政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

「在日米軍関係経費」が否定する日米安保の片務性

2019年7月 2日 09:00

20150623_h01-01t-thumb-250x166-14381.jpg 大騒ぎした主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)だったが、議長国を務めた日本の首相に活躍の場はなく、最後は北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長との電撃会談を実現させた米国のトランプ大統領に見せ場をさらわれた。
 そのトランプ氏は、今年5月の来日時に令和初の国賓として最高の接待を受けながら、サミット終了後の会見で日米安保の片務性を批判。「不公平」と断じ、日本政府に対し早い時期から安保条約の見直しを示唆していたことも明らかにした。
 日米安保は本当に不平等な条約なのか――。

■「思いやり予算」に毎年約2,000億円
 全10条からなる日米安保条約の正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。柱は二つであり、まず第5条で「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」として米国の対日防衛義務を定め、そのため米軍が日本国内で自由に基地建設ができるよう、第6条で「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」と規定している。“守ってもらう代償に、自由に基地をつくらせる”ということ。沖縄が米軍基地で埋め尽くされているのは、日米安保の6条があるからに他ならない。

 トランプは、「もし日本が攻撃されれば、私たちは日本のために戦う。米国が攻撃されても日本は戦う必要がない」として日米安保の片務性を批判。「不公平」だと断じた。しかし、日本は基地を提供するという代償を払うだけではなく、米軍の駐留経費を支払うという形で片務性を打ち消す努力を続けてきている。

 いわゆる「思いやり予算」と呼ばれる「在日米軍駐留経費負担」は、2018年度が1,987億円。1978年に、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部を日本側が負担することで始まったこの経費負担は、当初60億円程度だったものが年々肥大化し、ピーク時の2000年頃には2,800億円近くにまで膨れ上がっていた。日本は毎年、米軍駐留経費の8割以上を負担しており、この負担割合は米軍が駐留している国の中では突出して高い。

■実は毎年約6,000億円 ― 「在日米軍関係経費」の実態
 米軍に対する配慮は、基地用地の提供と思いやり予算だけではない。思いやり予算は米軍に関する税金支出の一部に過ぎず、全体は思いやり予算を含めた「在日米軍関係経費」の数字を見なければ分からない。下は、防衛省が公表している昨年度の在日米軍関係経費の内訳。在日米軍関係経費は、「在日米軍の駐留に関連する経費」、「SACO関係経費」、「米軍再編関係経費」を合わせたもので、あることが分かる。
(*SACO=Special Action Committee on Okinawa。1995年に設置された沖縄の米軍基地の整理・縮小等を協議した日米両国政府による特別行動委員会。1996年12月に最終報告)

米軍関係経費30年度.png

 在日米軍関係経費を構成する主な費目を整理すると、こうなる。 

在日米軍の駐留に関連する経費
・在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)
・周辺対策、施設の借料等

SACO関係経費】(沖縄県民の負担を軽減するためにSACO最終報告の内容を実施するための経費)
・土地返還のための事業
・訓練改善のための事業
・騒音軽減のための事業

米軍再編関係経費
・在沖米海兵隊のグアムへの移転
・沖縄における再編のための事業
・米陸軍司令部の改編に関連した事業

 それでは、平成21年度(2009年度)から30年度(2018年度)までの10年間で、在日米軍関係経費はどう推移したのか。防衛省の公表資料から数字を拾った。(*グラフの数字の単位は億円) 

在日米軍関係経費1.png

 安倍政権の発足は平成24年12月。予算に安倍カラーが出るようになった26年度から一気に増額され、昨年度はついに6,000億円を突破していた。同年度の一般会計予算は約98兆円。在日米軍関係経費の割合いの大きさに驚かされる。

 安倍政権は、毎年6,000億円前後を在日米軍のために支出している他、地上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基の導入を決めた。導入費用は約6,000億円。さらに、つい最近墜落したステルス戦闘機F35を100機購入するとしており、これには約1兆円かかるとみられている。異常とも思える米国への大盤振る舞い。すべてが同盟関係を維持するための支出である以上、日米安保が片務条約であるわけがない。安倍政権による度を越えた米国追随が、トランプをつけあがらせただけだ。



【関連記事】
ワンショット
 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲