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開き直った丸山穂高 振り回される永田町

2019年5月20日 09:40

衆院 総務委員会.png 北方領土を奪還する方法として「戦争しないとどうしようもない」などと発言し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(右の写真)の問題を巡り、17日、立憲民主党など野党6党派が同氏に対する辞職勧告決議案を衆議院に共同提出した。
 戦争放棄を定めた憲法の規定にも反する暴言。ロシアとの関係にも影を落とす事態に、すんなり採決されるものとばかり思っていたところ、閣僚らの失言が辞職勧告決議につながる前例となることを恐れる自民・公明が尻込み。決議できるかどうか分からない状況となっている。
 一方、渦中の丸山氏は議員辞職を否定し、永田町への報復を宣言する始末。この国の政治が、絶望的に劣化している。

■広がる波紋
 丸山氏を公認し、国政の場に引っ張り出したのは日本維新の会。当然、同党に対する風当たりは強く、首都圏で次の選挙に向けて駅頭活動をする候補者にも罵声が飛び交っているという。

 大阪にある日本維新の会本部では、丸山氏の戦争発言が報じられて以降、抗議の電話が鳴り止まず仕事が手に着かない状態。各地の総支部や同党所属議員の事務所にも多くの抗議の電話があり、ある地方議員の事務所には、「家に張っている維新のポスターを剥がせ」という苦情が何件も来たという。

 大阪ダブル選や衆議院補欠選挙で大勝し、各種世論調査で支持率を倍増させた維新だったが、悪いことは重なるもの。17日には、先月の大阪市議選で車上運動員(いわゆるウグイス嬢)を手配する報酬として現金を渡したとして、同党所属の市議が大阪府警に公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された。勢いがついたところに大きな綻びが生じた格好だ。

 丸山発言は、日本の外交にも影響を及ぼしている。問題発覚後、ロシア上院の国際問題委員長が「(丸山発言は)日ロ関係の流れの中で最もひどい」と厳しく批判。発言を逆手に取る形で「挑発的な発言ができるのは、(領土問題の)解決を望まない人々だ」と語り、日本を牽制した。片山虎之助共同代表と馬場伸幸幹事長がロシア大使館に出向き駐日ロシア大使に謝罪したが、国会議員の発言だけに諸外国が抱いた不信感は拭えそうにない。

■まるでチンピラ ― 開き直った丸山穂高
 これだけの問題を起こしておきながら、辞職せず、開き直る丸山穂高。一体どんな人物なのか丸山氏をに近い人に聞いたところ、「頭はいいのだが、理屈っぽくてしつこいタイプ」だという。戦争発言について議員自身がどう考えているのかについては「何も感じていない。もちろん、悪かったとも思っていない」という答えが返ってきた。たしかに、戦争発言についていったんは撤回、謝罪しながら、辞職勧告決議案の話が出てからの同氏は、暴走が止まらなくなっている。下に、ツイッターへの投稿を順に並べてみた。

丸山 Twitter.jpg

 不名誉な事案で憲政史に名を残すのがよほど怖いのか、辞職勧告決議案について「言論府が自らの首を絞める行為」「言論の自由が危ぶまれる話」――。“言論の自由”の意味が全く分かっていない国会議員がいることに、あ然とする思いだ。言葉による“いじめ”が許されないのと同じで、北方4島の関係者や国家の威信に傷をつけた暴言が、「言論の自由」で救われるはずがない。

 醜い言い訳の後には「北方領土問題を含め日露外交の問題から、与野党の議場で不問になっている過去の他議員不祥事、提出に賛成するというなら維新も含めた各会派の問題点も同時にこの機に世に問いかける」と脅し、「これ以上荒立てるつもりはない」。テレビドラマに出てくる、チンピラやくざさながらの言葉が並ぶ。

 維新の片山共同代表と馬場幹事長がロシア大使館に出向き謝罪したことや、丸山氏の所在不明が報じられると、再びツイッターに投稿(下がその画面)。自分の発言の重大性がまったく理解できていないことがよく分かる内容である。

丸山22 (2).jpg

 丸山氏は酒を飲むと豹変するところがあり、3年前には都内の居酒屋で一般人と口論となり、相手の手を噛むという飲酒トラブルを起こしている。この際、丸山氏は「公職にいる間は断酒する」と謝罪した上で、再度飲酒した場合は「議員辞職する」と明言していたという。今回の戦争発言は、公務出張先で“酒”に酔ってのこと。政治家である以前に、社会人としての常識を欠いた人物だったということだろう。

 テレビ局の記者から3年前の禁酒宣言について聞かれた丸山氏は、「一度選挙を経ているので」と答えている。“みそぎ”は済んだという理屈なのだが、選挙の時に飲酒トラブルの是非を問うたわけではあるまい。自分勝手で非常識極まりない男を、国会議員にした責任はだれが負うのだろう……。



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