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安倍首相が捻じ曲げた森友学園問題の「本質」

2018年6月 1日 07:55

99f73756e2dec871eaf027d9af52bf5391616e40-thumb-550xauto-24627.png 今月30日に国会で行われた党首討論。およそ1年半ぶりの論戦だったが、野党4党の党首に与えられた時間は、合計してもたったの45分間。国会の形骸化を証明する政治ショーとなった。
 主役はやはり安倍晋三。毎度のこととはいえ、答えをはぐらかす長広舌をふるい、まともな議論に持ち込ませない。しかし、枝野幸男立憲民主党代表と安倍のやり取りは、注目に値するものだった。

◆森友問題の「本質」とは
 森友問題について「贈収賄にあたらなければ問題ない」という趣旨の発言をするようになった首相に、「卑怯だ」と迫った枝野氏。関係のない話を延々と述べて時間稼ぎに徹する首相に、こう切り返した。

 問題は、金品の流れ等があったか、なかったか――。それは、この問題の本質なのでしょうか?少なくとも、この間、問題になって、ようやく、ようやく平成27年1月10日の谷査恵子さん(昭恵夫人付だった職員)が関わっている財務省から公表されたメモのところにありますが、谷査恵子さんの発言として、『知り合いの方から社会福祉法人同様の恩恵を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせをさせていただいたもの』ということで、まあ、森友学園から優遇を受けられないかという打診を受けた昭恵夫人が、谷査恵子氏を通じてコミットしている、関係している。これは金品の授受がなければ問題ないのか。金品の授受があれば、それは贈収賄等の犯罪にあたります。

 しかし、閣議決定までして、総理の昭恵夫人は私人であります。その私人になぜか公務員の方がお付きで、付いていること自体が、そもそも一般的には問題でありますが、その公務員である谷査恵子さんを通じて、財務省に問い合わせをかけた。優遇を得られないかと照会があり問い合わせたわけですから、受けられるなら受けたいという働きかけに他ならないんではないでしょうか。総理の夫人である私人が、こうした形で公務員を使って便宜を受けて、そして、優遇を受けられないか打診をする。それは良いことだと思っていらっしゃるんですか。

 次が、これに対する首相の答弁だ。

 今、枝野委員が言われた森友学園の本質というのはそういうことなんでしょうか。この問題の本質というのはそうではなかったはずであります。まずなぜあの値段で籠池氏側に引き渡されたのか。国有地がですね、引き渡されたのか、ということ。あるいはなぜ小学校として認可されるのか、ということの本質でございます。
 結論から述べれば、この首相答弁は「本質」が理解できていない証拠だ。理解した上でのこの発言なら、極めて悪質な本質の“捻じ曲げ”と言えるだろう。

 森友学園問題で問われているのは、首相の妻である安倍昭恵夫人の関与の有無。普通ならあり得ない小学校の認可と国有地払い下げの裏に、昭恵夫人が関わったのかどうかが問題なのだ。それが「本質」。子供でもわかっている話だろう。

 総理夫人の関与が事実なら大変な問題だ。だからこそ、首相は国会で、こう明言している――「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」。本質がわかっているからこその発言だった。

◆“昭恵夫人の関与”示す谷氏と財務省のやり取り
 昭恵夫人の関与を示す証拠となるのが、夫人付の職員だった谷査恵子氏が、森友の件について財務省に問い合わせを行った時の記録である。財務省が国会に提出した4,000枚に及ぶ資料の中に、谷氏と財務省側のやり取りを記した文書が含まれていた。下が谷氏からの問い合わせ内容を記した文書。その次が、問い合わせを受けた財務省側と谷氏のやり取りの記録だ(*2枚を1枚に加工して掲載)。

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 谷氏が問い合わせを行ったのは平成27年11月10日。財務省は12日に谷氏に電話し、上掲の文書にあるやり取りとなっていた。

 問い合わせの発端となったのは、同年11月5日の森友学園側と近畿財務局との協議だ。“特別養護老人ホーム設置のため国有地を定期借地する場合、賃料が減免される”との新聞報道を見た森友の前理事長・籠池泰典被告が、小学校にもこれを適用すべきではないかと投げかけていた。

 官僚の谷氏にとって、不可能だと分かっている小学校に対する減免措置の件は、単なる“きっかけ”。その話はあっさり済ませている。本題は、森友が借りた国有地で確認された土壌汚染や地下埋設物を巡る「賃料」関連の問い合わせだったと見るべきで、“土壌汚染や地下埋設物に起因する貸付料の値引きは不可能なのか”、“撤去費用の支払い時期はいつになるのか”こそが核心の問いだった。いずれも、それまでの森友と近財の協議の中で、籠池夫妻が強く要求していた話。総理夫人付の職員である谷氏がその件で動いた以上、問い合わせは即ち「圧力」となる。それを証明するのが、下の記述。11月5日の森友学園側と近畿財務局との協議の後に作成された「応接記録」の最後に、森友側が言い立てた話の内容が列記されていた。

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 実際この協議の5日後に、『安倍総理夫人に国の賃料が高すぎると伝えている』という籠池被告側の言葉通り、昭恵夫人付の谷氏から問い合わせが来ることになる。財務省は、籠池被告側の“脅し”が嘘ではないと分かり、あわてたはずだ。この後、問題の国有地に関する交渉は、森友側のペースで進むことになる。流れからして、「総理夫人」の関与が財務省の方針に大きな影響を与えたのは確かである。

◆明白な証拠
 籠池被告が近畿財務局を訪れ、土地取得の意向を表明したのが平成25年6月。それから異例の売買契約が成立した28年7月までの約3年間の節目ごとに、昭恵夫人の関与を裏付ける証拠が残されている。

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 下の写真は、26年3月に昭恵夫人本人がフェイスブックに投稿したもの。夫人と一緒に写っているのは、森友学園の前理事長・籠池泰典被告とその妻・諄子被告だ。この写真がフェイスブックに投稿された約1年後には、森友学園と近畿財務局が定期借地契約を締結し、昭恵夫人付の谷査恵子氏が森友との交渉経過を財務省に問い合わせた5か月後には、8億円以上値引した1億3,400万円という非常識な金額で国有地が売却されることになる。森友学園問題の「本質」は、誰の目にも明らかだ。

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