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撤回・陳謝でも許されない萩生田文科相「身の丈」発言

2019年10月30日 08:45

bg_prof_snap.png BSフジの番組で、来年4月から大学入学共通テストに導入される英語の民間試験について“住む場所や家庭の経済状況などによって不公平が生じないか”と聞かれた萩生田光一文部科学大臣が、「身の丈に合わせて頑張れ」と発言した。所管大臣が、民間試験導入で懸念されてきた“格差”を容認した形。受験生とその家族、さらには教育関係者からも猛反発される事態となった。
 発言の撤回と陳謝に追い込まれた萩生田氏だが、テレビ番組で口をついて出たのは彼の「本音」。右へ倣えの安倍政権の7年が、この国の政治や行政を腐らせている。

■英語民間試験とは
 「裕福な家庭の子どもが回数を受けてウォーミングアップできるというようなことがあるかもしれないが、自分の身の丈に合わせて2回をきちんと選んで頑張ってもらえれば」――不用意な萩生田氏の発言が、受験に関係のない国民にまで、大学入試の英語に民間試験を導入することの弊害を知らしめる結果となった。

 2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の英語に民間試験を導入することになったのは、「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測定するため。共通テストに加えて、民間団体が実施する7種類の検定試験が活用されることになっている。受験生が受けることのできる民間試験と検定料は次の通りだ。

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■懸念される二つの「格差」 
 民間試験であるため、検定料は最低5,800円から最高で23,500円までとまちまちだ。受験生は最低2回の民間試験を受けることになるが、回数制限がないため、腕試しのため何度も受ける受験生が出てくる。裕福な家庭の受験生は複数回試験を受けることができるが、経済的な余裕のない家庭の受験生は、受験回数を抑えなければならなくなる。“経済格差”が、著しい不公平を招くというわけだ。

 試験会場も、全国くまなく準備されるというわけではないため、地域によっては遠方まで出かけることを余儀なくされるケースが出てくる。僻地や離島の受験生には、検定料に加えて交通費や宿泊費の負担が加わることが予想され、“地域格差”が受験生を悩ますことになる。

 他にも採点の公正性が担保されていないなど、新制度自体に不透明なことが多すぎるため、全国の国公立・私立高校の校長らで組織された「全国高等学校長協会(全高長)」は今年7月と9月に、民間試験導入の延期もしくは制度の見直しを求める文科大臣宛ての要望書を提出している。その矢先の、萩生田発言だった。

 萩生田氏は当初、発言を撤回せずに軽い謝罪だけで済ませようとしたが、厳しい批判に晒され“撤回して陳謝”に追い込まれた。当然だろう。どう言い訳しても、「身の丈に合わせろ」=『カネのない家庭の子は、事前の力試しなどあきらめろ』が萩生田氏の本音なのだ。

■不適格者が文科相
 安倍政権の7年間、右へ倣えが続いてきた。首相の右翼的な言動に共鳴する萩生田氏はその代表格であり、長期政権で緊張感が薄れたのか、もっとも不適格な人間を文部科学省という教育を司る役所のトップに据えている。

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る疑惑で主役となったのは、安倍首相と首相の「腹心の友」である加計孝太郎加計学園理事長。国家戦略特区を悪用した“便宜供与”が疑われる事態だったが、首相に代わって関係官庁を動かしていたのが、当時官房副長官を務めていた萩生田氏だった。

 萩生田氏は、加計学園が運営する千葉科学大学で危機管理学部の客員教授として毎月10万円の報酬を得ていたことが分かっており、いわば加計学園の身内。その彼が同学園の獣医学部新設に関わったというのだから、明らかな便宜供与だった。その萩生田氏が、あろうことか文部科学大臣なのである。これほど国民を愚弄した人事はあるまい。
(*下の写真は、萩生田氏自身がブログに添付した1枚。安倍首相とビールを片手にポーズしている萩生田氏に挟まれているのが、加計学園の加計孝太郎理事長)

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 首相側近で「安倍のポチ」ともいわれる萩生田光一という政治家に、もともと教育を語る資格はない。 



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