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地域映画制作の「アイエス・フィールド」 町役場の興行成績確認を半年間放置
困惑する職員 怒る町民

2019年10月18日 08:10

きばいやんせ.png 鹿児島県南大隅町が地域起こしの一環として約1億円の制作費を負担した映画『きばいやんせ!私』の制作会社「アイエス・フィールド」が、興行成績についての同町役場の再三の問い合わせを、長期にわたって放置していることが分かった。役場には、興行成績について議会や町民からの問い合わせが相次いでおり、業を煮やした町側は文書による要請に切り替えるとしている。
 アイエス・フィールドに話を聞こうと連絡し、事実上の回答拒否にあったという町民からは「私たちの町の公金が投入された映画だ。興行成績を教えられないほどの失敗作なら、制作会社と町長が責任をとるべきだろう」との厳しい批判の声が上がっている。(画面は、南大隅町HPより)

■役場の興行成績確認を半年放置
 同町の映画制作は、地域再生法に従って2017年9月に国が認定した地域再生計画の中核事業。町側の説明によれば、映画制作の発端となったのは「映画制作会社からの提案」だったという。総制作費1億2,420万円(制作費8,640万円、宣伝費3,780万円)のうち、9,936万円を南大隅町が、残りをアイエス・フィールドが負担する計画となっていた。

 背景にあるのは、歯止めがきかなくなった同町の過疎化。2000年(平成12年)頃まで1万人を超えていた人口は減少の一途をたどり、7,000人近くにまで落ち込んだことから、《映画制作により、対外的な町の認知度やイメージの向上を図り、作品への町民参画により地域への愛情と誇りを醸成し、移住者・観光入込客を増加させ、本町の人口減少に歯止めをかけること》(南大隅町公表資料より)を目的に、「きばいやんせ!私」の制作を決めていた。

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 『きばいやんせ!私』は、人気女優・夏帆さんを主演にして、昨年3月にクランクイン。完成した映画は今年3月に公開されたが、マスコミの話題に上ることもなく、南大隅町内からも興行成績の不振を心配する声が上がっていた。 

 同町の担当課によれば、映画を制作したアイエス・フィールドに対して、ゴールデンウィークが明けた頃から何度も観客動員数や興行収入などについて確認を求めているが、まったく回答がないという。議会側からも町民からも映画の興行成績を問い合わせが来ているといい、「半年も前から催促してきたのですが……」と困惑するばかり。電話による問い合わせではらちが明かないとみて、「文書による確認」を求めるとしている。

 アイエス・フィールドと町役場に対しては、町民からも厳しい視線が注がれている。同町在住のある男性は、9月26日の配信記事「夏帆さん主演“地域おこし”映画 制作会社の不誠実」を見て、自分でも何度か同社に電話を入れたという。
「何度電話しても、担当者は出てこない。ふざけている。こちらは南大隅町の住民であり、いわば映画制作の発注者。きちんと対応すべきなのに、逃げ回るという不誠実な態度に怒りを覚える。私たちの町の公金が投入された映画だ。興行成績を教えられないほどの失敗作なら、制作会社と事業を推進した町長が責任をとるべきだろう」

 ちなみに、映画制作にあたって南大隅町が参考にしたのは、2015年2月に公開された『マンゴーと赤い車椅子』。鹿児島県大崎町が中心となって鹿屋市、志布志市など九つの周辺自治体と地域団体が制作した映画だ。制作費は約1億2,000万円で、南大隅町の『きばいやんせ!私』とほぼ同じ額だった。

 制作を手掛けたのは、南大隅町に映画の話を持ち掛けたというアイエス・フィールド。元AKBや三代目J Soul Brothersのメンバーといった人気タレントを主役に据えた映画だったが“観客動員4万人・興行収入5,000万”円という結果に終わり、興行的には大惨敗となっていた。アイエス・フィールドは、「地域映画を商業映画として展開するプロジェクト」(同社代表のプロフィールから)を事業として進めてきた会社だが、自治体などにカネを出させ同社が映画制作を請け負うという仕組みに対し、鹿児島県関係者の間から「税金と地方を食いものにしているのではないか」という声が上がっている。



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