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地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

2018年9月26日 08:10

ba5ffcc55c90ef8caa15a0e641083beda34eeecc-thumb-200xauto-24279.png 学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題を巡って、公文書の改ざん、廃棄、虚偽答弁などを繰り返してきた財務省。事務次官がセクハラで職を追われるなど、すっかり犯罪者集団と化した同省のトップは、数々の暴言・失言で物議を醸してきた麻生太郎副総理兼財務相である。
 昔の自民党政権なら確実に大臣の首が飛んでいたはずの乱れようだが、総裁3選を決めた安倍晋三首相は、麻生氏を留任させる見通しとなっている。
 首相の盟友として政権を支える実力者であることは確かだが、じつは麻生氏、大型選挙の候補者選定でつまずくなど地元福岡県での求心力を急速に失いつつある。

■見つからぬ知事候補
 小川洋福岡県知事は、一昨年に行われた衆院福岡6区の補選で、県連推薦候補の選対本部長を務めた麻生氏の応援要請を断った。小川県政の「生みの親」を自負してきた麻生氏の怒りは凄まじく、来年4月の県知事選に向けて新たな知事候補の擁立を図る構えだ。しかし、福博の財界が主体となった小川3選への流れは強まる一方。候補者は見つからず、麻生氏の思いは遂げられそうにない。

■参院選2人公認主張も……
 知事選の候補者探しに四苦八苦する麻生氏の持論は、改選議席3の参院福岡選挙区における2人目の公認候補擁立だ。すでに候補者擁立を決めている公明党は、この動きに神経をとがらせており、自民党県連内でも「2人擁立は無理」との見方が大勢となっている。たしかに、安倍人気が下降気味である現状では参院選での2人公認は危険な賭けでしかなく、麻生の主張が真剣に受け止められる気配さえない。県連内の麻生を見る目は、冷ややかだ。

■北九州市長選は不戦敗?
 来年1月に予定される北九州市長選も、麻生氏の思惑とは違う方向で進んでいく可能性が高い。4選を目指す現職の北橋健司市長には特段の失政が見当たらず、市民の根強い人気もある。なんとしても自派の市長を誕生させたい麻生氏は、北橋氏に対抗できる候補者を探していというが、これも難航。北橋氏の4選を阻むことはできそうにない。

■弟子の福岡市長は首相べったり
 唯一、麻生氏が影響力を保っているのが県都・福岡市。高島宗一郎市長の初当選以来、自他ともに認める「後ろ盾」として、高島氏に様々なアドバイスをしてきたといわれる。しかし、高島氏は1期目の途中から安倍晋三首相に急接近。国家戦力特区を利用した都市開発や起業支援策を次々と打ち出し、いまや「福岡市は安倍政権の実験場」と言われるまでになった。

 毎年正月には市長が安倍の地元である下関の神社に出向き、一緒に記念撮影に収まるのが恒例。昭恵夫人とも昵懇だという。2016年には、ハワイでオバマ大統領(当時)との会談に臨んだ安倍首相側から声がかかり、高島氏も私的にハワイに出向いている。高島氏が日本で一番首相に近い首長であることに、異論を挟む政界関係者はいない。現状、高島市長の後ろ盾はどう見ても安倍首相。福岡市長選まで2か月を切ったが、高島氏は出馬表明を行っておらず、10月の組閣で入閣する可能性を指摘する声もある。麻生氏の影は薄くなるばかりだ。

 麻生財務相の求心力低下について、ある自民党県連関係者は、こう話している。
「麻生さんが後ろ盾になったというだけで、票を減らすのは確実だ。森友疑惑では役人だけに責任を負わせ、辞任を否定。財務事務次官のセクハラ問題では、被害者を責めたて、世間の顰蹙を買った。暴言、失言は数知れず……。こんな人の口車に乗って、立候補する人などいないだろう。師弟関係にあると見られていた高島福岡市長も、現在は安倍さんべったりだ。麻生さんが出てこなくても、選挙には勝てる。もう(麻生は)78歳。総理までやった人が、これ以上晩節を汚すのはどうか」



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