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自民党福岡県連会長が企業献金に関する質問取材に……

2019年7月 4日 09:25

001.jpg 政治家個人や政治団体に対する企業・団体献金が禁止されて約20年。政党だけでなく「政党支部」への献金まで認められたため、“禁止”は名ばかりとなり、形を変えた特定政治家への献金が大っぴらに続けられてきたというのが実情だ。
 メディアの監視対象が国会議員になりがちなため、やりたい放題となっているのが地方議員のカネ集め。福岡県でも、県や政令市の仕事を請負う業者から平然と政治資金金を吸い上げるケースが目立っており、「癒着の温床」(県政界関係者)との批判は絶えない。
 そうした中、HUNTERが注目したのは、自民党福岡県連会長が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書だった。

■「政党支部」は癒着の温床
 政治資金規正法で認められている企業・団体献金の受け皿は、政党と政党支部及び政党の政治資金団体のみ。それ以外の政治団体や政治家個人への企業・団体献金は、特定企業に見返りを与えることにつながりかねないとして禁止されている。ただし、国会議員が代表を務める政党支部への献金は認められており、これが“抜け道”になっている。

 そのため、2000年の法改正直後から政治家個人を代表にした政党支部が次々と設立され、企業・団体献金の受け皿となってきた。県連を含む自民党の支部は、福岡県内だけでも154に上っており、「自由民主党福岡県福岡市〇〇区支部」や「自由民主党福岡県北九州市第△区支部」など細かな地域で区別された政党支部は、事実上地方議員個人に対する献金の窓口と化している。

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■県連会長の政党支部に浮上した疑問
 今回、HUNTERが注目したのは自民党県連の会長である原口剣生県議会議員が代表を務める「自由民主党福岡県久留米市第二支部」の政治資金収支。同支部が県選管に提出した平成27年、28年、29年分の政治資金収支報告書を確認したところ、毎年約800万円~1,000万円の企業・団体献金を集めていた。

 同支部への献金の特徴は、特定の企業から毎月の形で手厚い援助を受けている点と、1回限りのスポット献金が多いこと。献金しているのはほとんど県発注の仕事を受注している建設関連業者で、工事経歴や入札結果を調べてみると、一連の献金の中に受注の時期と献金時期が重なるものもある。献金の一部に、受注に対する謝礼ではなかったのかという疑念が生じたのは言うまでもない。

 この点については、県議本人に聞くしかない。献金実態と県会議員が代表を務める政党支部が、県の発注事業を受注する指定業者から献金を受けることについてどのように考えるか――別の確認事項を加え、質問書に答えてもらう形で取材した。これに対する県議側からの回答が、FAX送付状に記された下の文章だった。

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 答えになっていない。献金をどう処理したかについて聞いているのではなく、原口氏側が政治資金収支報告書に記載した献金の性質について、是か非かを問うているのだ。県の仕事を請け負う企業から県会議員が政治資金をもらえば、癒着が生まれると考えるのが普通。政治資金規正法が、特定企業に見返りを与えることにつながりかねないとして政治家個人や政党以外の政治団体に企業・団体献金の受け取りを禁じたのは、まさにそうした疑惑を招くことがないようにするためだったはずなのだ。政治家が脱法的な手法で企業・団体献金を受け取り続けている現状は、決して褒められたものではないだろう。木で鼻をくくるかのような原口氏側の回答には、呆れるしかない。

 そもそも、原口氏の自民支部は、質問事項の内容を選管に確認したわけではあるまい。県の発注業務を受注した企業から、謝礼の意味を持つ献金を受けていいかどうかなど、選管に聞けるはずがない。



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