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“麻生VS小川”対立の原因は…… 福岡知事選アンケートより(下)

2019年2月19日 09:45

ba5ffcc55c90ef8caa15a0e641083beda34eeecc-thumb-200xauto-24279.png 4月の知事選を巡り、保守分裂が確実となった福岡県。小川洋知事の再選を目指す勢力と元官僚・武内和久氏を推す麻生太郎副総理兼財務相らのグループの対立は激化する一方だ。
 自民党県議団所属の県議41名へのアンケート結果からは、「武内推薦」を決めた党の方針に従うとしながら、麻生らの強引な手法に批判的な、いわゆる“面従腹背”組が一定数いることが分かる。
 そうした議員たちや県民の心にくすぶっているのが、「なぜ小川ではダメなのか」という疑問。麻生太郎が小川降ろしに走った背景とは……。

■県民が首ひねる「小川不支持」の理由
 これまでアンケートに答えた県議は10人。「武内支持」を鮮明にしているのは7名だ。そのうち、小川知事を容認しない理由を書き込んだのは5人。下にそのままを転記した。

不支持理由.png

 この中に県民が納得できる理由があるだろうか?誰に聞いても、答えは「NO」だろう。知事の政治姿勢を巡って紛糾してきた県議会でのドタバタを認識している県民はまずいないだろうし、いたとしても「知事へのいじめ」程度にしか見ていない。「党が推薦したから」というのは、“なぜ小川ではダメなのか”という問いに対する答えになっていない。「公募に応じなかった」という理由も、知事選については成り立たないだろう。そもそも、首長は政党を超えた存在として、広く有権者の支持を得るべき立場。政党の公募など、どう考えてもなじまない。知事選は、政党が前面に出る衆議院議員や参議院議員の選挙ではないのだ。では、保守分裂を招いてまで、小川知事を引きずり降ろそうとする麻生太郎の真意はどこにあるのか――?

■背景に自動車産業絡みの利権
 麻生大臣の口から「小川洋」という人物を否定できるだけの決定的な理由が語られたことはない。公式な場で麻生が語ってきたのは、高島宗一郎福岡市長との比較だけ。安倍政権の国家戦略特区を活用して都市力を高めてきた高島市長は優秀だが、小川氏は何もしていないという主張だ。しかし政令市と県政、それぞれ違う課題を抱える自治体のトップを並べて論じるのはナンセンス。政治手法も様々あって当然だろう。

 高島氏が福岡市を発展に導いているのは認める。情報発信力もある。しかし、小川氏が着実な仕事ぶりで県民の信頼を得ているのも事実。九州豪雨の被災地復興や産業振興でも成果を上げている。「パフォーマンスが得意な高島。堅実な小川」(ある上場企業の副社長)という評価については、納得する県民が少なくないはずだ。どれだけ麻生が「小川はダメだ」といきり立っても、共感は広がらない。麻生太郎と小川氏が不仲になった原因がどこにあったのか、これまで、その真相が語られたことはなかった。

 両者の関係が崩れたのは、2016年に行われた衆院福岡6区の補欠選挙からだとされる。小川知事が、県連推薦候補への応援要請を断ったことで、同陣営の選対本部長を務めていた麻生氏の逆鱗に触れたのが発端だったという。その頃から小川氏と麻生渡前知事との関係も悪化。今回の知事選にあたり、ダブル麻生は「反小川」の急先鋒となっている。

 “麻生大臣と小川知事の関係が悪化した理由は何か”――。多くの関係者に話を聞いてきたが、ここに来て、ようやく複数の関係者が重い口を開きだしている。ある自民党県連関係者は、麻生財務相と小川知事の不仲について、こう話す。
「6区の補選で知事が応援を断ったことが不仲になった原因と言われてきたが、あれは通過点。不仲になったのは、そのずっと前からだった。麻生(太郎)さんがある施策の実行を迫ったのに、小川知事が拒否したのが本当の原因。麻生さんは、目をかけている高島福岡市長がやっているような国家戦略特区を活用したりする派手な事業の拡大を求めたが、知事はこれも受け入れなかった。まあ、『言うことを聞かないから気に入らねぇ』という麻生さんのわがままだがね」

 別の県議会関係者は、次のように解説する。
「麻生さんが知事に実現を迫ったのは、自動車産業絡みの事業。もちろん、自分の選挙区内でのことだったはず。トヨタとか、ね。麻生渡さんの時代から県が力を入れてきた自動車産業の振興は、太郎さんにとってはおいしい話。利権としては大きい。だけど、小川知事はこれを蹴った。“ひも付き事業”を嫌がったんだね。この話には前知事も絡んだ。だからダブル麻生と知事は険悪になった」

 利権に直結する施策の実現を迫ったダブル麻生に対し、拒絶した小川知事――。ダブル麻生と知事の関係は、小川県政2期目のスタート直後に修復不能の状態になっていたという。事実なら、まさに「私怨」による小川降ろしである。

 この話を裏付けるように、麻生氏は今月14日に開いた国政報告会で、麻生渡前知事が進めた自動車産業集積などの実績を褒めたたえ、「そんな実績が一つでもあるか」と小川知事を厳しく批判した。麻生前知事も、武内氏の後援会長に就任した記者会見で、「期待した政策が出なかった」と語っている。「そんな実績」「期待した政策」が何を指すのか――読者はもうお分かりだろう。

 6区の補選に不仲の原因を求めたがる報道各社の記事について、事情を知る人間たちはどう見ているのか。前出の自民党関係者は、「6区の補選が原因で(麻生太郎と小川知事が)不仲になったという話に一番迷惑しているのは、蔵内(勇夫)県連会長だろう。自分の息子の選挙のことで迷惑をかけたということになるんだから。小川降ろしに付き合わされた形。麻生さんは、分かっていて否定しない。蔵内会長を引っ張り込んでおきたいからだ。だいたい、総理までやった政治家が、選挙応援に来る・来ないでこんな騒ぎを起こすはずがない。『利権話を断られたから、知事を代える』なんて、言えないだろうがね…‥」




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