官房機密費と並ぶブラックボックスといわれる自民党の「政策活動費」が、安倍政権下で年々拡大し、平成29年には自民党が野党に転落していた平成22年の約7億8,000万円から19億円を超える規模にまで達していたことが、同党が総務省に提出した政治資金収支報告書から分かった。
領収書1枚提出するだけで使途報告の義務さえない巨額な闇資金が、関係先にばらまかれた形。政党支部や政治団体の収支報告書を精査しても、受取り側の記録は確認できない。
■闇資金19億、7割超が二階幹事長に
官房機密費ばかりが問題視されてきたが、自民党の「政策活動費」も性質は同じ。支出先に政治家の名前が出てくるだけで、詳しい使途は何も分からないブラックボックスだ。下に、自民党本部が支出した政策活動費の推移をまとめた。
自民党の政策活動費は第2次安倍政権の発足以来増大の一途で、同党が野党に転落していた平成22年の約7億8,000万円と比較すると、29年は約2.5倍の19億1,730万円が支出されていた。この年の自民党の支出総額は257億8,536万5,367円。じつに支出額全体の7.4%が、闇ガネとしてばら撒かれたことになる。
政策活動費を受け取った自民党の国会議員は衆参合わせて19名。総額の72%が幹事長に集中しており、二階俊博氏個人に13億8,290万円が支出されている。
昨年は、9月28日の臨時国会冒頭に衆議員を解散。10月10日公示、22日投開票という日程で衆院選が行われたが、二階氏への政策活動費支出は、9月27日から急増。二階氏への支出の約4割にあたる5億3,800万円が、総選挙終了までのわずか24日間の間に費消されていた。この時期に幹事長が受け取った政策活動費は、選挙対策用だったと見られる。
■脱税の温床
使途の報告義務がないため、政策活動費が、どう使われたかは不明。投げ渡しのカネを、所属議員に配ったのか、民間の協力者に渡したのか、あるいは領収書を書いた政治家が懐に入れたのかまるで分らない。ただ、政策活動費は“政治活動”に供されたということで無税。党本部から政策活動費を受け取った政治家本人も、政治家から資金をもらった側も、このカネについて申告することはない。完全な闇資金であり、官房機密費ともども「脱税」につながっている可能性は高い。
「政治にはカネがかかる」というのが永田町の常識。しかし、何に使ったのか分からないカネが、年間19億円以上も存在するというのは国民からすると大変な非常識だ。すべての収入・支出を報告するよう求めている政治資金規正法の趣旨にも反している。国民に負担増を求めながら、自分たちが貰う無税のカネは増やし続けるという理不尽。この国の政治を、安倍自民党が歪めているは確かだろう。