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新聞値上げへの疑問

2019年4月23日 09:00

001-2.jpg 即席麺に冷凍食品、アイスクリームにうま味調味料、さば缶に清涼飲料――。庶民が口にするものすべてが遠い存在になってしまうのではないかと心配になるほど、食品の値上げが止まらない。自民党の萩生田光一幹事長代行が認めたように、景気の落ち込みは顕著。アベノミクスの化けの皮が剥がれつつある状況だが、政府はこの秋、予定通り消費増税を行うのだという。
 そうした中、記者の愛読紙「西日本新聞」が突然の値上げ発表。調べてみると、読売新聞が先行値上げし、東京新聞も4月から価格を引き上げていた。軽減税率が適用されるはずの新聞が、なぜ値上げするのか?
 
■新聞値上げへの疑問 
 今月18日、九州地方を代表するブロック紙「西日本新聞」が、紙面で突然の値上げを発表した。

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 5月から、月ぎめ購読料を現行の4,037円(税込み)から363円引き上げて4,400円(同)に、朝刊一部を140円から150円にするのだという。価格の引き上げは1994年以来25年ぶりだと書かれているが、改めて、ずいぶん高い購読料を払ってきたものだと考えこんでしまった。西日本新聞の愛読者としては、つらい値上げだ。しかも新聞は消費増税が実施されても、飲食料品同様に「軽減税率」を適用される。納得できない。

 同紙が価格引き上げの理由として挙げているのは、新聞輸送や配達に使うガソリン代、新聞の原材料費、製作機材などの高騰。つまり、「経営努力ではこれまでの価格を支えきれないので読者が負担してくれ」――ということだ。

 価格引き上げは新聞業界全体の方向性らしく、東京新聞も今年4月から値上げし、朝夕刊セットの月額購読料を357円引き上げて3,700円に、朝刊の1部売りも10円引き上げて120円にしている。先行して最初に値上げに踏み切ったのは読売新聞で、2019年1月から朝夕刊セットを4,037円から4400円に、朝刊単体を3,093円から3,400円に引き上げていた。読売の引き上げ理由は、全国の販売店における経営難と従業員不足の深刻化だ。

 日本経済新聞の値上げはもっと早く、2017年11月の実施。朝夕刊セットの月ぎめ購読料を4,509円から4,900円に、朝刊のみを3,670円から4,000円(同)に引き上げていた。《編集・製作過程の合理化をはじめ、これまで様々な経費削減努力を重ねることでコスト増に対応してまいりましたが、最近の物流関係を中心にした人手不足が深刻化するに伴い、配達費が上昇し、販売網の維持が厳しさを増しています。カラー化など印刷設備更新のための負担も重くなってきました。クオリティーの高い新聞を皆様にお届けしていくためには、価格改定をお願いせざるを得ないと判断いたしました》(2017年10月6日 同紙「購読料改定のお願い」より)が、値上げの理由だ。

 新聞社ごとに、価格引き上げの理由があるのは分かる。“経営努力”を続けてきたのも事実だろう。だが、本当に“新聞がなすべき努力”をしてきたのか疑問だ。

■減り続ける新聞の部数
 下は、広告の売り手=新聞・雑誌・門紙誌・フリーペーパー、買い手=広告主・スポンサー、仲介する広告会社=広告代理店の3者で構成される「一般社団法人 ABC協会」による2001年、2013年、2016年の全国紙の販売部数をグラフ化したものである。

777b94857375c0944e959034eb827fc44c2b9928.jpg インターネットやSNSが普及し、携帯やパソコンの画面から情報を得る人が増え続けるなか、読売は15年間で13%約128万部、朝日に至っては24%約196万部の部数減だ。毎日、日経、産経もそろって部数を減らしており、全国紙は本業だけでは生き残れない状況となっている。前述した西日本新聞も、2001年の80万部から2018年の61万部にまで部数を減らしている。つまり、販売部数の落ち込みこそ、新聞が値上げに踏み切らざるを得ない最大の理由ではないのか。新聞が事実だけを報じるまっとうなメディアであるなら「深刻な部数減で値上げやむなし」と公表すべきだろう。

 ではなぜ、新聞の部数は減り続けているのか――。別の視点で検証を続けてみたい。
                                                          (以下、次稿)




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