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「底上げ」不可能 国民民主党参院比例区の実態

2019年6月 5日 08:25

DSCN0944.JPG 夏の参院選福岡選挙区に、独自候補擁立を宣言した国民民主党。福岡市を訪れた同党の平野博文幹事長が、その理由として挙げたのが「比例票の底上げ」だった。
 選挙区に候補者を立てることで比例票も増えるという理屈らしいが、実態からすると明らかな矛盾。そもそも、同党が公認している比例区の候補予定者たちに、「国民民主党」の党勢を拡大しようという意思があるとは思えない。
 
■産別組織内候補の「国民民主」隠し
 下は、「UIゼンセン」の組織内候補として国民民主から参院比例区に出馬する田村麻美氏のリーフレット。表を見ても裏をみても、「国民民主党」の名称はもちろんロゴさえ出てこない。目立つのは「イオングループ」「イオングループ労働組合連合会」の文字だけで、あたかもイオンの代弁者だ。

国民リーフ1.jpg 国民リーフ2.jpg 


 驚いたのは同氏のツイッター(下、参照)。冒頭画面に「UIゼンセンの政策実現のため、活動しています」と明記されている。これでは、一般の有権者は近寄りがたく、「比例票の底上げ」も「党勢拡大」も期待できまい。

田村まみ.png

■「組織内候補」の実態
 旧民進党系の政治家は、支持母体が「連合」であるため、労組の言いなりになる傾向が強い。産別の組織内候補となれば、なおさらだ。必然的に、当選しても国民は二の次三の次。労組のためだけに働く国会議員になる。

 代表的な例が、電力総連の組織内候補。国民民主には、東電労組出身の小林正夫氏、関電労組出身の浜野喜史氏と二人の参議院議員がいるが、ホームページに掲載している活動報告は電力労組絡みの事例ばかり。下は、今夏に改選を迎える浜野氏のホームページだが、直近の活動として画面を埋めているのは、“原発”に関する質問の模様だけという徹底ぶりだ。

浜野.png

 国民民主が比例区の公認予定者としているのは7人。そのうち5人が労組出身で、いずれかの産別の組織内候補となっている。彼らに求められるのは、労組内の票固め。地域を回って一般の有権者と触れ合うことは、まずない。

■静岡の報復で候補擁立
 参院比例区の候補者が有権者にお願いするのは、「候補者名」での投票だ。「政党名」でも投票可能なのだが、現行の非拘束名簿式で当選者を決めるのは“個人名での得票数”。自分の名前を書いてもらうことが先決で、不人気政党の名称を売り込むバカはいない。これは比例区候補に限ったことではなく、4月の党一地方選挙でも、「政党隠し」に走った地方議員が少なくなかった。
 
 国民民主党の支持率は、0%代~1%。選挙区で候補者を立てても立てなくても、状況は変わりそうにない。同党が参院福岡での候補者擁立にこだわったのは、立憲が同党幹部のいる静岡選挙区に、徳川家19代目の徳川家広氏を擁立したことへの報復。「共倒れ結構」の姿勢で、立憲現職の野田国義参院議員の足を引っ張ることが目的なのである。「比例票の底上げ」が聞いて呆れる。



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