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消えた200億円で東京地検特捜部が狙う「大樹総研」と「JCサービス」

2019年9月11日 08:55

20180704_h01-03-thumb-230xauto-24946.jpg 2017年10月に行われた総選挙の際、細野豪志衆議院議員に裏金5,000万円を提供したとされる「JC証券」の親会社「JCサービス」と、細野氏への資金提供を斡旋したとみられていた民間のシンクタンク「大樹総研(たいじゅそうけん)」(矢島義也(本名:義成)会長)が、東京地検特捜部の捜査対象となり関係先の家宅捜索が行われていたことが分かった。
 関係者の話によれば、特捜部が捜査に着手したのは昨年。7月頃には関係企業への家宅捜索があったという。その後、検察の動きは止まっていたが、今年の春から大樹総研のクライアントなどに事情聴取の対象が広がり、捜査が進む状況となっている。(右の画像は大樹総研発行冊子の表紙から)
 
■消えた200億円
 特捜部のターゲットとなっているのは、再生可能エネルギー事業などを行う「JCサービス」のグループ会社「グリーンインフラレンディング」(以下、グリーン社)が集めた200億円ともいわれる太陽光発電絡みの事業資金。コンサル料として5億円が大樹総研に流れたことと、「JC証券」に渡った資金の中から5,000万円が細野氏に提供されていたことが明らかとなっているが、残りの多くが使途不明の状態だという。

 グループの本体はJCサービスだが、同社をコントロールしていたのは大樹総研だとみられている。JCサービス、JC証券、グリーンインフラレンディングの3社で代表を務めてきたのは、役人出身の中久保正己氏。細野氏が環境大臣を務めていた頃からの付き合いがある人物である。JCサービスは2017年12月、ホームページ上で同社の中久保氏が、細野氏が団長を務める超党派の議員団とともにタイを訪れていたことを公表している。

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■「大樹総研」とは
 細野氏とJCサービスの中久保氏をつなげたとみられているのは、大樹総研の矢島会長。JC証券には、大樹総研の元執行役員や特別研究員が役員として送り込まれていたことが分かっている。

 大樹総研の矢島会長は、「永田町のタニマチ」と呼ばれており、政財界に幅広い人脈を持つ。特に旧民主党の政治家たちとの関係が強く、多くの落選議員が矢島氏の世話になってきたという。浪人中の松野頼久元維新の党代表の事務所は、大樹総研グループが保有するビルに入居している。

 旧民主党の政治家たちに肩入れする一方、安倍政権下では菅義偉官房長官と二階俊博自民党幹事長という二人の大物に近づいた。2016年5月に矢島氏が2度目の結婚をした際には、帝国ホテルで開かれた披露宴に菅氏と二階氏がそろって出席していたことが確認されている。(下は、大樹総研発行の冊子)

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 大樹総研の創設は2007年(平成19年)。資産家の矢島氏が、静岡で昔からの友人関係にあった鈴木康友氏(元民主党衆院議員。現・浜松市長)が選挙に落選して浪人中だったため、同じように落選して充電中の政治家が、しっかり勉強できるようなシンクタンクを作ろうということで立ち上げた会社だった。旧民主党の政治家たちとの関係が深いのは、総研設立以来のこうした経緯があるからだ。

 設立当初は、鈴木のSと矢島のYで「S&Y総研」。日銀を辞めて政界に転じ、落選した経験のある池田健三郎・現代表取締役所長(2000年に石川3区から民主党公認で出馬し落選。2003年には神奈川県大和市長選挙に出馬し落選)が2009年に入社したことで飛躍のきっかけをつかみ、熊谷弘元通産相、山口敏夫元労相など矢島氏の父親とつながりのあった政治家からも人脈を広げたという。

 矢島氏はブランド好みでもある。2010年頃には政治・経済がらみの発言や著述で活躍していた徳川宗家19代・徳川家広氏と接点が生まれ、社名も徳川宗家のことを表す「大樹」と変更。徳川氏は大樹総研の役員に就任する(同氏は7月の参院選で立憲民主党の公認を受け、静岡選挙区から出馬し落選)。矢島氏本人は高卒だが、スタッフには東大卒の元財務省キャリア官僚や元法務大臣などの著名人がズラリと並ぶ。かつて客員研究員として名を連ねていた若田部昌澄氏は、現在の日銀副総裁である。

 地検特捜部の捜査対象は、JCサービスと大樹総研。消えた200億円の行方が焦点だ。「中久保氏の一存で動く額ではない」(大樹総研関係者)と言われており、矢島氏の関与が疑われる事態であることも確かである。



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