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沖縄県民投票 「政権の犬」5人が吠えて投票率アップ

2019年2月 1日 09:45

1編集.JPGのサムネイル画像 米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設することに対する賛否を問う県民投票を巡り、沖縄県議会は29日、「賛成」「反対」の選択肢に「どちらでもない」を加えて“3択”とするための改正条例案を賛成多数で可決した。
 県内5市の市長が、選択肢が少ないなどの理由で県民投票への不参加を表明したことを受けての条例改正。玉城デニー知事と県議会の努力で、全自治体参加への道が開けた形だが、間違っているのは県民が意思表示する機会を奪おうとした不参加表明の市長ら。改めて、沖縄の県民投票について考えた。

■「県民投票」とは
 地方自治法は、有権者の50分の1以上の者の署名があれば「条例の制定又は改廃の請求をすることができる」(74条)と定めており、沖縄県ではこの規定に基づき県への直接請求が行われ「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」が県議会で制定された。

 条例制定の請求にあたっては、請求に必要な法定の署名数(沖縄県の有権者は約98万人。必要な署名数は約20,000)を大きく上回る約93,000筆の署名があったという。

 県民投票は今年2月14日に告示され24日に投票が行われる予定で、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民個々の意思が示されることになる。県民投票にかかる事務の執行経費は、地方財政法の規定に基づき全額県が負担し、市町村に交付される。

 投票資格があるのは、沖縄県内の市町村に引き続き3か月以上暮らしている満18歳以上の者。市町村レベルでは多数の実施例がある住民投票だが、都道府県レベルでの実施となると、沖縄県が平成8年に実施した「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」のみで、今回が2例目となる。

■不参加表明の市長らは安倍政権の飼い犬
 一連の経緯からも明らかなように、今回の県民投票は沖縄県内で10分の1を超える有権者が実施を望み、県議会が多数をもって決めたことだ。市町村レベルの住民投票ではない。それをなぜ、“市長”が県民の権利を奪うようなマネをしたのか――。

 県民投票への不参加を表明していたのは宮古島市、うるま市、石垣市、沖縄市、宜野湾市の5自治体の市長。いずれも選択肢が足りないという理由だった。「賛成」「反対」のいずれかを選ぶのではなく、選択肢に「どちらとも言えない」や「やむを得ない」を加えるべきだという主張である。しかし、制定された条例の目的は「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否」を問い、県民の意思を明らかにすること。文字通り「賛成」か「反対」かを問うための住民投票であり、曖昧な選択肢を用意する必要はなかった。賛成でも反対でもなければ、投票を棄権することも可能であり、白紙で意思表示することもできるからだ。5人の市長が不参加を表明した裏には、別の理由があったと見るのが普通だろう。下は5人の市長が、直近の選挙で推薦を受けた政党名だ。 

沖縄5市.png

 ガチガチの保守地盤と言われる宮古島市の市長選は自民の単独推薦。他の4市においては公明や維新も推薦を出していたが、勝利の絶対条件が「自民推薦」だったことは確かだ。つまり、県民投票不参加を表明して玉城県政を揺さぶったのは、いずれも安倍政権から物心両面の支援を受けた市長たちということになる。

 例えば、島袋うるま市長の支援団体「うるま市はひとつ・市民協働のまちづくりの会」には、市長選が行われた2017年に沖縄の自民党支部から500万円が、「島袋俊夫後援会」には別の自民支部から約82万円が寄附されていた。

 松川氏を後継者に指名して昨年の知事選に出馬した佐喜真淳前宜野湾市長の支援団体「佐喜真アツシ後援会」及び「宜野湾市の未来を創る市民の会」には、2015年に執行された宜野湾市長選の際、自民党の支部から計2,400万円もの資金提供が行われていたことが分かっている。

 安倍政権になってから行われた沖縄の首長選挙では、政府・与党が総力戦で「オール沖縄」系の候補を潰しにかかる状況となっており、動く選挙資金の額も増える一方。カネで雇われた政権の犬が市長となり、辺野古基地建設を強行する安倍政権への対抗軸として打ち出された「沖縄アイデンティティー」に吠え掛かる構図だ。

 すべての自治体の参加を求めるため、県民投票条例が改正され“3択”になった。当然、問題の5市も参加せざるを得ない。政権の犬が吠えたことが、結果的に投票率を上げることにつながると見るべきだろう。安倍内閣にとっては大誤算。無駄に吠える犬は頭が悪いというが、本当のようだ。
 

 



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