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薩摩川内市教委、スクールバス事業の情報公開で隠蔽体質露呈

2018年10月31日 08:10

cbb8b3a9ab900a836c8796d29d6c95b51b1cbb15-thumb-230xauto-24502.jpg 鹿児島県薩摩川内市の教育委員会が、HUNTERの情報公開請求に対し、開示すべき文書を小出しにして何度も請求書提出を求めたり、一部の入札情報を非開示にするなどして隠蔽体質を露呈させた。
 市教委に情報開示を求めているのは、小中学校に通う児童・生徒らの送迎を行うスクールバス運営事業者の業者選定に関する文書。関連文書すべての開示を求めたにもかかわらず、一方的に開示文書を限定したり、スクールバスの運営事業者を選んだ際の入札結果のうち、落札できなかった業者の入札価格や入札予定価格などを黒塗り非開示にするなどして早期の情報開示を拒んでいる。一体、何を隠しているのか――。

■市教委が露骨な隠蔽
 HUNTERが薩摩川内市教育委員会に情報公開請求したのは、「市が運営するスクールバスの業者選定に関するすべての文書(過去5年度分の業者選定の経緯が分かる文書)」。市内で小中学校に通う児童・生徒らの送迎を行うスクールバスの事業者選定に疑問が寄せられたため、先月5日に開示請求していた。

 普通なら、指名業者選定理由や入札結果表、積算書、参考見積関連文書、契約書などが開示されるのに、同市の市教委が当初開示したのは黒塗りが目立つ入札結果などごく一部。契約書さえなかった。

 契約書の不存在を抗議したところ、市教委は再度の開示請求を要求。やむなく2度目の情報公開請求を行って契約書を入手したが、今度は入札実施日が分かる文書がないため確認を求めると、もう一度請求しろと言う。ふざけているとしか思えない。以下、抗議した際の記者と職員のやり取りの概要だ。

 記者:なぜすべての文書を開示せず、次々に請求をかけさせるのか?一度に開示すべきだ。
 職員:必要なら、もう一度請求してもらうしかない。

 記者:おたく、ふざけている。すべての文書を出してくれというのが請求の趣旨だ。
 職員:こちらとしては、最低限のものを開示した。

 記者:最低限とはどういうことか?そちらで文書を選別しているということか?
 職員:最低限のものを開示した。そんなことなら、何もかも全部出さなければならなくなる。

 記者:全部出すのが情報公開だ。役所が文書を選別するのは間違い。まともな情報公開とは言えない。何を隠しているのか?
 職員:人聞きの悪いことを言わないでもらいたい。

 記者:人聞きが悪い?何が悪いのか!
 職員:我々は、公正にやっている。人聞きの悪いことを言わないでもらいたい。

 記者:どこが公正なのか。全部出せと言っているのに出さない。何度も請求をかけさせ、隠すべきではないものを隠す。どこが公正か!
 職員:……。でしたら、出してないものを調べる。それから必要なものを請求してもらう。

 話にならない。請求したのは「市が運営するスクールバスの業者選定に関するすべての文書(過去5年度分の業者選定の経緯が分かる文書)」だ。何の相談もなく、一方的に部分的な文書を選んで送りつけてきて、不足が分かる度に「もう一度請求しろ」では、情報公開制度は成り立つまい。

 「関連すべて」と請求して、役所が運所開示したら、市民はそれが「すべて」と思うのが普通だろう。情報公開制度の恣意的運用は、制度本来の目的を否定するだけでなく、行政への信頼を失わせる愚かな行為なのである。薩摩川内市は、何のための情報公開制度なのかが分かっていないのではないか。さらに、隠蔽を疑ったら「人聞きが悪いことを言うな」――。このどこが公正なのか。

■開示を拒む「入札結果」
 隠蔽への疑念が膨らむ市教委の対応だが、そもそも、この行政機関はまともな情報公開を行っていない。市教委は、入札結果のうち落札できなかった業者の入札価格と入札予定価格、入札書比較価格などを非開示とし、落札業者の入札金額だけを開示しているからだ。(*下が黒塗りが目立つ入札結果表)

20181024_h01-01.JPG

 一部非開示の理由として挙げてきたのが、薩摩川内市情報公開条例にある《法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの》という規定。入札金額を公開すると、バス、タクシー事業者の利益を侵害するからだという。しかし、バスやタクシーの業者が算出する事業費が、大きく変わるとは思えない。そもそも、下の画面でも明らかな通り、同市は建築・土木工事の入札結果を公開しており、ネット上の検索も可能なのだ。市教委の事業者選定関連文書だけを一部非開示にするのは不適当と言うべきだろう。

入札結果1.png
入札結果2.png

 他の自治体について調べてみたが、鹿児島市などは全面公開。すべての入札結果をオープンにしている自治体が大半だった。薩摩川内市だけが、ダブルスタンダードになっている。市教委に抗議したが、同市の内規で建設・土木だけを例外として入札結果を全面公開しており、市教委の行う入札については、落札業者の入札金額だけを公開する形を変えるつもりはないという。

 こうした薩摩川内市教育員会の姿勢について、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は次のように話す。
「まず、関連文書すべての開示を求められていながら、情報を小出しにして請求を繰り返させるというのは、情報公開条例を恣意的に運用している証拠だ。条例の意味がない。次に、入札結果については、すべてを開示するのが一般的になっており、薩摩川内市のように、一部だけ公開するような役所は珍しいのではないか。入札参加業者の応札金額は、すべて開示しなければ適切な入札だったかどうかが検証できない。現状では、入札結果についての説明責任も果たせないだろう。市教委が、都合の悪いことを隠していると思われても仕方がない」

 結論から述べるが、薩摩川内市におけるスクールバスの事業者選定には、大きな疑問がある。隠したいものがあることも分かっている。関連文書を1枚残らず開示してもらうしかない。



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