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暗雲漂う「馬毛島」買収交渉 
所有企業の代表交代で長期化の可能性

2019年4月12日 08:05

20180516_h01-01-thumb-autox447-24420--2.jpg 安倍政権が米空母艦載機の陸上離着陸訓練(タッチアンドゴー)に利用することを決めた「馬毛島」(鹿児島県西之表市)の売買契約が、予定された年度内から大きくずれ込む見通しとなった。
 同島の所有企業「タストン・エアポート」(旧社名:馬毛島開発)の代表者として、防衛省や金融業者の画策で会社から追放された格好となっていた立石勲・立石建設会長が正式復帰したためで、国はこれまで面会を拒んできた同会長と買収交渉を行わざるを得ない。
 立石氏は、今年1月に防衛省がタストン社と結んだ仮契約の金額約160億では不足であることを明言しており、交渉の長期化が予想される状況となっている。

■立石建設会長がタストン社の代表に復帰
 タストン社の役員人事を巡っては、同社の大口債権者らにうながされる形で、昨年秋に立石氏が役員を退任。同氏の子息がタストンの代表となり、今年1月に防衛省との間で仮契約を結んでいた。契約金額は約160億円だったという。

 しかし、タストン社の負債額は240億円超。立石氏側は仮契約の金額に不同意だったため、今年2月に株主総会を開いて立石氏を役員に復帰させる人事を断行。これに反発した立石氏の子息が、タストン社の株は自分が立石会長から譲渡されていたなどと主張し、東京地裁に立石氏の役員就任を無効とするよう求める仮処分申請を行っていた。

 東京地裁は今月8日、タストン社の株は立石建設の関連会社「日開企業」の所有であるとする立石氏側の主張を全面的に認め、同氏の子息側から出された申立てを却下。立石氏の代表取締役復帰が法的に認められた格好となっている。防衛省との交渉は、立石氏が主導する形に戻る。

■見送り確実の年度内契約
 馬毛島は、種子島の西方約12㎞に浮かぶ周囲16.5km(南北4.50km、東西:3.03km)、東京ドーム175個分にあたる面積820ヘクタールの島。鹿児島出身の立石勲氏が創業した立石建設のグループ企業が、同島の開発を手がけていた馬毛島開発を旧平和総合銀行から買収して「タストン・エアポート」に社名変更。滑走路を造成したり、社員を常駐させるなどして維持管理を行っていた。

 タストン社と防衛省は2016年11月、米空母艦載機の離発着訓練場の移転先候補地として島を買い取る交渉に入ることで合意していたが、価格交渉が難航。現在滑走路となっている部分の造成費やこれまでの維持管理にかかった経費を上乗せして400億程度の契約金額を提示したタストン社と、当初40億円台を主張した防衛省側との溝が埋まらず膠着状態となっていた。

 事が動いたのは昨年。防衛省の幹部職員にそそのかされた複数の金融業者が、タストン社の破産申し立てを連発。追い詰められた立石氏は、ある企業の代表に防衛省との交渉の一切を任せるとする委任状を渡し、タストン社の役員を退いていた。今回の立石氏の代表復帰には、防衛省側のやり方に不信感を持つ一部の債権者が同意している模様で、年度をまたぐことになりそうな土地価格を巡る交渉は、厳しさを増すことが予想される。



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