鹿児島県指宿市の選挙管理委員会が、市長選挙や市議会議員選挙で候補者陣営に支給した「選挙運動費用収支報告書」が、公職選挙法施行規則が定めた記載項目の欄を備えていなかったことが分かった。長年、選管が“違法な報告書”を作成させていたことになる。
18日、HUNTERの指摘を受けた総務省が鹿児島県選挙管理委員会を通じて事実関係を確認し、市選管を指導している。市選管は、間違いを認めた上で「いつ頃から現在の報告書を使っていたのか分からない。次の選挙からは決められた様式を守りたい」と話している。
■支出目的が分からない収支報告書
下は、昨年2月の指宿市議会議員選挙の際、市議候補らが選管に提出した選挙運動費用収支報告書だ。
一方、公職選挙法は、選挙運動に関するすべての収入及び支出を記載した報告書を当該選挙を所管する選挙管理委員会に提出するよう規定しており、その様式を「公職選挙法施行規則」で次のように定めている。(*赤い囲みはHUNTER編集部)
二つの報告書を比べてみれば、指宿市の報告書の支出を記載するページに、「支出の目的」の欄が抜け落ちているのが分かる。「支出の目的」欄に記載すべき事項は、総務所が公表している記載例で確認できる。
指宿市が市長選や市議選で候補者に配布してきた収支報告書には「支出の目的」を記載する欄がなく、従って、支出として計上された金額が何に費消されたものか分からないものが多い。候補者の中には「備考欄」などの空いたスペースに使途を記入しているケースもあるが、「支出の目的」欄がないため、使途の説明は不十分となっている。
“支出の目的欄がない指宿市の選挙運動費用収支報告書は、違法ではないのか”――19日、HUNTERの確認に答えた総務省選挙課は、「現物を見ていないのでただちに違法かどうかの判断はできない」としながら、公職選挙法施行規則の様式に従えば同欄が必須であることを認め、「ただちに指宿市に確認する」と回答していた。
指宿市選管によれば、同日午後総務省から県選管を通じて連絡があり事実確認。収支報告書に「支出の目的」欄を加えるよう指導があったという。直近で行われた市長選や市議選の報告書は不適切な状態だが、総務省や県選管と協議の結果、修正などの作業は行わないことを決めたとしている。指宿市民は、不確かな選挙収支を見続けなければならない。