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戦争発言で丸山穂高氏除名 「日本維新の会」の危険な体質 

2019年5月15日 10:05

維新.png 11日、北方四島ビザなし交流訪問団の一員として国後島を訪れた日本維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が、訪問団の団長を務めていた元島民の男性に「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもないじゃないですか」などと発言。積み重ねられてきた日露の交流を台無しにしかねない行為に批判が集まり、14日になって維新が丸山氏を除名処分にした。
 都構想や参院選への影響を最小限に抑える狙いのようだが、維新が政治家としての資質を欠く人間ばかりを集めた右寄り集団であることは確か。じつは、同党の危険な体質自体に問題がある。
 
■政治家以前に「社会人失格」
 北方4島がロシアに奪われたのは、「戦争」が原因だ。子供でも知っている歴史なのに、その島々を取り返すのに「戦争やるしかない」というだから、この議員さんの頭の中は空っぽなのだろう。

 どんな経歴なのか確認したところ、東京大学経済学部を卒業後、2006年に経済産業省に入省。たった3年で退官して松下政経塾で学び、12年の総選挙で日本維新の会の公認候補として大阪19区から出馬し、初当選していた。35歳で、すでに当選3回を数える中堅議員。順風満帆の人生だったようだが、政治家としてもちろん、社会人としての常識も備わっていなかった。

 2015年には都内で飲酒して一般人と口論になり、相手の手に噛みつくという事件が表面化。17年には、維新の代表である松井一郎大阪市長(当時は府知事)の党運営を批判したことで橋下徹元大阪市長と対立するなどトラブルメーカーとしての活躍が目立っていた。うやら「反省」「自省」という言葉とは無縁の性格。今回の騒ぎについても、まるで他人事だ。丸山氏のツイッターへの投稿を時系列で追ってみると、よく分かる。

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 問題発言の翌々日(13日)、国後島から本土に帰ってきた時点で丸山氏が投稿したのは、「北方領土という戦争で取られたものをどのように取り返すのかというのは本当に一筋縄ではいかないと改めて痛感」という、これが衆議院議員の言い分なのかと呆れるほどの極めて幼稚な感想。すでに自分の暴言が問題視されていることを承知していたはずだが、その点には一切触れていない。“悪かった”“申し訳ない”という思いさえなかったということだ。

 維新を除名処分となったことを「虚心坦懐にその処分を受けとめる」と言いながら、「これより先の期間は無所属にて活動する」――つまり辞職しないことを宣言するという横着ぶり。国内の批判やロシア側からの反発に対し、責任をとる素振りさえ見せない。「残りの政策」が何を指すのかさっぱり分からないが、不祥事を起こしたあげく、議員職にしがみついた男に期待する国民などいないだろう。丸山氏が議員であり続けること自体が税金の無駄、国家の損失と言っても過言ではあるまい。こうした愚物を公認したのは日本維新の会なのだが、そもそもこの政党の“体質”に問題があることを忘れてはなるまい。

■沖縄蔑視「土人発言」を擁護した松井大阪市長
 2016年10月、沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設現場で、警備にあたっていた大阪府警の機動隊員が抗議活動中の市民に暴言を吐いた。「ボケ」「土人」……。荒れる現場での出来事とはいえ、公務員の言葉とは思えぬ人権無視のチンピラ発言に批判が集中した。
 
 「土人」は差別語。機動隊員の暴言は≪沖縄県民=土人≫という沖縄蔑視の歪んだ考えに基づくものだった。しかし、この土人発言が問題となった際、当時大阪府知事だった松井氏はツイッターに『ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様』と投稿。翌2日には、土人発言を問題視する報道陣に対し「警察官個人を叩くのは間違い」とした上で、「もともと混乱地で、無用な衝突を避けるために警察官が全国から動員されている。混乱を引き起こしているのはどちらか」と語り、ヘリパッド建設に反対する沖縄県民を非難していた。これが松井氏の「本質」なのだ。

■米軍に風俗の活用を勧めた橋下氏
 維新の創業者である橋下徹氏にも、沖縄県民を土人と罵った府警の警察官を擁護した松井知事の思考法と、通底するものがある。2013年、当時日本維新の会共同代表を務めていた橋下氏は、旧日本軍の従軍慰安婦を巡る自身の発言が世論の猛反発にあったことを受け、次の様な発言を行っている。

―― 「慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」
―― 「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなく、いろんな軍で(慰安婦を)活用していた」
――(在沖縄米軍司令官に)「もっと日本の風俗業を活用してほしい」
 
 米兵による女性への暴行事件が相次ぐ現状の解決策として、沖縄の風俗嬢に米兵の慰安をしろと言ったも同然。維新幹部の認識とは、この程度のものだった。

■危険な暴力的体質 
 橋下氏も、松井氏も言葉が荒い。自分たちを批判する相手を「ばか」「ボケ」と口汚くののしり、容赦なく叩くことが常態化。子供に聞かせることのできないような汚い言葉でも、平気で使ってきた。その影響なのだろう、同党の足立康史衆院議員(比例近畿)は、「朝日新聞、死ね。」とツイートしたり、国会で他党の議員を犯罪者呼ばわりするなど過激な発言で度々物議を醸し、自分で“炎上商法”と胸を張る始末。常識を欠いた維新関係者たちの発言は、他者への誹謗中傷をよしとする党そのものの体質に起因していると言わざるを得ない。

 今回の戦争発言についても、松井代表は当初「本当にばかだ。公人として(発言を)撤回し、謝罪するように伝えた」という対応。問題が大きくなり、都構想や参院選への影響が必至となったことを受けて、除名処分に至ったとみられている。

 国会では、特定秘密保護法や安保法の制定で右寄りの安倍政権に協力し、憲法改正にも積極的な維新――。賭博場であるカジノ誘致に力を入れる一方で、公明党を脅して都構想への協力を強要する姿勢は、まるで暴力団系の右翼団体だ。



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