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【参院選2019】 勝敗ラインは「3分の2」の85

2019年7月 5日 08:20

ae5c744b009c5bfed1757198373d10896a2c08d2-thumb-230xauto-24801.jpg 令和初となる参議院議員通常選挙の幕が切って落とされた。消費増税の是非、年金や福祉、憲法改正、原発をはじめとするエネルギー問題等々、争点と言える課題は山ほどあるが、突き詰めれば6年間に及ぶ安倍政治をどう評価するかということだろう。
 とくに、先が見えた安倍首相にとっては、悲願とする憲法改正が政治日程に乗るか否かの土壇場勝負。裏返せば、この国の民主主義を崩壊させた安倍政治を終わらせることができる最大のチャンスということになる。

■「85」未満で見えてくる首相退陣
  2018年に公選法が改正され参議院の定数を6増やしたため、今回の参院選における定数は245(次回参院選では248)。3年ごとに半数が改選となるため、改選定数は124となる。選挙区74、比例区50という内訳だ。

 首相は勝敗ラインを、自民、公明で53議席と設定。これは、自公の非改選議席70と合わせ全体の過半数(123)となる数字だ。二階俊博幹事長らは改選過半数の63議席を目標に掲げたが、いずれも前回参院選の実績を大きく下回る。(*下の表参照)

改選非改選.png

 一定の議席減を見込んで予防線を張った形だが、安倍政権にとって本当の勝敗ラインは、今回の選挙で自民、公明に日本維新などを含めたいわゆる「改憲勢力」が、85議席を獲得できるかどうかにかかっている。改憲勢力が85を一つでも下回れば、参議院で改憲発議が可能となる3分の2(164議席)を割り込むからだ。

発議1.png 発議2.png

 つまり、改憲阻止を狙う野党が合計で40議席以上とれば、参院での改憲発議は不可能になるということ。安倍首相は「改憲」を叫ぶことで維持してきた求心力を失い、政権の足元が揺らぐ。改憲に前向きな議員が多い国民民主党に連立を持ち掛け抱き込みを図る可能性もあるが、次の総選挙を睨めば国民民主が応じる可能性はない。

 前掲の表でも明らかなとおり、自民党は2016年の参院選で勝利したものの、2013年選挙の時から10議席も減らしている。今回は、「老後2000万円問題」で年金への不安、不満が噴出する中での国政選挙。有権者が政権にお灸をすえる絶好の機会となるため、自民党は現状維持さえ難しい状況となっている。

 16年の参院選で自民党は、野党共闘が実現した32の1人区で21勝11敗。今回も野党共闘が機能すれば、自民党は前回並みかそれ以下の議席数となる。比例区でも伸び悩んで、議席を大幅に減らすような事態となれば、党内から首相に退陣を求める声が上がる可能性もある。

■問われる安倍政治の是非
 第二次安倍政権の発足から6年半。この間、首相は特定秘密保護法を制定して国民の知る権利を縛り、憲法を無視して集団的自衛権の行使容認や安保法の整備に踏み切った。沖縄の辺野古新基地建設やイージス・アショアに象徴されるように、安倍政治の基本は民意無視。都合が悪くなると隠蔽と開き直りで中央突破し、「真摯」「丁寧」という言葉で国民をごまかしてきた。民主主義を標榜しながら、国民の声を平然と踏みにじるのが安倍政治なのだ。

 アベノミクスで国民の暮らしが楽になったのか?年金不安は解消したのか?外交の安倍というが、中国、韓国、北朝鮮、ロシアといった国々との関係は改善したのか?――よくよく考えれば、日本の状況は何一つ良くなってはいない。憲法改正?冗談じゃない!

 




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