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宮内衆院議員の自民支部 宗像市議会議長らに5万円
事実上の「買収」?説明できない自民系会派

2014年1月31日 08:30

 総選挙が実施された平成24年の10月、宮内秀樹衆院議員(当選1回)が代表を務める「自由民主党福岡県第四選挙区支部」が、宗像市議会議員と市議候補ら同一会派の6名に、現金50,000円づつを配っていたことが明らかとなった。
 支部側が福岡県選挙管理委員会に提出した治資金収支報告書には、個々人への寄附として記載されており、支出を証明する領収書もそろっている。しかし、寄附を受けた側の議員らは、「個人」で受領しておきながら、それぞれが設立した政治団体の政治資金収支報告書で収入として計上。県選管に提出していた。
 整合性を欠いており、どちらの報告内容が正しいのか分からない状況。取材に応じた当事者の市議らでさえ、返答に詰まる事態となっている。
 政治資金規正法や公職選挙法に抵触する可能性があるほか、宮内陣営による会派ぐるみの「買収」も疑われる。

政治資金規正法上の問題点
 第四選挙区支部が福岡県選挙管理委員会に提出した平成24年の政治資金収支報告書によれば、同年10月1日、当月執行の宗像市議選に立候補した現職市議5名と新人候補に、それぞれ50,000円づつが配られていた。受け取った側は、すべて市議会の自民系会派「宗像志政クラブ」所属である。市議選の結果、現職5名のうち1人は落選、新人候補は当選していた。50,000円を受け取った市議の中には、現在の宗像市議会議長である吉田益美氏(当選4回)と、副議長の小島輝枝氏(当選3回)が含まれている。

問題の寄附

 報告書の記載には裏付けがある。自民支部から現金を受け取った市議らは、“個人名”で支部あてに領収書を書いていた。下は、このうち吉田議長、小島副議長の書いた領収書の写し。個人での現金受け取りを示すもので、HUNTERの取材に、二人とも「個人として書いた」。他の議員も、個人として受け取り、領収書を書いたことを認めている。

領収書・吉田議長 領収書・小島副議長

 一方、現金を受け取った議員らは、政治団体として県選管に届け出たそれぞれの「後援会」でこの50,000円をもらったとして、平成24年の政治資金収支報告書に記載していた。下は、吉田議長の「吉田ますみ後援会」(すでに解散)の収支報告書の表紙と該当ページである。

収支報告書 収支報告書の該当ページ

 その他の市議も同様に、「後援会」で寄附を受けたとして収支報告書に記載、県選管に提出している。個人としてもらったカネか、政治団体がもらった寄附か分からず、公式な書類上は整合性がない状態だ。

議長の支離滅裂 
 吉田議長と小島副議長に確認を求めたが、このうち吉田議長と記者とのやりとりは次のようなものとなった。

 ― 平成24年10月1日に、自民党の福岡県第四選挙区支部から50,000円を受け取られている。記憶にあるか?
 議長:ちゃんと出してますが。

 ― 個人として受け取ったものか?
 議長:後援会の“あれ”、出してますけど。

 ― “あれ”とは、政治資金収支報告書のことで、後援会で受け受け取ったということか?
 議長:よく覚えていないが、毎年出す書類には記載しておりますが。

 ― 領収書は個人で切られているが?
 議長:私は、よく覚えておらんとですよ。

 ― 領収書は、個人のものになっている。第四選挙区支部の収支報告書にも、個人に寄附したと記載されている。しかし、議長の後援会の収支報告書には、この50,000円を受け入れたことになっている。一体どちらが本当なのか?
 議長:皆さんと同じように書いている。皆さんはどのようにしてます?私、なんも考えんで(領収書を)書いたから。

 ― いや、個人として受けたのか、政治団体で受けたのか、判然としないから聞いている。これは、議長ご自身のことだ。
 議長:私は、今、どう返事したらいいか分からんとですが。

 ― 分からない?
 議長:ただ、一応、全部領収書くれということで、出してます。

 ― 個人としてお書きになってる?
 議長:ええ、私の名前で出したと思います。

 ― 領収書の署名は、議長の字ですか?
 議長:私でないと書きませんよ

 ― そうでしょうね。
 議長:私は、確実に自分で書いてます。人に書かすことはありません。自分の署名は自署です。

 ― そうすると、やはり個人で受け取られということか?
議長:そうそう、個人で。個人で書いた。

 ― しかし、議長が出された後援会の政治資金収支報告書には、後援会で受け取ったことになっている。
議長:そうですか、全然記憶が、あの、感覚がないのですよ。

 ― 個人で受け取ったということで間違いないか。
 議長:はい、自署しました。

 ― 個人で受け取っておきながら、後援会で受け取ったとする収支報告書の記述は、虚偽ということではないのか?
 議長:そういう感覚はない。

 ― 衆院選間近の時期だが、これは買収資金ではないのか?
 議長:いやいや。前は10万円だった。それが減額になった。どうしてか分からないが、だいたい、いつももらっていたから。

 ― 毎年か?
 議長:いや、毎年じゃないけど、なんでそうなったか分からないが・・・・。

 ― 確認するが、個人でもらった50,000円ということで間違いないか?
議長:間違いない。個人で。

 副議長とも同様の問答をしたが、こちらも「個人で領収書を書いた」としながら、政治団体「小島てるえ後援会」の収支報告書の記載と矛盾することを告げたとたん、口が重くなってしまった。しかし、6名の市議、元市議が、個人の資格で宮内衆院議員の自民支部から50,000円を受け取ったのは事実。この場合、各々の政治団体が県選管に提出した政治資金収支報告書の記載は、虚偽だったことになる。

公職選挙法上の問題点
 ところが、取材を進めるうち、別の疑問が生じてしまった。
 取材に応じた別の市議は、領収書が自書したものであることを認めた上で、所属する宗像志政クラブの全員が50,000円をもらったと明言。新人が含まれていたことを指摘したところ、宗像市議選(10月21日投・開票)にあたり、自民支部の推薦をもらった人間が50,000円をもらうことになっていたと説明したのだ。「推薦料」ということになる。これが事実なら、問題の50,000円は選挙に関する候補者への寄附。もらった側は、公選法の規定に従い、各々の「選挙運動費用収支報告書」に収入として計上すべきものだったことになる。
 
 宗像市役所で、宗像市議選における6名の選挙運動費用収支報告書を確認したが、いずれの候補者の報告書にも、自民支部からの寄附は記載されていない。公選法違反が疑われる状況だ。

そろって「脱税」?
 取材した市議らは、一様に問題の50,000円を個人でもらったと主張している。すると、選挙に関する寄附でもなければ、後援会の収入でもないということになる。つまり個人所得。しかし、議長、副議長を含め取材した市議らは皆、申告していないというのである。
 
 「脱税」ではないのか―すべての取材相手にぶつけてみたが、否定の言葉は返ってこなかった。いずれの市議も、黙り込むだけ。これでまともな政治活動ができるとは思えない。宗像市民には気の毒だが、“この程度の議員”。政治家のイロハのイである政治資金処理についての知識がないのだ。もちろん、市議失格である。

会派ぐるみの買収?
宮内事務所 自民支部が50,000円の寄附を行った10月はじめといえば、民主党野野田政権が、支持率の上でも国会運営の上でも行き詰まりを見せていた時期。衆院解散が視野に入る状況だった。支部長の宮内氏が、自民公認候補として立候補することを前提で、政治活動を行なっていたことは歴然としており、50,000円の寄附が公然の「買収」だったと見られてもおかしくない格好だ。

 取材に応えたある市議は、会派で話し合って今後の方針を回答するとしていたが、その後、何の連絡もない。議長、副議長という重責を担う政治家が、自身の政治資金処理のやり方が分からないという体たらく。法律に抵触する事態である以上、有権者への説明が必要であろう。
 本稿上で、自民支部から50,000円をもらった市議たちに問いたい。これは「買収」ではないのか?



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