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次から次に大型開発 利権まみれとなった鹿児島・三反園県政

2019年3月27日 08:55

DSC03379.JPG 鹿児島県が、鹿児島市東開町のイオンモール鹿児島前に位置する旧木材港を埋め立てて、県民や観光客の交流拠点として活用する計画を明らかにした。捨て場所がない建設残土を利用した埋め立てなのだが、事業費や工期についてはこれから検討するのだという。つまり、“いくらかかるのか分からないが、とにかく港を埋め立てて土地を造成する”ということだ。
 県民不在で暴走する三反園・土建屋県政――。鹿児島中央駅西口での体育館整備計画も、結論ありきで事が進む状況となっている。(写真は鹿児島県庁)

■旧木材港の埋め立て計画で新たな利権
 県が埋め立ての方針を決めた旧木材港は、7つの港区に分かれた鹿児島港の中で、1965年から74年にかけ外材等を扱う港区として整備された区域。港湾利用の変化に伴って利用機会が減ったため、再開発が検討されていた。(*下が鹿児島港の位置図で県HPより。青い書き込みはHUNTER)

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 今月18日に開かれた「鹿児島県地方港湾審議会計画部会」で、県が諮った旧木材港の埋め立てを含む鹿児島港港湾計画の変更が認められたという。「鹿児島県地方港湾審議会」は、国、県、鹿児島市に民間の港湾関係団体代表などを加えて構成される組織。県は、旧木材港の海域約20ヘクタールの内の16ヘクタールを埋め立て、県民や観光客の交流拠点として活用する計画だとしている。

 有識者らのお墨付きを得た方針決定だと言いたいらしいが、工期も事業費も未定、決まっているのは、埋め立てに使うのが公共工事で発生した建設残土であるということだけだ。県は、来年度予算に調査費1億円を計上しているが、唐突に出てきた埋め立て決定のニュースを見た県民からは、「一体、何の話なんだ?」という声が上がっている。鹿児島市在住の男性公務員は、ため息交じりにこう話す。
「三反園知事になって、完全な土建屋県政になった。伊藤さん(祐一郎・前知事)の時より酷い。秩序がないんだ。大型事業に絡んで、知事の側近といわれる元議員秘書の名前が頻繁に聞こえてくるのもおかしな話。体育館、サッカー場、商業施設、今度は木材港の埋め立てだ。どの事業にも悪い噂がつきまとう。そのうち県庁が汚職の巣窟になるんじゃないか」

 たしかに、無理やり利権を作り出そうとする三反園県政の手法には、危うさがつきまとう。総合体育館の整備計画は、その代表例と言える。
 
■「総合体育館」中央駅周辺の交通量調査はたった1日
 県への情報公開請求で入手した資料によれば、総合体育館の建設予定地は鹿児島中央駅の西口。下の図にあるように、県工業試験場跡地(1万㎡)と日本郵便の所有地(約6,000㎡)を合わせた約1万6,000㎡の土地に整備する計画だ。

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 県は約4,000万円の予算を計上し、民間のコンサル業者などに業務委託して検討を進めてきたが、“なぜ鹿児島中央駅の西口なのか”という疑問に答える文書はない。まさに唐突に、西口での体育館構想が浮上した形だ。

 「西口ありき」で始まった計画だけに、無理が目立つ。鹿児島中央駅周辺で一番の問題となるのは交通混雑。現在でも駅周辺は車が混み合っており、解決策さえないのが実情だ。比較的車の出入りが少ない西口といえども、一時的に多数の人が集まる体育館が建設されれば、より大変な事態になるのは目に見えている。どのような調査を行ったのかを開示された文書で確認したところ、杜撰を絵に描いたような調査しか行われていなかった。
 
 県から業務委託された大手の建設コンサルが調査したのは平成30年(2018年)10月30日の火曜日。調査地点は「中央駅西口交差点」「西口広場付近交差点」「温泉施設付近交差点」「日本郵政敷地南東交差点」の4カ所で、たった1日の、しかも午前7時から10時までの3時間と午後16時から19時までの3時間の計6時間だけだった。さらに、業務委託を受けた建設コンサルは実際の調査を行っておらず、別の市場調査専門会社に再委託していたことも分かっている。下は、建設コンサルが県に提出した交通への影響分析結果だが、この程度の調査を基に、大型開発にゴーサインを出すことなど通常ならあり得ない。

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 そもそも、鹿児島中央駅の西口に体育館を整備するという計画は、三反園知事とその周辺が言い出したもの。鹿児島市や経済界などとの十分な話し合いを経たものではない。市関係者によれば「鹿児島市や経済界は西口の体育館構想に反対」。県の構想に賛成しているのは、利権にありつけそうな一部の県議会議員だけだという。

 県政刷新を掲げて登場した三反園訓知事だったが、やっていることは伊藤前知事の時代をはるかに超える土建屋行政。大型開発というエサをぶら下げて、建設業者のカネと票を集める算段なのである。



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