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福岡県知事選、保守分裂の舞台裏

2019年2月 7日 09:35

senkyo_img-thumb-270xauto-25080.jpg 小川洋知事の再選を目指す勢力と元官僚・武内和久氏を推す麻生太郎副総理兼財務相らの勢力がぶつかり合い、保守分裂が確実となった4月の福岡県知事選挙。ゴリ押しで自民党の推薦を勝ち取ったはずの武内陣営だが、県連所属の議員の間からは「(現職有利の)選挙結果は見えている」「支持者からボロクソ言われる」などといったため息交じりの愚痴が漏れ始めている。知事選の最前線で、何が起きているのか――。
 
■板挟み――頭抱える衆院議員
選挙区.png 国会議員の勢力図でみれば、圧倒的に小川陣営有利の状況だ。福岡県内11選挙区で議席を持つ自民党の議員のうち、明確に武内支持を打ち出しているのは麻生派の3人だけ(右の表参照)。小川支持は二階派3人、岸田派3人と石原派、竹下派がそれぞれ1人ずつとなっている。二階派は同派の領袖である二階俊博幹事長の側近・武田良太衆院議員を中核にまとまっており、一歩も引かぬ構え。石原派は小川知事を支持する山崎元副総裁が創業した派閥であり、岸田派の実質的なオーナーは、やはり小川支持の古賀誠元幹事長だ。三原朝彦衆院議員は、もともと麻生財務相と険悪な仲だという。自民党の「推薦」は、候補者自身が党員になることを求められる「公認」より弱い対応。このため、小川支持派の国会議員たちは「党議拘束はない。小川を支援してもお咎めなしだ」と公言する。当然、両陣営の駆け引きが激化する。
 

 ある衆議院議員が「頭を抱えている」(当該議員の支持者)という話が飛び込んできた。近々開く自分の集会に現職の小川氏を招く予定だったところに、あり得ないと思われていた党本部の武内推薦――。すかさず県連サイドから、「武内を呼ぶように」と念押しされたという。ところが、地盤を譲り後継指名してくれた大恩人は小川支持。武内を呼べば次の選挙がない。集会を辞めるわけにもいかず、悩ましい日々が続いている。


 保守分裂の選挙は、オセロゲームと同じで、支持基盤の奪い合い。すでに現職を推薦していた県内の各種団体にも、麻生太郎の子分たちから圧力が加わる。農政連、医師会、町村会といった自民党の有力支持団体は「小川支持」を決めていたが、県連所属の県議らの顔をたて、地域単位で武内支持に方向転換するケースもある。ただし、あくまでも“表面上”のこと。いわゆる面従腹背で、実際の投票行動は「小川支持」に走るとみられている。

 ある自民党の県議会関係者はこう話す。
「武内の支援を頼むと、『嫌だ』とは言われない。『はい、はい』という感じ。日ごろの付き合いがあるからね。ただ、心の中は違うなとすぐに分かる。県民は、麻生さんや県連が、小川知事をいじめているとしか見てないからね。武内を強引に推した大家(敏志・参院議員)のところの秘書なんか、反発する支持者からボロクソやられてるらしい。たしかに、武内推薦には大義名分がない。57対11(自民党情勢調査の結果)から一定程度は(支持率を)上げるだろうが、現職は強い。同情もある。党本部は、戦後処理についても考えた上で武内推薦を決めたんだと思うよ」

■麻生太郎が「反小川」になった理由とは?
 知事選を巡る陣取り合戦はギリギリまで続くだろうが、腑に落ちないのは、ここまで問題がこじれた原因がハッキリしないことだ。麻生太郎は、なぜこうも小川降ろしにこだわるのか――?

 大手メディアは、蔵内勇夫県連会長の子息が出馬した衆院福岡6区の補選(2016年10月)で、選対本部長を務めた麻生の応援要請を小川知事が断ったことが原因だと決めつけてきた。たしかに、両者の不仲が顕在化したのは6区の補選からだ。しかし、いくらわがままな麻生とはいえ総理大臣まで経験した政治家が、選挙の応援に来る来ないで、ここまで露骨な現職つぶしをするとは思えない。取材してみると、やはり不仲の原因は他にあった。麻生と小川知事の関係が悪化したのは6区補選の数か月前。ある事案を巡って、意見の対立があったことが分かってきた。詳しくは次週の配信記事で報じる予定だ。

 



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