三反園訓鹿児島県知事が、いったん出席の返事をした会合やイベントのドタキャンを繰り返している問題を巡り、「会議が長引いたため」としてきた県側の説明に、裏付けとなる文書が存在していないことが分かった。
知事は今年5月、出席予定だった「一般社団法人 鹿児島工業倶楽部」の総会を、開会時間の5分前になってドタキャン。理由を聞いたHUNTERの取材に対し、県庁秘書課が「会議が長引いた」と回答したため関連文書を情報公開請求したところ、県側説明を証明できる公文書は一切残されていなかった。
会合ドタキャンの理由自体、虚偽だった可能性が否定できない。(写真手前が県議会棟、奥が鹿児島県庁)
■ドタキャン理由は「庁内会議」
思い付きやその時々の感情で、日程を勝手に変更するといわれる三反園知事。今年1月には、事前に県費で会費を支払っていた「一般社団法人 鹿児島工業倶楽部」の新年大会を欠席し、4月には知事側から挨拶の場を作るように申し入れていた同県三島村の焼酎お披露目会を、直前になってドタキャンしていた。
5月17日には、鹿児島工業倶楽部の総会を、開会時間である17時30分の5分前になってドタキャン。身勝手な姿勢に、県関係者から批判の声が上がる事態となっている。
5月の鹿児島工業倶楽部総会を欠席した理由を尋ねたHUNTERの取材に対し、当初県は「お教えできない」。強く回答を求めたところ、「くらし保健福祉部との庁内会議が長引いたため」と説明したため、『(該当日に)三反園知事が参加した会議の実施を証明できる文書』を開示請求していた。
■証明できず下向く職員
請求から30日も経って県が開示したのは、会議で知事への説明に使ったと称する資料だけ。会議録やメモ、伺い文書といった証拠書類はなく、実際に会議が行われたかどうかも分からない状況だ。
このうち、「暮らし保険福祉部」関連の文書は2件だけ。1件は5月22日に公明党の議員らが申入れに来ることの概要説明で、もう1件は“公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす”との理由で黒塗り非開示にされた2枚のペーパーだった(*下が2件の文書)。
公明党の議員らが申入れに来る予定は5日後。外部との約束を反故にしてまで、その説明をする必要はない。もう1件の文書の内容に至っては、黒塗りにしたことからみて開示決定日(6月19日)現在も進行中の案件。5月17日時点で、内容を詰める必要があったとは思えない。
そのそも、会議を開いた事実を証明できる文書が、知事説明用の書類しかないというのが異常。優先されるべき外部との約束を反故にしてまで続けた会議なら、知事の反応や指示を記した文書が残っているものだろうが、議事要旨もメモ書きも残っていないというのだから話にならない。文書開示にあたった二人の県職員を「会議を開いたという証明になっていない」と問い詰めたが、下を向いて黙したままだった。
6月の県議会では、一連のドタキャンについて実態を確認する質問が何度も出たが、三反園知事も県執行部も「庁内の会議が長引いた」と繰り返すのみ。議論がかみ合わぬまま閉幕していた。
少なくとも、5月17日のドタキャンについては会議があったことを証明する文書が不存在。他の会合のキャンセル理由についても、順次詳細を報じていく予定だ。