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“排除”の次は“誤認逮捕” 暴走する警察権力(上)

2019年9月 2日 08:50

0419_police-thumb-200xauto-24283.jpg 領土問題を戦争で解決すると騒ぎ立てる国会議員を辞めさせることさえできない国会に、「一強」に怖気づき権力の監視という最大の使命を放棄した大手メディア――。国全体が劣化する現状にあって、正義の体現者であるはずの「警察」が、間違った権力行使で暴走するケースが増えている。
 北海道では拘束・排除、愛媛では誤認逮捕――。警察によって犯罪者に仕立て上げられたのは、“何の罪もない市民”である。

■無実の女子大生を誤認逮捕
 先月、愛媛県警松山東署が、杜撰な捜査によって20代の女子大生を窃盗容疑で誤認逮捕。簡裁が勾留請求を却下して釈放されるまでの2日半、不当に拘束されていたことが分かった。安易な逮捕状発布を行った裁判所と捜査員のミスを見逃した検察が、県警とグルで無実の市民を犯罪者を仕立て上げた格好だ。

 発端となった窃盗事件が起きたのは、今年1月。売上金など約5万5千円が入ったバッグが盗まれたとするタクシー運転手の被害届を受けた松山東署は、ドライブレコーダーに写っていた女性を犯人と推定。タクシーから降りた女性が入っていったアパートに捜査の重点を置いた。

 警察が犯人とみなしたのは、アパートに住んでいた女子大生。理由は、「ドライブレコーダーの映像に似ている」という、いい加減なものだった。女子大生にとっては、まったく身に覚えのない犯罪、任意捜査には積極的に協力していたという。

 まともな捜査を行ってさえいれば疑いはすぐに晴れていたはずだが、松山東署は信じられない杜撰な捜査と素人同然の思い込みで、女子大生逮捕に向けて突っ走る。被害者であるタクシー運転手に、犯人とされた女子大生の顔を確認するという初歩的な裏付け捜査さえ行っていなかったというのだから、呆れるしかない。

 やってもいないことを、「やりました」とは言えない。否認する女子大生に対し、愛媛県警の捜査員は「罪と向き合え」「二重人格」「就職も決まってるだろう」「認めないと終わらない」などと脅し文句を連ねて自白を強要したという。結果、女子大生は逮捕されたが、直後にアパートに住んでいた別の女性が犯行を自白。「誤認逮捕」が明らかになった。

 捜査員の間違った思い込みによって起きる「冤罪」の典型的なケースと言えるが、指紋の確認やポリグラフ検査まで行った末の誤認逮捕だったというから、科学捜査もあてにはならない。

 ある日突然、身に覚えのない罪で拘束され、無実を訴えるも聞き入れられずに「逮捕」――。警察の正義を信じている市民にとっては、悪夢と言うしかない。誤認逮捕によって恐怖のどん底に追い込まれた女子大生は、弁護士を通じて公表した手記の中で、こう述べている。
「不安、恐怖、怒り、屈辱といった感情が常に襲い、ぴったりと当てはまる言葉が見つからないほど耐え難いものでした。手錠をかけられたときのショックは忘れたいのに忘れることができず、今でもつらい」

■「安倍辞めろ」「増税反対」を拘束・排除
 北海道でも、政権の犬とかした警察が、一般市民を恐怖に追い込んだ。北海道警察は、参院選の応援演説を行っていた安倍晋三首相に向けて「安倍辞めろ」とやじった男性や、「増税反対」を訴えた女子大生を拘束して排除。彼らと一緒にいただけで“何もしていなかった大学院生”まで、大勢の警察官が取り囲んで排除していた。排除された人たちは、身体をつかまれた上に恫喝されるなど、事実上の「暴行」を受けていた。

 国民の安全・安心を守るはずの警察官が、権力の手先となって普通の市民に襲い掛かる――。安倍首相の街頭演説が行われた北海道で起きた“事件”は、まさに戦前の特高警察を彷彿とさせるものだった。  

 「恐かった」と振り返る被害者たち。拘束された時に感じたという「警察は本気出せばどんな理由でも逮捕できるんだ」は、愛媛県で起きた誤認逮捕のケースに通底する。

■福岡でも……
 愛媛県警が誤認逮捕したのは女子大生。道警が暴力的に排除したのも、4人のうち2人は女性で、一人が大学生もうひとりは大学院生だった。本来なら守られるべき弱い立場の市民に、正義の味方であるはずの警察が、いきなり襲いかかったということだ。女性でなくとも「恐怖」を感じるだろうし、絶望的な心境になることも理解できる。実はつい最近、本稿を担当する記者自身が、福岡県警の警察官による理不尽な「職務質問」を受けていた。
                                                          (以下、次稿)



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