政治とカネの問題を巡って疑惑まみれとなった片山さつき地方創生担当相。著作の宣伝看板にプリントされた大臣の名前と顔はあまりに巨大で、公選法違反に問われかねないケースだった。
看板設置業者に責任を押し付けて逃げを打った片山大臣だが、確信犯的に規定を超える“政治活動用”の看板を掲げるふざけた議員は少なくない。
ある意味、片山氏以上にタチの悪い2人の自民党議員の事務所を取材した。
■宮内、大家両議院の事務所に巨大な違法看板
下の写真は、福岡4区選出の衆議院議員・宮内秀樹氏(当選3回・二階派)の事務所。同氏の顔写真と名前が、大きくプリントされている。公職選挙法は、政治活動のために使用される政治家個人や後援団体の看板等について、『縦150センチメートル、横40センチメートルを超えないもの』と規定しており、写真の看板は明らかに違法。さらに同法が表示するよう定めている選挙管理委員会発行の証票も貼られていない。
事務所の横、幹線道路を行き交う人や車から見える位置にも宮内氏の看板(下の写真)。こちらも規定をはるかに超える巨大なものだ。何らかの理由で宮内氏の顔の上にポスターが貼られているが、違法であることに変わりはない。下に横長の看板があるが、これも含めて証票はない。
ちなみに、下がつい先日までの宮内氏の看板。ポスターが貼られる前は、こうなっていた。
次が、北九市にある大家敏志参議院議員(当選2回・麻生派)の事務所。まず、道路沿いに立つ看板を身長170㎝の記者と比べれば一目瞭然。規定の何倍もの大きさの看板である上、証票もない。その下、事務所の入り口に掲げられた看板も、規格と証票の2点で違法となる。
■問われる政治家の資格
問題となった片山さつき氏の看板は、彼女の著書の宣伝という形式をとったもの。政治活動用ではないため、大きさの規定に引っかからない。ただし、政治家の氏名や政治家の氏名が類推できるような事項(顔写真など)を表示できる文書・図画は政治活動用の看板などに限定されており、売名目的とみられる著書の看板は違法性が高いものだった。
政治活動用の看板については、小選挙区の衆議院議員なら25枚(公職の候補者用10枚、後援団体用15枚)、選挙区の参議院議員なら30枚(公職の候補者用12枚、後援団体用18枚)が限度。前述した選管発行の証票が、法定看板の証となる。証票のない宮内衆院議員と大家参院議員の看板は、選挙区内で掲示可能な文書・図画の数を超えたものである可能性が高い。
片山氏は、“著作の看板”という公選法の抜け道を使って売名を行った。一方、宮内氏と大家氏は、確信犯的に法を無視して売名看板を掲げている。タチの悪いのは後者の二人だが、いずれも政治家としては最低と言わざるをえない。
言うまでもなく、国会は「立法府」。法律=ルールを作る場だ。そこで活動する国会議員が、法律違反を犯して平然としているというのだから呆れるしかない。しかも、政治活動用看板についての公選法上の規定は、政治活動をする者にとっての「イロハのイ」。「知らなかった」で済む話ではあるまい。
福岡県選挙管理委員会に確認したところ、看板の規定違反には罰則があり、違法と認められた場合は「2点年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」になると話している。