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小沢自由党代表との会談で注目される橋下前大阪市長の政界復帰時期

2018年11月26日 08:00

ozawa.jpg 今月月7日の夜、橋下徹前大阪市長と自由党の小沢一郎共同代表、国民民主党の前原誠司元外相の3人が都内で会食したことから、永田町では“橋下氏の政界復帰説”が話題となっている。
 大阪都構想を巡る住民投票で、反対が賛成を上回ったことを受け橋下氏が政治の世界から引退して約3年。自らが立ち上げた日本維新の会が低支持率にあえぐ中、24日には大阪での万博開催が決まった。大阪万博の言い出しっぺは橋下氏。安倍政権の終末が見え始めた現在、橋下―小沢会談にはどのような意味があるのか――。
(写真は、橋下氏のTwitterと小沢代表の公式サイトより)

■憶測呼ぶ小沢―橋下会談
 橋下氏は、2008年に大阪府知事に当選後、10年には地域政党「大阪維新の会」を立ち上げ、代表の座に就任。翌11年には大阪市長選に出馬して当選し、国政政党・日本維新の会の共同代表にも就いた。しかし、15年に大阪都構想の是非を問う住民投票で維新案は否決され、その年の12月に任期満了で政界から引退した。政界引退後、弁護士活動を続けるかたわらテレビ出演もこなし、精力的に講演活動を行ってきた橋下氏に対し、ジリ貧が続く日本維新の会の議員などから政界復帰を望む声は未だに多い。

政権奪取論.jpg しかし、橋下氏が今年9月に朝日新聞出版から上梓した『政権奪取論 強い野党の作り方』という新書では、「維新はベンチャー政党。創業とスタートアップには成功したけれど、国政政党としてさらに成長し、自民党と張り合える党になったかというと、失敗と言わざるを得ない」とバッザリ。「維新を完全に見限ったということだろう」(維新関係者)と、嘆息の声が聞こえてくる。そんなタイミングで、3人が会食したというのだから、何かあるのではないかと、永田町ではさまざまな憶測が飛び交っているのだ。

 橋下氏と繋がりの深い維新関係者はこう解説する。
「安倍晋三首相が自民党総裁選で3選を果たしたものの、今後はレームダックしていく。自民党はポスト安倍を探しきれず、野党は未だにまとまりがなく政権交代は望めない。つまり、日本政治はますます混迷を深める。その危機感から、将来的に国政進出をめざすため、本を出版し、今回の会談へと漕ぎ着けたのです」

 しかし、国政進出と本の出版が、どんな因果関係があるのか。それを読み解くのは、“出版元”だと前出の維新関係者は指摘する。
「大阪府知事に就任以降、橋下氏は事あるごとに朝日新聞と対立していた。しかし、今回の新書はその朝日新聞の子会社からです。これまでの因縁を氷解させるための“手打ちの儀式”と見ていいでしょう」

 橋下氏がツイッターで自身の考えを発信しているのは、よく知られている。その他には、プレジデントオンラインで有料の公式メールマガジンを月4回発行している。このような縁を考えれば、プレジデント社から書籍を発行するのが定石だ。しかし、過去の因縁を抱えたままで国政進出を目論めば、どこで足元をすくわれるか分からない。朝日新聞出版から出版したワケはそこにあるというのである。

 では、国政進出はいつになるのか。来夏の参院選なのか、それとも噂されている衆参ダブル選での衆院選出馬か。また、どの政党から立候補するのか。
「参院選単独でも衆参ダブル選でも、来年の出馬はありません」――前出の維新関係者は断言する。その訳は、「野党の枠組みを変えないと戦えないから」なのだという。

■「地方分権」で野党再編?
 今なお支持率が0%台の国民民主党は野党共闘を訴え続けている。玉木雄一郎代表が「野党がまとまることが大事。統一名簿も一つの方策だ」とラブコールを送るものの、野党第一党の立憲民主党は、慎重な姿勢を崩していない。比例の統一名簿作成には否定的だ。立憲の枝野幸男代表は「180度違う政策の候補を同じ名簿に載せたら、有権者は投票しない」と発言。立憲の幹部も「逆に票が減る」と冷ややかだ。

 根っこにあるのは、昨年の総選挙における希望の党設立時の遺恨。小池百合子都知事が立ち上げた希望の党は、結党直後こそ閉塞感漂う永田町を変える勢いを見せたものの、会見で小池氏が民進党(当時)からの合流組の一部を「排除する」と答えたことで事態は一変。期待は嫌悪へと変わり、“排除組”の枝野氏らが立ち上げた立憲の大躍進につながった。希望で当選した議員と参院民進党が合流し国民民主党が結党されたが、離党者が相次ぎ、衆参ともに野党第1党は立憲となっている。

 こうも野党がバラバラでは、自民党に対抗できるはずもない。誰しもが分かっていながら、いざ選挙となれば我が身が大切とばかり、有利な政党でバッヂを確保したいというのがホンネ。橋下氏からすれば、そんなつまらないゲームに参加したくないということだろう。

 前出の維新関係者はこう読み解く。
「19年の参院選は結局、候補者調整で落ち着くと見ています。自民党はある程度議席を減らすものの、大敗とまではいかないでしょう。その後、消費税増税で社会の閉塞感がさらに増し、政治への不満が強まるでしょう。それで、野党はどうするのか。立憲と国民がもっと明確に色分けしていくのか、維新も含めた野党の再編となるのか。いずれにせよ、野党の土台を作り変えてからが橋下氏の出番となるはずで、キーワードは『地方分権』です」

 24日、大阪万博誘致が決定し、朝の情報番組に出演した橋下氏は満面の笑みを浮かべ、改めて大阪都の必要性を訴えた。府知事時代から地方分権は橋下氏のテーマであり、自民党と対峙するためには不可欠の「旗印」なのだ。そして、一つの旗印の下での野党再編――。そこで本領を発揮するのが、小沢氏だ。小沢氏は立憲の枝野代表、国民の玉木代表とも定期的に会合を持ち、共産党の志位和夫委員長とも緊密に連絡を取り合える間柄。政権交代構想実現の要となる人物と橋下氏の会談は、極めて重い意味を持つ。

 その小沢氏は13日の会見で、橋下氏について「国民の心を捉えアピールする力を持っている人物だ」と評価した。しかし、7日の会食については「生臭い話は何もしていない」と語るにとどめている。かねてから橋下氏の発信力と行動力を高く買っていた小沢氏と橋下氏が会って、「生臭い話」が出ないわけがない。今回の会談を機に、どのような“次の一手”を打ってくるのか。この2人から目が離せなくなってきた。



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