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古賀市“ふるさと納税”  返礼品賞味期限切れを未公表 

2019年2月14日 08:45

返礼品4.jpg 福岡県古賀市が、ふるさと納税の返礼品として賞味期限切れの食品を発送しながら公表せず、対応を業者に丸投げしていたことが明らかとなった。
 賞味期限切れの返礼品を発送した業者が寄附者と直接交渉し、該当商品の交換で事を済ませようとしていたことも判明。13日、HUNTERの取材に事実関係を認めた古賀市の担当課は、公表を怠っていた理由や正式な公表時期について、「調査中」を理由に明言を避けている。
 業者からの連絡で返礼品の賞味期限切れについて知ったある寄附者は、「業者も市役所もデタラメな対応。こんな自治体には二度と寄附などしない」と話している。

■「水炊きセット」で賞味期限切れ 事実上の隠蔽に寄附者の怒り
 返礼品の一部に賞味期限切れがあったことが明らかになったのは、1万円の寄附に対する返礼品として利用された鳥肉卸「株式会社あらい」(福岡県古賀市)の“「はかた一番どり」水炊きセット”。ふるさと納税を担当する古賀市の商工政策課に確認したところ、水炊きセットに賞味期限切れのものが含まれていることが分かったのは先週で、返礼品を受け取った寄附者からの「送られてきた水炊きセットは、賞味期限が切れているのではないか」という問い合わせメールが発端だという。

 市の確認に対し、あらい側は当初「商品シールの破損では」などと話していたというが、社内調査を進める過程で実際に賞味期限切れの商品があったことが判明。36個の水炊きセットに賞味期限切れの疑いがあることが分かり、このうち32個についてのみ、発送を受けた寄附者と連絡がとれた状況だとしている。この間、市は自ら調査に動かず、全ての対応は業者任せ。ふるさと納税の事業者としては、無責任と言うしかない。

 一番の問題は、業者や市が、賞味期限切れの返礼品を送ったという事実を公表せず、交換で済まそうとしたことだ。返礼品が生の食肉であったことを考えれば、傷んだ商品を食べた場合、食中毒などを引き起こす可能性が出てくる。賞味期限切れの品を送ったことが分かった時点で、その事実を公表し、「食べないように」と警告を発するのが自治体と業者に課せられた義務だろう。しかし、ふるさと納税の主体である古賀市も水炊きセットを発送した業者もダンマリを決め込み、こっそり“交換”で事を済ませようとしていた。事実上の隠蔽である。

 古賀市に1万円の寄附をし、問題の水炊きセットを受け取ったという寄附者に取材することができた。寄附者のところには、株式会社あらいから電話連絡があり、「返礼品として送った水炊きセットの中に、賞味期限切れのものが含まれていた。1件1件確認している」という趣旨の連絡があったという。下の写真が、取材に応じた寄附者に送られてきたという水炊きセットである。 
 返礼品4.jpg

 このセットに賞味期限切れの部材は含まれていなかったが、寄附者が呆れたのは業者と古賀市の対応。水炊きセットを発送した“あらい”は、どこにどのような商品を送ったのか把握できていない状況で、誠意のかけらも見えなかったという。古賀市に至ってはまったくの他人事。業者の対応の酷さを訴える寄附者に、「商品を交換するよう命じていたんですが…‥」程度の反応しか示さず、謝罪の言葉さえなかった。

 寄附者の話――「この会社の水炊きセットの部材に記載されている賞味期限は、本当なのか疑わしい。私はまだ食べていなかったが、すでに食べ終えた人もいたはず。すると、実際の“被害”の実態は分からないんじゃないか。業者側にデータがないんだから、分かるはずがない。古賀市もいい加減。こっちから連絡しても、謝罪さえない。業者が悪いと言わんばかり。『事業者は古賀市だろう』と言いたい。なぜ公表しないのか聞いたが、これに対しても沈黙。業者も市役所もデタラメ。こんな自治体には、二度と寄附などしたくない」 

 公表を怠っていた理由や正式な公表時期について、古賀市商工政策課は「調査中のため、答えられない」。市長への報告について確認したが「詳しい状況が分かっていないので、報告していない」と話している。



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