しんだ”という事実を曲げることはできない。