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参院選「忖度報道」の実態 

2019年7月17日 09:10

DSC06009.JPG 国政選挙で現有議席を下回れば、即ち「負け」のはずだが、国内メディアはそうした現実を報じようとしない。
 参院選の投票日まであと5日。報道機関が行っている情勢調査によれば、どう甘く見ても自民党が改選議席66を維持することは不可能なのだが、新聞・テレビで流れてくるのは「与党で改選過半数」の見出しばかり。この選挙期間中、「自民、改選議席割れ」という文言には一度もお目にかかっていない。
 政治や行政だけでなく、報道も「忖度」で歪んでいるのではないか――。

■自民、改選議席割れ確実
 参院選の改選定数は124(選挙区74、比例区50)。安倍晋三首相が設定した勝敗ラインは、非改選を合わせ過半数を確保できる与党53議席だが、二階俊博幹事長らは改選過半数の63議席を目標に掲げてきた。昨年の公選法改正で定数が増えたにもかかわらず、3年前の70(自民56、公明14)や6年前の77(自民66、公明11)を下回る目標だ。

 改選議席を割り込む結果は普通「負け」とみなすものだが、大手メディアはこれを無視。一定の議席減を見込んで与党が張った予防線を尊重し、「改選過半数」を勝敗ラインに据えている。

 今回の選挙の本当の焦点は、自民、公明に日本維新などを含めたいわゆる「改憲勢力」が、改憲発議に必要な3分の2(改選議席で85)を維持できるか否かだが、この点についてもサラリと触れるだけだ。

 序盤、中盤と情勢調査の結果が出るたび、新聞報道で見出しに踊るのは「改選過半数」。前回や前々回の選挙結果と比較する記事は皆無で、自民党が“改選議席を上回るのかどうか”の検証も影を潜めている。

 それでは、実情はどうなっているのか――。下は、報道各社が行った情勢調査の結果をまとめた表。読売、日経、毎日、産経、共同は今月12日から14日にかけての調査、朝日の数字は4日から5日にかけての調査のものだ。

勢力.png

 獲得議席の数字は最低から最高までかなりの差があるが、最終結果は中間値で落ち着くのが一般的。堅調とはいえ、与党が圧倒的に強いわけではない。意外なことに、自民党が改選議席の66を上回るケースは、日経と共同の調査結果だけ。しかも、9割方あり得ないとされる“最大値”に達した場合に限られている。自民だけをみれば、改選議席66の維持は困難。つまり自民党は負けるということだ。

 参院選が始まって以来、報道は気持ちの悪いほど「改選過半数」一辺倒。自民党が現有議席を割り込むという現実を、見出しにもってきた報道はない。

 先月、表現の自由の状況を監視する国連の特別報告者が、スイスで開かれた国連人権理事会で、日本のメディアの独立性に懸念を示す報告書を提出した。安倍政権による様々な形の圧力で、報道の力が弱まったのは確かだ。一強・安倍に対しモノを言えなくなったのは、役人や政治家だけではない。自民党が議席を減らすという現実をきちんと報じようとしないのは、タチの悪い「忖度」ではないのか?
 



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