政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
政治

国会審議9時間で参院議員6名増 安倍政権が形骸化させた議会制民主主義

2018年7月25日 08:25

gennpatu 1864410760.jpg 森友学園や加計学園に絡む疑惑は未解明のまま、閉じられた国会。国民の要求には何一つ答えず、自民党の出した法案が次々と強行採決された。
 かつて「決められない政治」が批判の対象となったが、安倍政権の下、「勝手に決めすぎる政治」がこの国の議会制民主主義を形骸化させている。


■軽視される「国民」
 首相や首相夫人が、友人・知人のために国政を捻じ曲げた疑いがあるモリ・カケ問題。与党が、疑惑の核心部分を握る安倍昭恵首相夫人と加計孝太郎理事長の証人喚問を拒否したため、消化不良のまま国会の閉会を迎えてしまった。不祥事が露見するたびに安倍首相が繰り返してきた「真摯」「丁寧」は、真っ赤なウソ。疑惑を残したまま、強引に幕引きされた格好だ。

 政権が最重要と位置付けた働き方改革法関連法を巡っては、基礎データの改ざんや隠蔽が発覚。安倍首相は、一般労働者より「裁量労働制」(企画業務型)の労働時間の方が短いという答弁内容の撤回に追い込まれた。政府はやむなく裁量労働制の拡大を断念したが、問題の多い「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)についての検討課題を残したままで強行採決。国民の命より財界の意向を優先させた。

 “一強”の傲慢さを露呈させたのが、西日本豪雨を前に行われた「赤坂自民亭」。気象庁が臨時の記者会見を開き、記録的な大雨となるおそれがあるとして厳重な警戒を呼びかけた数時間後、都内港区にある衆議院の赤坂議員宿舎で安倍晋三首相を囲む“宴会”が開かれ、集まった閣僚や自民党の国会議員たちが酒を酌み交わしながら、大はしゃぎしていた。政権の中枢に座る官房副長官の西村康稔氏が、ツイッターに投稿した写真とコメントが、この政権の姿勢を如実に物語っている。安倍首相にとって、国民の命や財産は鴻毛よりも軽いということだ。

7d80e27886f8198924b1ecb716ca8da977d5dfdc-thumb-550xauto-24955.png
0c70efa39d846b2ec17fd5c8f4d6814d6325a2ca-thumb-600xauto-24982.png
12bfafc5e4e6901b6bf3adccc8a5ec7980394930-thumb-600xauto-24985.png

 このバカ騒ぎの夜から続いた記録的な大雨が、西日本各地に甚大な被害をもたらしたにもかかわらず、政府・自民党は復旧をそっちのけに法案の審議を優先。カジノ法や改正公選法を衆・参両院で強行採決して、議会制民主主義を踏みにじった。しかも駆け込み採決ばかり。ぞれぞれの審議時間を見れば、形骸化した国会の姿が浮き彫りとなる。

カジノIR法案審議時間

 182日間の国会で、カジノ法は衆参合わせて39時間の審議。問題提起が遅れたマスコミが悪いのか、無関心の国民が悪いのか、賭博を成長戦略の柱に据えるというバカげた法律の中には、負けが込んだ客にカジノ運営業者がカネを貸すことを容認する内容が含まれていたというのだから驚きだ。時代劇に出てくる博打場の場面で、地回りのヤクザが客をすってんてんにするため「コマを回しましょうか」と誘う光景が、現代の日本に蘇る。海外では「衰退産業」に分類されるカジノだが、ギャンブル依存症を増やすことだけは確実だ。

■6増法の国会審議は9時間
 一番酷かったのが参議院の定数を増やす公職選挙法の改正。参議院議員1人あたりの有権者数が最大の埼玉選挙区で、定数を6(改選数3)から8(同4)に2増。比例代表は4増や(同2)し、合区対象県で擁立されない側の候補者を救済するために、拘束名簿式の「特定枠」を設けるという内容だった。自民党は、合区対象となる島根、鳥取、徳島、高知の各県に所属議員を抱えているため、選挙区で公認に漏れた候補者を比例の「特定枠」で救済する。時代に逆行するこの定数増の審議時間は、参議院が6時間、衆議院はなんと3時間。合計9時間という、まさに開いただけに等しい審議で打ち切りとなり、あっさり両院の本会議で可決されてしまった。

 豪雨被害にあった国民の暮らしより党利党略を優先する自民党――。一方野党は、モリ・カケ、日報と連続した不祥事を受けても政権を追い込むことさえできず、国民の6割以上が反対するカジノ法や6増法の成立を許した形となっている。一体、何のための国会か。議会制民主主義を否定した安倍政権への評価について、私たち国民はもっと真剣に考えなければならない。



【関連記事】
ワンショット
 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲