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やっぱり危ない国民民主 有権者そっちのけで主導権争い 

2019年10月 4日 08:50

8af47d3e1469444682567b07fd6704149c314769-thumb-230xauto-24414.jpg 旧民進党から分かれた立憲民主党と国民民主党の合流話に、暗雲が漂い出した。
 衆参で統一会派を結成した両党だが、国会の委員会構成や人事を巡っての協議が続く中、国民民主側が見切り発車。一方的に人事案や常任委員会の割り振りを決め、立憲側に突き付けた。
 総選挙を見据えた立憲の衆院側は渋々認めたが、参院側が抵抗したことで、国会開幕直前となっても参院議員の所属する委員会が決まらないという異常な事態となった。

■国民民主が仕掛けた主導権争い
 「異例というより異常。国会が開幕する前の日になって、所属する委員会が決まっていないというんだから話にならない。国民民主党のやり口は汚い」。こう嘆くのは立憲民主党の関係者。10月4日から始まる国会を前に、統一会派を組んだ立憲民主党と国民民主党の参院議員の、所属する常任委員会が決まらないという事態に陥った。

 取材してみると、原因はどうみても国民民主側の乱暴な手口。会派内の人事や衆参の委員会に誰を振り分けるかといった協議が続く中、国民側が一方的に人事構想を出してきたのだという。役職も委員会の割り当ても自党の議員が優先、「空いた部分を埋めろ」と言わんばかりのやり方に、立憲内部から激しい反発の声が上がったのは言うまでもない。

 近い将来に総選挙を迎える衆議院側は、「事を丸く収めよう」という意識が働いたらしく立憲が国民民主の人事構想を丸呑み。しかし、納得できない立憲の参議院側が、「破談を覚悟」(同党関係者)で国民の案を押し返していた。

 協議が続くだけで、議員らの所属する常任委員会は決まらず、3日夕の時点でも「どうしていいのか分からない)(立憲の議員秘書)という状態。夜になっても17ある参議院の常任委員会が埋まらないままとなった。

 参議院の新会派「立憲・国民.新緑風会・社民」の届け出は9月30日。院内には同会派の札が掛けられている部屋ができたが(下の写真)、政党としての立憲と国民は、別々に部屋を持っている。

立憲・国民.新緑風会・社民  (002)--2.jpg

 統一会派結成まではこぎつけたものの、国会人事における国民民主党の独断専行が、立憲所属議員の神経を逆なでしたことは確か。ある永田町の古参秘書は、次のように解説する。
「国民民主党は、意図的に強引な手法に出たのだろう。国会活動における主導権を握るためだが、立憲側が怒って“婚約”が解消されても構わないと思っている。裏で自民党と(手を)握っている奴がいるという話まで出ているほどだ。参議院で、国民と立憲が仲良くやっていくのは到底無理だ」

 立憲に参議院での統一会派構想を持ち掛けたのは国民民主。政党同士の合流を睨んだ動きとみられていたが、国民の参院幹事長は自民党に大きな借りがあるといわれる榛葉賀津也氏(下は、静岡新聞がスクープ記事を掲載した7月13日朝刊の紙面)。自民党と示し合わせて、立憲を揺さぶっているという見立ても、間違いとは言い切れない。

静岡.png

 原発や憲法という国の根幹にかかわる課題で、まったく主張の異なる立憲民主と国民民主。安倍政治に不満を抱く有権者の受け皿は必要だが、かつての民主党と同じようにゴタゴタを繰り返すようなら、両党が一つになる意味はない。

 結局、参議院議員が所属する常任委員会が決まったのは3日の21時過ぎ。有権者不在の主導権争いは、今後も続くとみられている。



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