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嘘と詭弁の三反園県政 「薩摩隼人」の矜持はいずこ

2018年11月 1日 07:40

知事.png フランスに出張した三反園訓鹿児島県知事(右の写真)の一方的な「指示」で公務日程が変更され、日程調整に協力した県内企業との関係が悪化する事態となっていた問題をめぐり、事実関係を隠蔽しようとする県側の姿勢が露わとなった。
 日程変更が「知事の指示ではなかった」とする県に経緯の説明を求めたHUNTERの記者に対し、文書での回答を頑なに拒んだ県の担当課が、実は他の報道機関の記者に日程変更の経緯を記した「文書」を出していたことが判明。抗議したHUNTERの記者に、嘘と詭弁で対応せざるを得ない状況となっている。

■職員「復命書」に記されていたトラブルの詳細
 トラブルは、今年1月に『県産品セールス及び視察・表敬訪問』の目的で行われたフランス出張の際に起きていた。その顛末が記載されていたのは、同国のコンカルノーを訪問した1月17日の出来事について記した県職員の復命書だ。

 コンカルノーでのスケジュールについて、前日に知事から、パリ市内へ早い時間に戻れるよう変更の指示があり、現地担当者(枕崎フランス鰹節)と調整をしたが、調整はうまくいかず、ゴタゴタした中での、コンカルノー入りとなった。結果的には、昼食懇談会、鰹節工場視察は無事に実施。予定していた漁業博物館視察、鰹節取扱スーパーの視察は中止となった。
 コンカルノーでの行程については、(株)枕崎フランス鰹節の担当者に段取りをお願いし進めていたが、訪問直前の知事からのスケジュール変更指示により、調整に苦慮した。その結果、(株)枕崎フランス鰹節との関係が拗れて、鰹節流通に関わるFOODEXも含め、翌日のパリでの鰹節トップセールスの中止、知事主催レセプションの不参加となった。

 日程変更にともない、視察の大きな目的が果たされなかったのはもちろん、スケジュール調整をふいにしたことで『関係が拗れ』(復命書の記述より)た漁業関係者が、知事主催のレセプションに不参加となるなど深刻な状況になったことが記されていた。

 行政側の自画自賛が書き綴られるのが普通の復命書にしては、異例の記述ばかり。知事の身勝手に対する職員の抗議ともとれる内容だが、事実確認を求めたHUNTERの取材に対し県側は文書による回答を拒否。整合性のない下のような言い訳で、知事をかばう姿勢を見せていた。

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■嘘と詭弁で墓穴
 文書による回答を頑なに拒む県側の姿勢に疑問を感じていたところ、所管課のかごしまPR課が、新聞社の記者に一連の経緯を記した「文書」を渡していたことが判明する。以下、異なる対応に抗議したHUNTERの記者と、県職員のやりとりである。

 記者:復命書に記された事態に陥った理由を文書で下さいと頼んだが、それは出来ないとおっしゃった。間違いないか?
 職員:あー、はいはいはい。

 記者:そこで、文書は出さない。口頭で説明するからメモしてくれとのことだったので、やむなくメモしました。
 職員:でしたね。

 記者:なんで他の報道機関には文書で出されてたのか?
 職員:えーっと。報道機関に出したっていう何か(証拠が)あるんですか?私は知りません。

 記者:ありますよ。
 職員:えーっと。私の方から特に報道機関に対して出したっていうものはないんですけど……。

 記者:新聞社には出して、うちには出していない。どういうことか、と聞いている。
 職員:えぇと……。

 記者:なんでその文書がうちには出てこないのか?
 職員:えぇと、新聞社に対して出したってものはないんですけど。

 記者:知事の体調が悪くなったとか――。
 職員:はい。いえ。

 記者:答えろ、ということですよ。
 職員:それは、あのー、あくまでも説明用にメモとしてまとめたものだったんじゃないかなと思うんですけど。

 記者:だったんじゃないかな、じゃなくて、どこが出した文書か?
 職員:私が読み上げたものですね。新聞社に対して出した書類っていうものはございませんので。

 記者:新聞社の記者に出してるじゃないか!
 職員:いえ、新聞に対しては出しておりません。

 記者:では、だれに出したものか?
 職員:それは申し上げられません。

 記者:さっき、私は知らないと言ったはずだ。知ってるじゃないか!
 職員:申し上げられませんと……。

 記者:いやいや、さっきは知らないとおっしゃった。
 職員:それはマスコミとおっしゃったので……。

 記者:マスコミなんて言っていない。報道機関と言った。
 職員:あぁ、報道機関に対してとおっしゃられましたので、それは知りませんといいました。

 記者:お役人さんの逃げ口上にしても、お粗末すぎないか。記者に出したんだろう。
 職員:えぇ、そこらへんはちょっと申し上げることが出来ないんですけど。

 記者:出してるのは間違いない?
 職員:いえ、それも申し上げることはできない。

 記者:なんでうちに出せなかったのか?
 職員:えと、そのぉ、そちらがどういうものを持っているかは私たちの方で存じ上げておりません。

 記者:そんなことは聞いていない。なぜ他の記者に文書で説明をされたのに、ウチには口頭と言い張ったのかを聞いている。
 職員:ええ……。

 記者:これは正式な抗議。県としてのコメントをもらいたい。
 職員:えぇと、それは特に申し上げることはございません。

 記者:あなた、大丈夫か?あなたの意見ではなく、県としてのコメント!
 職員:いや、それはー、なかなかそう仰られてもですね。まぁ、報道機関に対して出したというものではございませんので。

 記者:報道機関でも記者個人でも同じこと。他には出してウチには出さない理由を聞いている。
 職員:いや、それはあくまでもメモとしてお渡ししたものなんじゃないかなと思うんですけど……。

 記者:メモは手書きか?
 職員:いえ、わたくしもそこまでは……。

 記者:本当?知らない?あなた知ってたじゃないか、出したってことを――。
 職員:いや、あなたがそうおっしゃったので……。申し上げられません。

 記者:語るに落ちるという日本語を知っているか?これは県としての対応か、それともあなた個人でやってるのか?」
 職員:いまは、私の立場でお話してます。

 記者:だから県としてコメントを下さい。
 職員:それは申し上げられませんといってるじゃないですか。

 記者:呆れた。上司と変わったほうが良くないか?
 職員:いや、上司はいまはもう。これは私が担当しておりますので……。

 記者:きちっとあなたの課として対応すべきだ。あなたの判断を聞いているんじゃない。
 職員:まぁ、おんなじだと思いますけど。

 記者:あなたたち、説明責任という言葉分かっているか?
 職員:それは、もう……。

 記者:やってることがめちゃくちゃ。課としてのコメント、口頭で構わない。
 職員:ええ、あー。

 最初は、報道機関に出した文書について「知らない」。追及されて文書の存在を知っていることがバレると「報道機関(新聞)には出していない」。さらに立場が悪くなると「申し上げられません」――。「知らない」と言ったのは明らかな嘘であり、「報道機関には出していない」は、“記者”と“報道機関”という言葉の違いを利用した詭弁に過ぎない。都合が悪くなるとダンマリで逃げるお粗末な対応には、哀れを感じる。

 県側から文書を受け取ったのは“個人”だったはずだが、その人物が記者なら“報道機関の人間”であることは確か。記者は職務の一環として動いているのだから、記者に対する文書の発出は、報道機関への発出と同義だろう。県側は、その記者から取材(あるいは取材目的の情報公開請求)を受けたからこそ、文書を出したはずだ。相手が個人であろうと会社であろうと、県が文書を発出したのが事実である以上、HUNTERへの対応と違う形であったことは否定できない。

 なぜ文書の存在について認めようとしないのか?その疑問について、現役の県職員はこう解説する。
「口頭での説明について報道されても、ごまかしようがある。『そんなことは言っていない』、『趣旨が違う』――。なんでもありが役人だ。しかし、文書は確かな証拠として残る。世に出るとまずい。今回の件について言えば、知事の指示もしくは了解がなければ海外出張での日程変更などできるはずがないし、知事秘書の勝手な判断で日程変更の打診をすることなどあり得ないのに、『秘書がやった』『職員が知事の指示だと誤解した』などと、県職員なら誰でも気づく嘘を並べてしまった。知事の指示で日程変更がなされたとすれば、批判は知事に向く。嘘八百並べた証拠の文書など、出せるわけがない」

 鹿児島県関係者の話によれば、三反園氏の身勝手で公務日程がコロコロ変わることが常態化しており、振り回される県職員は大変なのだという。そこに浴びせられる暴君からの罵詈雑言――。「体調を崩した職員が複数」という話もある。県職員の9割近くは三反園氏に不信感をもっているともいわれており、知事の求心力は下がる一方だ。

 県政史上最低と評される知事と、知事を庇うため嘘をつき、詭弁を弄する県の役人――。そこに、明治維新の原動力となった薩摩隼人の面影はない。



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