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やっぱり“七光り”? 小泉進次郎環境相の資金力

2019年9月27日 09:55

DSC05618.JPG 2009年の初当選以来、何かと注目を集め続けてきた小泉進次郎衆院議員が、第4次安倍再改造内閣の環境相に就任した。38歳での初入閣は戦後3番目の若さ。組閣直前には、首相官邸でフリーアナウンサー・滝川クリステルさんと並んで前代未聞の結婚報告をするなど、話題には事欠かない。
 次の首相にふさわしいのは誰かを聞く調査では常に上位を占める進次郎氏だけに、「政治とカネ」の問題とは無縁のようにみえるが、意外なことに“集金力”はベテラン政治家以上のものがある。

■発言が次々に炎上
 父親である純一郎元首相の遺伝子を引き継いでいるのは確かで、短い言葉を発してはニュースのネタを提供するという情報発信の手法も巧み。しかし、大臣就任でより世間のチェックが厳しくなったせいか、次々に発言が物議を醸す状況となっている。

 進次郎氏の言動に「?」がつくようになったのは、首相官邸での結婚報告あたりから。首相官邸を使ったパフォーマンスに批判が出たことでも分かるように、違和感を覚えた国民は少なくなかったようだ。“育休”に関する一連の発言も、決してプラスにはなっていない。

 環境相就任直後には、前任の原田義昭氏が「処理水を希釈して海洋に放出するしか方法がない」と述べたことを「国の方針ではない」と否定。関係者に謝罪して点数稼ぎに出たが、前提に「汚染水対策の所管は環境省でない」という一言を置いたため、“不勉強”“無責任”といった厳しい批判に晒されることとなった。

 ニューヨークで行われた国連のイベントでは、「日本は1997年に京都議定書を採択したが、リーダーシップを発揮してこなかった。きょうから我々は変わります」と英語で演説し注目されたが、会見で「気候変動のような大きな問題は楽しく、かっこ良く、セクシーであるべきだ」と述べたことが賛否を呼んでいる。

 言葉の軽さが目立つようになった理由は二つ。まず、進次郎氏が政府を代表する「大臣」になったことで、これまで以上に発言の意味や真意が問われる状況になったということ。一政治家の発言と大臣の発言とでは、当然“重さ”が違うのだが、進次郎氏は、まだそのことを理解していない。

 次に、挙げるとすれば、“発言と年齢のギャップ”。人気が続く間は父親そっくりの対応でいいはずだが、短いフレーズで物事を切り取る話し方は、ともすれば「不遜」とみられがち。発言の真意をしつこく問われる場面でキレ気味に逆質問する38歳に、「親の七光り」と顔をしかめる人もいる。

■抜群の集金力と「七光り」
 「七光り」は間違いではない。進次郎氏の父が元総理の純一郎氏であることは周知の通りだが、曾祖父である小泉又次郎は衆院副議長、祖父小泉純也も防衛庁長官という政治家の家系なのだ。つまり、進次郎氏は「4世」。強固な地盤を受け継いでおり、恵まれた立場にあることは確かである。「政治とカネ」には無縁に思える進次郎氏だが、政治資金も潤沢だ。

 進次郎氏の関連政治団体は、資金管理団体「泉進会」、「自由民主党神奈川県第十一選挙区支部」、「小泉進次郎同志会」の三つ。資金集めは泉進会と自民支部に集中させている。下は、総務省と神奈川県選挙管理委員会に、両団体がそれぞれ提出した政治資金収支報告書(平成29年分)の「収支の状況」を記載するページだが、二つの団体が1年間に得た政治資金は合計で1億3,358万1,323円となる。このうち約3,800万円が政党交付金で、残り約1億を個人や企業からの献金と政治資金パーティーによって稼いでいた。

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 泉進会が行った同年の政治資金パーティーの開催状況は次のようになっているが、回数も額も当選4回程度の政治家としては異例。ベテランでも、なかなかマネのできない集金力と言えるだろう。やはり、「七光り」は否定できない。

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 沖縄の選挙取材で、進次郎氏の演説を聞いたことがある。しゃべりは流ちょうで、「うまいこと言ってるな」と感じたが、なぜか心に残るものがなかった。

 パフォーマーとしては永田町で一番と言っても過言ではない彼だが、政治家としてはこれといった実績がないのが実情。真価が問われるのはこれからということだ。 



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