先月30日の記者会見で、出席を予定していた複数の会合をドタキャンした理由について聞かれた三反園訓鹿児島県知事が、「担当部署に聞け」などと無責任な答えを連発。選挙資金絡みの疑惑で自身が刑事告発された件についても、「会計責任者に聞け」とうそぶき、記者団を呆れさせる状況となった。
都合の悪い話になると、部下に責任を押し付けて逃げ回る三反園氏――。閲覧する県民が少ないと言われる知事会見の模様を、分かりやすくまとめた。
(写真が三反園訓鹿児島県知事)
■前代未聞 ― 知事選絡みで会合ドタキャン
日程を自己都合でコロコロ変える三反園知事。今年4月には、地域おこしの一環として公設・公営で焼酎の醸造、販売に取り組む同県三島村の焼酎お披露目会に、知事側から挨拶の場を作るように申し入れながら、直前になってドタキャン。先月17日には、出席予定だった「一般社団法人 鹿児島工業倶楽部」の総会を、開会時間である17時30分の5分前になってドタキャンしていた。
ドタキャンの理由は、表向き「庁内の会議が長引いた」。しかし、県はHUNTERの取材に対し、どのような会議が開かれていたのか明らかにしておらず、事の真偽は不明なままだ。
一連のドタキャンについては西日本新聞や南日本新聞が詳しく報道しており、知事だけでなく、県費で会費を支払った職員らも会合の直前に欠席の連絡をしていたことが分かっている。いずれも、来年の鹿児島県知事選挙に出馬を噂される人物の出席が予定されていた会合で、報道関係者が会見で知事の姿勢を問うのは当然の流れだった。
■30分で「担当部署」「担当課」が24回
この日、17項目にわたった質問のなかで、ドタキャンに関する知事の考え方を質した記者は3人。主なやり取りをまとめた。
ドタキャンに関する30分あまりのやり取りの中で、知事は24回も「担当部署」「担当課」という言葉を使っていた。何を聞かれても知らぬ存ぜぬ。他の質問に対してはきちんと答えており、都合の悪い話だけを部下に押し付けて逃げる姿勢が際立つ。
昨年11月の記者会見では、新聞記者が海外出張の際に“知事の指示”で起きたトラブルの原因や、災害時の知事の対応について質問。三反園氏は、この時も「担当課に聞け」を繰り返し、答弁をはぐらかし続けていた。
無責任な姿勢は県議会の答弁でも同じ。知事に対する質問でも、役人に答弁させるケースが目立っている。
■恥知らず
知事の定例会見は、報道機関の記者が県民に代わって「聞きたいこと」「知りたいこと」を確認する場。「担当部署に聞け」は、責任放棄に他ならない。タチの悪いことに、鹿児島県の場合、その担当部署が「答えられない」「話せない」を連発するのが常。知事は役人のダンマリを見越した上で、「担当部署に聞け」を繰り返している可能性が高い。30日の会見では、知事自身がそのことを認めている。
記者:知事は記者をされていたので、あまたの官僚・公務員の方を取材されてきたと思いますが。
知事:主に政治家ですね。記者:政治家ですか。官僚の方とお話しされたはないでしょうか。取材したことは。
知事:それはありますけど、私は主に政治家を担当していましたので。記者:それで、取材されたときに「お答えできません」と公務員の方に言われて、“それはしょうがないな”で終わるんでしょうか。
知事:それは、すべてではありませんけれども、公務員の方々がですね、お聞きして、私の経験から言えばですよ、普通にすべてお答えする人、あんまりいないんじゃないでしょうか。
三反園知事は、「恥」という言葉を知らないのだろう。
(以下、次稿)