政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
政治

民進党 党勢回復の秘策
くすぶる小沢待望論

2017年4月27日 07:50

12115828_173014296423145_7522307048002050855_n.png 復興相を務めていた今村雅弘衆院議員が、東日本大震災の被害について「まだ東北でよかった」と発言し、26日に辞任した。論評の必要がない暴言だが、安倍政権では今年に入って閣僚など政府高官による問題発言、不祥事が相次いでいる。政権を揺るがす事態。ガタガタと支持率が落ちる展開だが、安倍内閣は依然として5割を超える支持率を維持しており、一強は揺るぎそうもない。
 民意無視の全体主義政権を前に、立ちすくむ格好の野党。とりわけ、民進党の体たらくには国民の大半が愛想を尽かしており、政党支持率は一ケタに止まっている。民進党に党勢回復への秘策はあるのか?

■代わりがいない
 安倍内閣が高支持率を維持している理由は、一つしかない。自民党の他に、頼りがいのある政党がないからだ。報道各社の世論調査結果を見ても明らか。例えば、共同通信の調査で安倍内閣を支持すると答えた人のうち、「ほかに適当な人がいない」という理由を挙げる人は、常に4割近くに上っている。
 朝日の調査結果も同じ傾向で、「他よりよさそう」が5割を占めている。“代わりがいない”というのが、一強の正体なのだ。たしかに、小泉純一郎元首相の時のような熱狂的な支持は、安倍さんにはない。国内で安倍支持を鮮明にしているのは、読売新聞と産経新聞、あとは極右に近い論客ばかりだ。

■民進党の末期症状
 “代わりがいない”というのは、自民党内を含め、政権を任せられる人材がいないということだ。一番の問題は、野党第一党である民進党が、安倍政治に不満や不安を抱く国民の受け皿になり得ていないことだろう。
 蓮舫氏を代表に据えて、党勢回復を狙った同党だったが、肝心の蓮舫氏が二重国籍問題でスタートから失速。きつい物言いがマイナスに作用しているようで、蓮舫人気の下落とともに、民進党の支持率も下がり気味になっている。おそらく、現体制のままでは一ケタ支持率から抜け出すことなど不可能だ。

 民進党の顔ぶれをながめてみても、首相に相応しいと感じる議員は皆無。蓮舫氏はもちろんだが、代表予備軍と言われる前原誠司、細野豪志両人は線が細く、安倍氏に太刀打ちできそうもない。支持率低迷に拍車をかけているのが、離党ドミノ。今夏の都議選に向けて公認をもらっていた都議、都議候補たちが次々に離党しており、ついには衆院比例東京の長島昭久元防衛副大臣まで党を飛び出す始末。泥船から逃げ出すネズミは、まだ増えそうな勢いだ。

 悪いことは重なるもので、今月13日には憲法改正を巡る蓮舫執行部の姿勢に不満があるとして、細野豪志衆院議員が党の代表代行を辞任。すわ離党かと党内がざわめく状況となったが、周辺議員の説得で、党内に留まる形となっている。どうしても憲法改正がやりたいのか、単に蓮舫氏が嫌いなのか――。理解不能な細野氏の行動に驚いた議員が多く、“細野の乱”は党内外で彼の評価を下げただけに終わった。民進党は、末期状態にある。

■払拭されない不信感
 人材がいないことも痛いが、民進党が伸びない最大の理由は、旧民主党時代の残影を引きづっていることだろう。消費増税も原発再稼働も、実は旧民主党がレールを敷いたもの。その頃に犯した失敗の総括がないまま、党名だけ変えたところに同党の甘さがある。しかも、旧民主を崩壊に導いた野田佳彦氏が幹事長……。「増税も原発も間違いでした」――そうした反省がない政党に、貴重な1票を入れるバカはいない。

 国民の半数以上は、増税にも原発再稼働にも反対。思い切った政策転換こそが同党再生の切り札なのに、増税は堅持、原発は電力労組に遠慮してモノが言えないというのだから救いようがない。蓮舫氏に至っては、普天間飛行場の辺野古移設方針を堅持すると公言しており、これでは安倍政権と同じ民意無視。増税、原発、辺野古――主要政策で敵と同じことを言うお子様政党に、期待しろという方が無理な話なのだ。民進党がいっとき熱心に訴えていた、安全法保障法制を廃案にするという主張も影を潜めており、存在意義を見出せない状況だ。

■党内にくすぶる小沢待望論
 どんづまりの民進党だが、活路を開く方法がないわけでもない。じつは、同党の中には小沢一郎自由党代表を民進党に迎え入れようという動きがあり、賛同する議員は少なくないという。かつて剛腕で鳴らした小沢氏だが、旧民主を飛び出したあとは、主役の座から遠のいたまま。生活の党→自由党と苦労を重ねてきたが、ここに来て俄然小沢氏の存在感が増しているのだ。かつて反小沢の急先鋒だった野田佳彦幹事長も、小沢氏と会談を重ねるなど雪解けムード。前原氏も小沢氏と度々会っていることが報じられており、剛腕招へいへの下地はできつつある。

 たしかに、小沢氏には“何か仕掛けるのではないか”という期待感を持たせるだけの実績と、オーラがある。保守層に、一定の支持者がいるのも確かだ。「安倍と互角に渡り合えるのは小沢氏ただ一人」そう断言する民進党関係者もいる。小沢幹事長もしくは小沢代表なら、蓮舫氏以上に期待が持てるし、面白い。連合とケンカもできる。実現すれば、何かが起こる可能性はある。小沢氏復活=期待の持てる秘策である。



【関連記事】
ワンショット
 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入...
過去のワンショットはこちら▼
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲