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鹿児島県南大隅町 県立高「生徒寮」整備事業に重大疑惑(1)
隠蔽される事業経過

2019年8月26日 09:15

20130426_h01-01t.jpg 現職町長のデリヘル接待や金銭スキャンダルで知られる本土最南端の町に、県立高校の生徒寮整備事業を巡って新たな疑惑が噴き出した。
 HUNTERが鹿児島県南大隅町への情報公開請求で入手した資料などから、事業を所管する教育委員会ではなく、森田俊彦町長が水面下の工作を先行させて生徒寮の用地を決めていた疑いがあることが判明。用地選定を含めた事業過程も、対外的に説明のつかない不適切なものだったことが分かった。
(写真が森田町長)

■「情報公開」に激しく抵抗
 不適切な経過が問題視されるのは、県立南大隅高校自転車部の生徒寮整備事業。南大隅町は、2016年(平成28年)に古い旅館を利活用する形で男子寮(定員16名)を整備し、昨年度の予算で女子寮(定員6名)を新築していた。事業費は、確認可能なものだけで7,000万円を超えている。

 女子寮は4月に開所したものの、現在まで入寮者ゼロ。男子寮への入寮者も減っている。HUNTERは、事業の正当性を確認するため「南大隅高校の生徒寮整備に関する全ての文書(設計図書除く)」を開示するよう同町に求めていた。

 これに対し同町は、開示すべき文書を隠したり、ズルズルと交付を引き延ばすなど隠蔽姿勢を露呈。事業過程の証明でもある決裁文書の不存在や情報公開条例の恣意的運用について強く抗議した結果、請求から1か月以上たった先週末、ようやく残りの文書が開示されていた。一連の経緯から、激しく抵抗してまで町が隠したかったのが「事業過程」であることは疑う余地がない。

■違法性が問われる「決裁文書」の不存在
 公費支出を伴う事業である以上、説明責任を負うのは役所であり町長。当然、事業経過を示す文書が揃っていなければならない。ところが、当初開示された資料は不十分で、生徒寮整備に至った理由や、生徒寮用地がどうやって選ばれたのかを示す文書はなかった。

 残念ながら追加開示された文書の中にも、町が寮整備を行ったことや用地選定について説明がつく文書は皆無。唯一、町教委が事業経過を記した文書だと主張したのは、平成27年に町議会への説明資料として作成されたという「南大隅高等学校寮整備経過報告」とタイトルされた、たった1枚のA4判文書だった。しかもその文書は、いつ、誰が作成したのか分からないもの。実際、町教委に確認したが「作成日も作成者も分からない」と明言している。

 内容から判断して、作成は平成27年11月25日から12月1日までの間とみられるが、作成部局も作成者も分からない状況で、事案の証明にはなっていない。ただ、記述によって、生徒寮整備事業の問題点が浮き彫りになる。(*下が問題の文書。付箋は南大隅町

001.jpg

 時系列をたどれば、経過が不自然であることは一目瞭然。6月11日に、議会で誰によるものか分からない「前向きに検討」の答弁があってから2週間で寮の整備場所まで決まっていたというのだから、驚くしかない。

 議会答弁から8日後には、整備場所となる「根占荘」の所有者と「第1回協議」。同日中に、「寮整備ついて基本合意」が成立していた。事前に話がついていたこととしか思えない経緯だが、町が開示した公文書上では何も確認できない。

 言うまでもなく、役所の支出負担行為は税金を原資とするもの。税金支出についての説明責任を果たすためには、節目ごとに証拠の文書を残す必要がある。いわゆる「決裁文書」である。南大隅町も、事務処理の適正及び責任の明確化を図ることを目的として「南大隅町事務決裁規程」を制定しており、そこには『事務は、原則として、主務係長の意思決定を受けた後、順次直属上司の意思決定及び関係課長との合議を経て、決裁権者の決裁を受けなければならない』とある。

 生徒寮整備や生徒寮用地の選定といった重要事項の決定過程を示し、その正当性を証明するためには、“起案・決済”の公文書が残されていなければならない。役人や町長が、事業経過について口頭でどれだけ主張を繰り返しても、それは“私的な言い訳”だ。子供でもわかる理屈だが、現在までのところ、前述の議会説明用資料以外に生徒寮整備の正当性を証明する文書は出てきていない。生徒寮整備に関する決裁文書が欠落していることは、同町の決裁規程に抵触する事務が行われたことを示しており、不適切な公費支出の疑いが強まる状況だ。

■水面下の動きを公言していた森田町長
 では、南大隅町は何のために生徒寮を整備し、生徒寮の用地はどのように決定したのか――。前掲の議会説明用資料によれば、事業の「起点」となっているのは「6月11日」の議会質疑。南大隅町議会の議事録を確認したところ、町会議員と町側との間に、とんでもないやりとりが行われていたことが明らかとなる。

 浮かび上がってきたのは、生徒寮用地について、水面下での工作を先行させていた森田町長の動きだ。
                                                  
                                                           (つづく)



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